実在する物であれ。
脳裏に据えた、 希望の基準であれ。
自身の目標を定め、 其の目標に、 取り付き、 追い付き、 追い越す事が。
肝要かも知れないけれど。
其の目標が、 自身を高める方向に、 逆行するならば。
其の相手に、 勝ちを収める必要など、 無いのだ。
其れ故に。
深意が在るのか。
在るならば、 何処に在るのか。
見当を付けようと、 必死に、 可能性を模索する。
歩み始めた記念に、 成り得る筈の、 旅路の玄関口で。
袂を分かつ二人に。
自身は、 勝るかも知れないと、 姫は言うけれど。
最初の言葉に、 俺が、 何れ程小躍りしたか。
理解するだろうか。
新たな戸籍が、 産まれて。
其の戸籍には、 子が宿って。
其の戸籍は、 二つに別れて。
宿った命は、 新たな戸籍に委ねられ、 自身から離れる。
「小坊主、籍入れる?」
「本当?」
「役所に出しに行って、そこで離婚するの。」 「杉田かおるにも勝てるよ!」
「役所離婚って言うのか?」 「成田離婚より強いね。」
「そうそう!」
冗談に、 相槌を打ちながら。
楽に成りたいだけなのかと、 何度も、 想いを疑って終う。 |