二人の決め事や、 二人の役割が。
徐々に、 形成されて行く事は。
互いの、 心地好い空間を創り。
同時に、 空間の柔軟性も奪い行くのだろうか。
其の柔軟性の消失が。
実は、 二人を強固に結び付ける為に、 身体の選択する手段で。
本能的に、 相手への依存心を増す事で。
責務を果たす相手が、 自身には必要な存在なのだと、 自身に認識させ。
責務を果たす相手にも、 自身には不可欠な存在だと認識させる、 戦略なのだろうか。
一つ一つ築き上げて来た、 二人の世界は。
確実に、 自身の周囲に根を生やし。
同時に、 自身の周囲に形を増やすから。
きっと。
視界に触れる寂寥感も、 其の分、 増えてしまうのだろう。
確かに全て、 俺に割り当てられた行為だけれど。
姫は、 態と残した訳で無い。
積まれた新聞と広告。
洗われっ放しの食器。
点いた儘の寝室のテレビと、 枕元の電灯。
深夜、 帰宅の扉を開いた瞬間に。
視界に飛び込む、 形は。
「ちょっと、寂しいよ・・・。」
何れも、 俺の多忙と不在を強調したいが故の、 姫の意思表示に違いない。
---------- References Nov.15 2004, 「寒さを半分貰ってくれるのですか」 Sep.12 2004, 「お帰り代わりの平手打ちですか」 |