人は其れ其れで、 或いは日々其れ其れで。
物事への感受性や、 発動迄の閾値は、 常に、 変遷を続けて居るけれど。
人が、 生物で在り続ける以上は。
喜怒哀楽の、 其の僅か一つでも欠如した、 想いなど。
存在し得ないのだ。
何れ程、 優しさに包まれた想いでも。
其の一部に、 必ず裏返しの想いが在り。
何れ程、 怒りに満ちた想いでも。
其の裏には、 僅かばかりの優しい想いが、 隠れて居るのだ。
其れなのに。
如何して人は、 何時でも、 相手の片面のみを求め。
其の反面を、 遠ざけようとするのだろうか。
僅かな言い合いと、 続く喧嘩。
「当たり散らす為に私が居れば良いんでしょ!」 「どうせ、他の女の人探してるんでしょ!」
姫は何時も。
俺の優しさだけを、 取り出そうとして居る。
其れ以外の人に、 自身の、 最愛の、 唯一の人以外に。
当たり散らせと言うのだろうか。
其の存在を、 暗に創れとそう言うのだろうか。
人を構成する要素として、 其の身に与えられた感情は。
人が生きる為に、 其の身に宿された怒気は。
決して、 捨て去る事など出来ないのに。 |