数多の渦の中には。
酷似した渦や、 融合した渦は、 確かに在るけれど。
飽く迄。
個々の、 独立した渦で。
相同する渦など、 其処に、 一つも無いのだ。
其れ故に。
例え、 自身を取り巻く渦へ、 他の渦を、 重ね透かしたとしても。
其れは。
自身の渦を、 より安定化させる為の、 手段で。
自身の渦を。
他の渦と、 一致させる必要など、 無い。
「旦那の単身赴任中に。」 「愛人に子供が出来たんだって。」
「何の事?」
「春に産まれるんだってよ?」 「奥さんとの間には子供が居ないの。」
「離婚するかしないかって事?」
「四月になれば法律が変わるから。」
「・・・。」
「その時まで待つ方が良いんだって。」
「もしかしてみのさん?」
「そう!」
姫の吹っ掛けた、 謎掛け問答を。
一つ、 一つ、 解き明かしながら。
自身の渦を、 確かめたけれど。
姫は、 自身の渦の事など、 お構い無しに。
「四月になったら。」 「小坊主とも別れる?」 「でも扶養に入って無いからなぁ。」
画面から届く、 昼の、 電話相談へ。
瞳を、 爛々とさせるのね。
|