言葉に惑わされ、 深の想いに至らぬ事が、 無い様にと。
用心に、 用心を、 重ねて居たとしても。
何故に。
言葉尻に、 鋭敏に応答しては。
返す刀を、 振り翳して終うのだろうか。
言葉に宿される、 恣意は。
意識的に、 増減される一方で。
時に、 言葉が。
純然足る想いを、 無意識に、 零して了う術なのだと。
本能的に、 知って居るからかも知れない。
眼前には。
主を失い、 無造作に転がった指輪と。
消える迄ひと月待てと、 記された文が。
唯、 在るだけなのに。
「良いわよ。」 「もうすぐ秋だし。」 「涼しくなるから。」
暑さを凌げぬ、 遮光の布は、 其の儘で良いと。
姫は言う。
恣意を除いた、 言葉は。
秋が在ると、 伝えて居るのかな。
---------- References Aug.23 2006, 「其の輪は柵の象徴なのでしょうか」
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