其の言葉は、 未熟と言う意も含むから。
前を向き、 自身に、 育ち行く意思が在る限り。
応えは肯定なのだ。
其れ故に。
問いに、 半ば冗談を添えて、 肯定したのだ。
けれども一方で、 其の言葉は。
後ろ向きの想いを、 奥底に、 育て上げる鍵だから。
肯定の応えは。
僅か紙一重の位置に、 両極端の意味を、 秘め備えて終うのだろうか。
僅か数週前に。
力強い迷いの無い言葉を、 聞いた筈なのに。
再び何か、 迷い始めた事実の破片が。
御嬢から、 飛んで来た。
何れ程。
迷い無き想いを、 強く、 持ち続けても。
きっと、 流行病の様に。
御嬢の身には、 再び、 未練が浮かび来るのだ。
そして、 多分俺自身にも。
其の病は、 巣喰って居るのだ。
「小坊主さんは。」 「昔に未練があったりすることはないですか?」
「あるよ。」 「あの日帰りの新幹線で、御嬢を口説いとけばなって。」
冗談交じりの、 俺の肯定は。
未だ、 前者で踏み留まって居るけれど。
---------- References Nov.10 2003, 「酒精に強い人では無かったですか」 Nov.20 2003, 「爪の先に甘い毒を仕込むのですか」 Dec.21 2003, 「見えるから見えぬ物でしょうか」 |