突出した、 技術や能力を以て。
初めて、 為し得る形に対しては。
感嘆や、 尊敬や、 嫉妬や、 感謝や、 数々の想いを。
其処に産み出す事が、 容易だけれど。
極々簡単で、 日常に、 在り触れた形には。
想いを、 宿し行く作業を。
時に、 失念して了う。
けれども。
日常の、 在り触れた形を。
自身が、 維持出来ぬ時。
やっと、 其の重要性に気付き。
感謝を想わずには、 居られなく成るのだろうか。
「ありがとう。」
唯の、 買い物の御礼に。
満面の笑顔を添え、 玄関先で、 出迎える姫に。
「ん?」 「肉と野菜買って来ただけじゃん。」
姫の、 気力や体力が。
俺の認識より、 明らかに低い事を知る。
多分、 其の笑顔は。
肉や、 野菜では無く。
菓子麺麭に向けられた笑顔に、 違いないのだけれど。 |