無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年05月17日(月) トンガリさん、切れる!

 さて、またまたトンガリさんの話である。
 予想通り、会議にはやっぱり出席しなかったんだけれど、「病院に行く」と言って出勤したと思ったら、二時間もしないうちにさっさと帰ってしまったのである。でも、会議がある日ばかり通院しまくってるのはどういうわけなんかいな。
 いなきゃいないで、口出ししなけりゃいいのだが、帰りしなに私を呼びとめて、上司の仕事の不備をいろいろとあげつらうのである。そんなん聞きたくもないのだが、喋り出したらもう止まらない。
 「この件につきましては、私が申し上げることじゃないのですけれども、誰かにお伝えしておきませんと、いつまで経っても放置しておいてはいけませんでしょう?」
 もちろん、その仕事は、この人が拒否しているので仕方なく上司が引き受けているのである。二つも三つも仕事を抱えこまされていたら、そりゃ滞ることもあろうってもんだし、もともと他人の仕事なんだから後回しにされてしまうのも仕方がない面がある。それをまあ、よくこんな好き勝手な言い草ができるものだ。自分が正しいと思いこんでる人間はどこまでもこの調子である。
 でも、脳がどうかしてる人間だから、何か言ったところで何かがどうにかなるわけでもない。それでも言われっぱなしなのはどうにも業腹なので、かねてから気になっていた(でも言ったって改善してはもらえないだろうなと思っていた)トンガリさんのある仕事についての「思い違い」について、「そう言えば、あれは○○さんのミスですよねえ?」と、つい言ってしまった。
 ……あああ、なんで私は自分から地雷を踏みたがるかなあ(T∇T)。
 もちろんその後のトンガリさんのヒステリーをなだめるのに、ちょっと手間がかかってしまったのである。
 「私は間違ってません! 私はちゃんとやってます! 絶対です! ちゃんと○○さんも○○さんも証人です!(もちろん全くこの件には無関係な人で、トンガリさんの妄想である)」
 あまり口にはしたくなかったが、もう言っちゃうぞ。誰かこの人、病院に連れてって(T.T)。


 俳優の三橋達也氏が15日、急性心筋梗塞のため死去。享年80。
 特撮ファンには『ガス人間第一号』での主演、岡本刑事役や、『奇巌城の冒険』(原作は『走れメロス』!)の王役が一番親しみを覚える役柄だろうか。
 ミステリファンにとっては土曜ワイド劇場の「十津川警部」シリーズ、ということになるのだろうが、この10年ほどは殆ど引退状態だった。最後の作品あたりは老残ぶりがかなり目立っていたから、仕方がなかったのだろうけれど。渡瀬恒彦の十津川警部と比べると、かなり飄々とした印象で、私は三橋さんの方がヒイキだった。
 三橋さんは実はもう一人、ある名探偵を演じている。『大東京四谷怪談』での墨野朧人であるが、まだ『仮面よ、さらば』発表前であったにも関わらず、その謎の人物の正体に気付いていた人たちは、「三橋達也じゃミスキャストだろう」とみんな口を合わせて言っていた。原作シリーズをお読みになればご理解いただけようが、もっとキザったらしい人が演じないと、朧人のキャラには合わないのである。けれど、近○正○に演じさせたら、一発で正体バレちゃうから、これもまた致し方なかったと思う。
 アクション映画ファンには何といっても『国際秘密警察』シリーズ。このときの三橋さんは、ともかくスタイルのよさが目立っていた。すっくと立つとそれだけで相当な美男子なのだが、キリリとして見せても、どこか照れたように斜に構えるところがあって、独特のエロキューションのセリフ回しとともに、何となくすっとぼけた味わいを醸し出していた。いわゆる「フラがある」というやつだろう。何しろ戦争ものに出演しても、三橋さんの出演シーンだけはほのぼのしてしまうことが多かったくらいなのだ。ウディ・アレンが『鍵の鍵』を“What’sup Tiger Lily?”に改作したのも、三橋さんのそんな持ち味のファンだったからだ、と思いたい。
 もちろんそういう「軽み」のある人だったから、悲劇的な役どころだとより一層、その無念さ、切なさが見る者の胸を打っていた。黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』や、岡本喜八の『遊撃戦』もそうだったし、何と言っても、あの市川崑監督・夏目漱石原作の『こころ』のK(映画では「梶」)は三橋さんなのである。未見の方は、ビデオででもぜひ御覧頂きたい。夏目漱石の代表作で、何度か映像化されてはいるが、決定版は紛れもなく三橋さんのそれである。
 「善人」が絵になる三橋さんだったから、『天国と地獄』での“悪役”ぶりは特に際立っていた。私の三橋達也ベスト・アクトを選ぶとなると、やはりこれになる。
 80年代以降、映画からやや離れていたが、ここ数年は、『忘れられぬ人々』『Dolls』『CASSERN』と重要かつ印象的な役に恵まれた。昨年、御夫人の安西郷子さんに先立たれ、後を追うようなご逝去だった。今頃はご夫人をサカナに、ずっと引き立ててもらっていた三船敏郎さんと、酒を酌み交わしているかもしれない。


 平成16年度(第28回)講談社漫画賞が、以下のように決定。
【児童部門】『ウルトラ忍法帖』シリーズ(御童カズヒコ/掲載誌「コミックボンボン」講談社)
【少年部門】『遮那王―義経―』(沢田ひろふみ/掲載誌「月刊少年マガジン」講談社)
【少女部門】『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子/掲載誌「Kiss」講談社刊)
【一般部門】『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』(山田風太郎・原作/せがわまさき・漫画/掲載誌「ヤングマガジンアッパーズ」講談社刊)
 上の二つは読んだことないけど、下の二つはバンザイしたいくらいに嬉しい結果である。『のだめ』は時間経過が現実のそれと一致しているので、早晩終わっちゃうことが予測されるし、『バジリスク』は原作つきだから、これも予め長さは決められている。受賞するチャンスはまさに今しかなかったわけで、嬉しいのとと同時にホッとしてもいる。
 それにしても、小学館漫画賞は結構他社のマンガに賞を与えることが多いのに、講談社は身内ボメが多い。せっかくの賞の価値が落ちちゃうから、一つくらいは他社の作品入れてやりゃいいのに、と毎回思うんだけれども。

2003年05月17日(土) すっ飛ばし日記/時計だけ見る女
2002年05月17日(金) 追悼、柳家小さん/映画『モンスターズ・インク』/『カスミ伝△』2巻(唐沢なをき)ほか
2001年05月17日(木) 少しまじめな話/『コミックバンチ』創刊号ほか


2004年05月16日(日) 「替え歌」の方しか知らないってこと、あるよな。

 ミーティングがあるので、「朝7時に起こせ」(←命令口調)と、しげに頼まれていたので、夕べは徹夜して朝まで起きてようかと思っていたのだが、疲れて11時には寝てしまった。けれど、目覚ましを仕掛けていたわけでもないのに6時にちゃんと目が覚める。考えてみたら、7時間は寝ているので自然に目が覚めるのも当たり前なのてある。しげのように14、5時間も平気で寝ていられるという方が異常なのだ。
 しげを起こして外に叩き出したあと、パソコンでコンテンツの記事を書きながら、朝のテレビを見るともなしに見る。『デカ』も『剣』も、最近どうもイマイチ燃えない。
 『題名のない音楽会21』が始まって、突然モンティパイソンの「ランバージャック・ソング」のメロディーが流れてきたので、「えええっ!?」と思って画面を見ると、モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の“手を取り合って”をデュエットしているのだった。……そう言えば、これが「原曲」だったよなあ(^_^;)。どうも先にパロディやら替え歌を知ってしまうと、原曲を聞いてもそちらのイメージの方が先に立ってしまって、笑ったりして申し訳ない限りなのである。
 似たような例で言えば、私は、ベートーベンの『歓喜の歌』を聞くたびに、「しーごとおさめだ、しょーがつちーかいー♪」という「きつねどん兵衛」のフレーズが浮かんできて困る。これもかなり古いCMソングになっちゃって、若い人は知らないだろうけど。
 しげもこないだ、なんかそういう例を言ってた気がしたが、忘れた。
 みなさんも、そういう例ってありませんか?


 『レジェンズ』は、引きに引いたディーノがようやく登場。でも、どうももう一つ魅力に欠ける印象。もうキザで金持ちでってキャラ、散々見てるからなあ。でもディーノとマックがなんとなくアヤシそうな関係になりそうなのはまさかこんな子供向けアニメにまで「ボーイズ」の影響が……?(^_^;) 
 しかし、ディーノが出りゃ、少しは展開が変わるかと思ったけど、そうでもなかったんで、正直拍子抜けしてるんである。ゲームものだし、マンガはジャンプ系だし、人気はあるんだろうなあ、これ。まあまあ面白いんだけど、だからと言ってのめりこむほどにはなれない。私は「ちょっと買ってる」程度の大地丙太郎監督、一部にはやっぱりカリスマ的人気があるようだけれど、ギャグの甘さと、やっぱりつい「お涙」に流れるドラマの弱さ、ファンは気にならないんだろうか(『今、そこにいる僕』あたりを想定してます)。多分、40代の人間にはアマアマでそんなにハマれないと思うんだけれど、どの世代までなら「許容」されてるんかなあ。
 もっとも、本気で『レジェンズ』を出来が悪いと思ってるわけではない。いや、子供には充分楽しいアニメだと思う。ただ、昨日の「アニメグランプリ」でも感じたことだけど、私にとってはもう「食い飽きてる」ものでも、若い人にとっては「初めて」なんだから、新鮮、と感じるのも仕方がないよなあ、ということなんである。それが「悪い」と言いたいわけではない。
 しかし、たとえ同じような、似たようなアニメが延々と作られようと、それはやっぱり我々の世代が享受して来たアニメとは似て非なるものになっているはずだ。その価値がわからないのは、アタマが固くなっている証拠なのである。かと言って、40代の中年オヤジに別に「ボーイズ」とかに共感しろと言われたって、それはちょっとムリな話なんで、「溝」は「溝」として若い人にはガンコな年寄りの存在も許してはもらいたいのである。
 ……誰ぞも言うとった。
 「たとえ毎日が、限りなく同心円に近い軌跡を辿ろうとも、全体としてはやはり新たな地平を目指すはず。先のことは誰にもわからぬ」
 さて、誰のセリフでしょう?


 ここんとこ、コンテンツの更新がなかなか進まなかったが、ちょっと頑張って、見た映画を三つ程書く。たいした内容でもないのに、よう長々と書いてるなあ、と呆れてる方もいらっしゃるだろうが、たいした内容じゃないからこそ、プレッシャーもなく書けるのである。
 実はこう見えても(ネットだから姿は見えないけど)、私は、プレッシャーには人一倍ヨワイ。いい文章を書こうとか、面白く書こうとか、妙なイロケを出すと、テキメンに書けなくなってしまう。
 だから私の場合、芝居の台本を書くのが一番苦しい。一行書いちゃ、「ああ、こんな魂のこもってない台詞じゃ、客は引く」と頭を抱えては消し、昨日書いたギャグが一日経つと凄くつまらなく感じられて落ち込み、気がつくと、衣裳棚からトレンチコートを取り出し、襟を立てて寒風吹き荒ぶ街中をフラフラと彷徨い、ふと停車場のベルの音に誘われて列車に乗りこみ、あてどもなく、ただひたすら北へと向かうのだ。そのとき、私の頬は涙に濡れている。ウソです。
 それはそれとして、今んとこ、読んだ本、マンガ、見たアニメ、殆ど書けない状態が続いているが、日記にも何度も書いてる通り、本職の方がクソ忙しいのが理由なので、週に一つ二つの更新しかできなくてもカンベンして頂きたいのである。……明日も会議があるんだけど、どうせトンガリさんは出ないのだろうな。でもきっと会議の内容についてあとからブチブチブチブチと難癖をつけてくるに決まっているのだ。ああ、想像しただけでケイレンが……(T∇T)。


 しげの帰りは午後9時過ぎ。
 練習がえらく充実していたらしく、「台本1ページくらいしかやらなかったけど、進んだよ!」と言う。役者がノッてるからと言って、それが客から「見られるもの」になってるかどうかはわからないが、少なくとも「ノッてない」芝居よりはよくなってることは間違いなかろう。
 こないだ練習を見たあとで、私がしげに、「鴉丸さんのこのへんのセリフは、もうちょっとこんなふうにすればいいんだがなあ」と言ってた部分があるのだが、特にしげがそのことを持ち出したわけでもなく、今日の練習で鴉丸嬢はセリフを「そんなふうに」変えたそうである。役者としての「カン」が働いている、ということなのだろう。やるじゃん。
 プレッシャーがかからない程度に、期待したい。

2003年05月16日(金) すっ飛ばし日記/魔界な男たち
2002年05月16日(木) で・じゃ・ぶぅ/DVD『アードマン・コレクション』
2001年05月16日(水) 鳥頭の女/『文鳥様と私』2巻(今市子)


2004年05月15日(土) 遅れ馳せながら今年の「アニメグランプリ」。

 今日もまた雨。
 朝から映画に行く約束をしていたのに、鬱陶しいったらない。けれど別の日に延期するとまたしげと時間が合わなくなるし、今日の映画は事前に前売券を買っておいたので、今更中止は出来ないのである。なのに、朝起きてみると、しげが目の下にクマを作って、ゼイゼイ荒い息を吐いている。いったいどうしたんだと聞いてみると、また緊張して眠れず、一晩徹夜してしまったのだという。
「薬飲んだら眠り過ぎちゃうし」
 って、それで眠れなかったら意味ないじゃん。つくづく自分のコントロールが出来ないやつである。
 フラフラのしげを連れてくわけにはいかないので、夕方まで寝かしとくことにする。
 その間、本を読んだり、私も映画中に居眠りせぬように昼寝。
 夕方4時、しげを起こして天神まで出かける。映画が始まるのは6時だとしげから聞いていたので、いつも通り、現地に早めに着くようにした。上映の1時間半も前というのはいくらなんでも早すぎる気がするが、超せっかちの焦りんぼであるしげは、これくらい早くないと安心できないのである。
 ところが、親不幸通りに着いて、目的地のシネテリエ天神で時間を確かめてみると、映画の始まりは6時半からであった。
 ……さすがに2時間も早く出ることはなかったよなあ。しげに時間の確認をさせたら、これだから(-_-;)。


 時間潰しのために、アニメイトに寄る。たまにしか来ないが、来たら来たで欲しいグッズが結構出てるものだ。垂涎垂涎。けど給料日前だから財布からはヨダレも出ない。
 前回来たときより格段に増えてるのは『鋼の錬金術師』グッズ。いきなりワゴンにコーナーができていて、バッジやらハンコやらクリアファイルやらの定番もの、そこだけでも収まりきれずに別の棚にもはみ出している。驚いたのはエドワード・エルリックのあの真っ赤なコートのコスプレ用衣装を売ってたこと。なんと38000円もする。
 「スゲエな、こんなん着たがるやついるんかな」と笑っていたが、しげが突然「これ欲しい!」と言い出した。
 「欲しいって……いつどこで着るんだよ」
 「外で着ないと意味ないやん」
 「着て歩けるか? これ」
 「そりゃ、知り合いには見せられないけど」
 「……知り合いじゃなきゃ見せられないだろう、さすがに」
 もちろん財布にそんな金は入ってないので買いはしなかったのだが、売りきれない限り、近々ソイツをしげに買わされそうな気配である。……って、ホントかよ(@_@;)。

 まだ時間が余っていたので、モスバーガーに寄って、アニメイトで買った『アニメージュ』6月号を立ち読み。昨年のアニメグランプリは、予想通り『ハガレン』が6部門制覇。『ガンダムSEED』をふっ飛ばしてのベストワンは実に嬉しい。そう言えばその昔、『ガンダムW』を『エヴァンゲリオン』が蹴飛ばしてくれた時も喚起の声を上げたっけ。
 一応、ベストテンを上げておくと以下の通り。
 1,鋼の錬金術師…………………4545票
 2,機動戦士ガンダムSEED……2745票
 3,ゲットバッカーズ奪還屋…….. 627票
 4,最遊記RELOAD……………… 297票
 5,宇宙のステルヴィア…………… 276票
 6,犬夜叉…………………………… 261票
 7,D.C.ダ・カーポ………………… 198票
 8,テニスの王子様………………… 192票
 9,PEACE MAKER 鐵…… 183票
 10,NARUTO…………………… 179票
 票数を見る限り、人気はハガレンとシードに二極分布していて、あとは、順位はさほど関係がない感じだ。
 『アニメージュ』の購買層は今でも中高生の女子が多いのだろう。そういう子たちと四十男の私との趣味が一致するはずもないし、一致してもそれはそれで困ってしまうのだが、アニメファンの「浸透と拡散」は年々広がる一方だなあと痛感する。3位以下の作品は、正直言ってチラッと見たことはあるけれども、脚本、作画、演出ともにたいして秀でたところがあるとも思えず、続けて見ようという気が殆ど起きなかったものだ。もちろん私の見た回がたまたまそうだっただけで、シリーズ全体だと面白かったのかもしれないが、これだけ数多くの作品が上映されていると、全てを追っかけて見る気になれるものではない。『ハガレン』のポジションが私と十代の女の子とで一致したというのは、さて、どう判断したらいいものか。
 ちなみに、私が昨年のアニメでベストテンを作ればこんな感じになる。
 1,クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード
 2,鋼の錬金術師
 3,東京ゴッドファーザーズ
 4,攻殻機動隊SAC
 5,茄子 アンダルシアの夏
 6,プリンセスチュチュ 
 7、THE ビッグオー〔第2期〕
 8,キノの旅
 9,GUNSLINGERGIRL
 10,京極夏彦 巷説百物語
 次点 魁! クロマティ高校
 シリーズものは最低でも10話以上を見て入るものを挙げた。
 『鉄腕アトム』とか、あれだけ熱心に見てたのに、ベストテンに入れる気になれなかった。よかったのは最初の数話だけ、全シリーズ通して見ると、余りに愚作が多すぎた。
 『ジャングルはいつもハレのちグウ デラックスュ』や『カレイドスター』、『花田少年史』『GADGARD』『キングゲイナー』あたりは、7位〜10位あたりと入れ替えても差し支えない出来のものばかりである。
 福岡で放映されなかったので見られなかった作品も多いので、昨年は不作だったなんて言うつもりはない。『R.O.D』や『ドッコイダー』は見てみたかった。『冬の日』などはDVDを買おうかどうか迷ったが、気が付いたら店頭から消えていた。買っときゃよかったと後悔している。
 しかし、私が好んで見た作品って、『アニメージュ』読者にとってはベスト30にも入らないものばかりだ。アニメは基本的に若い人のものだと思うので、私の趣味はもう完全に傍流になってしまっているのである。やっぱりオタクだなんて、おこがましくて言えないやなあ。


 映画は『ロスト・イン・トランスレーション』。
 シネテリエ天神はビルの地下にある80人ほどしか入らない小さな映画館なので、初日で休日ということもあってか、ほぼ満席。客層も老若男女、外人さんもいて実にバラエティーに富んでいること。ここんとこ、客層の偏った映画ばかり見ていた気がするから、何となく安心してしまう。映画はたいしたケレンもないが、実に淡々と「異邦人の孤独」を描いていて好ましい。お客さんも概ね満足して帰っていく様子。毀誉褒貶激しい映画も、悪態つきながら帰る客を見ていると面白くはあるのだけれど、毎回殺伐とした雰囲気を味わいたくもないから、こういう映画を間に挟むと随分ホッとするのである。
 映画館の外はまだ雨がかなり強く降っている。車を停めた駐車場まで一区画ほど歩かなければならなかったが、その間はしげと相合傘である。でも、しげに握らせた傘がやたら揺れて私の後頭部を打撃するので、あまりロマンチックなムードにはならないのだった。

2003年05月15日(木) すっ飛ばし日記/ベストテンな本
2002年05月15日(水) 目出物雄三ってキャラが某マンガにいたね/『まんが アベノ橋魔法☆商店街』(鶴田謙二)/『ガウガウわー太』3巻(梅川和実)ほか
2001年05月15日(火) 本を売るならBOOKOFF/『BLOOD THE LAST VAMPIRE 2000』(玉置勉強)



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藤原敬之(ふじわら・けいし)