其の血脈が、 在り続けた環境に、 適応して。
遺伝的に組み込まれた、 特殊性なのか。
其れとも。
社会性を獲得する其の時期に、 置かれた環境が、 創り上げた技能なのか。
其の答えは、 分からないけれど。
一般的に解釈された、 其の、 区分に因らず。
気儘に。 自由に。
自身を、 好都合な方向へ導いて居るのだ。
そう、 勘違いして居たのかも知れない。
飄々と、 乗り移った様に見えて。
本当は。
其の床に、 馴染んで居たのだ。
猫は。
人では無く、 矢張り、 家に付くのだ。
嘗て。
姫と、 俺と、 姫の息子と、 共に過ごした、 其の家に。
姫の姿も、 俺の姿も、 無いのだけれど。
息子と共に、 嘗ての住処に戻って来た、 飼い猫は。
封印を解き。
「『ごろん』ってしたんだってよ!」
「飼い猫?」
「息子が電話して来たの。」
「今日が引っ越しだっけ?」
自身の項を、 床に擦り付ける様に。
床へと、 寝転んだ。
---------- References Oct.08 2005, 「住処へ想いが届くでしょうか」 Apr.09 2005, 「憂鬱を緩めて行けるでしょうか」 Mar.19 2005, 「想う相手は離れたのでしょうか」
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