恐らくは、 全てを見越した上で。
其の言葉を、 口にしたのだ。
良いか、 悪いか、 善悪の面から下した、 判断より。
好きか、 嫌いか、 感情の面から下す、 判断の方が。
上位に据えられ、 結局は、 優先されるであろう事を。
先達は、 育ての親は、 きっと、 瞬時に悟ったのだ。
俺の知らぬ、 過去と。
姫の因は、 想いでは無い部分に連なるのだと、 言う事と。
照らし合わせて。
妊娠の報告に応じた、 姫の、 母親の言葉は。
「籍は入れた方が良いわよ。」 「けれど、無理かもねぇ。」 「向こうの家と上手く行かなかったあなたには。」
其処迄、 先に及んで居た事を。
姫は、 初めて口にした。
他人には、 何故に離婚に至ったか、 理解出来ぬだろうと。
元旦那の、 然程問題は無い人柄を、 評しながら。
「私の母親が言うくらいなんだから。」 「籍入れる方が良いと思うけれど。」 「やっぱり嫌。」
「そっか。」
姫は、 固い決意を瞳に乗せる。
---------- References Jul.07 2005, 「未だ周囲は不安要素でしょうか」 |