お互いの間には、 確かに、 境界線が存在して。
其の線を、 侵食せぬ様に。
想いを以て、 距離感を、 見積り続けるのだけれど。
其処には、 想いが在るから。
侵食に対して、 或る程度、 寛容に振る舞えるのだ。
けれども。
二人の周囲へ、 二人で築いた境界線に、 土足で侵入する、 其の存在へは。
想いなど無いから。
不要な敵意や、 過度の不快感が生じ。
更には、 二人の境界線の内側へ。 其の刃を向けて。
内なる存在迄、 傷付けて終うのだろうか。
「押入にもあるんだね。」 「私のパンツ、なかったよね?」
「知るか!」
下着の置き場所の、 確認を、 俺に求める姫へ。
不要な怒りを向けて終った。
只の、 消防検査なのに。 |