無責任賛歌
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2004年02月08日(日) |
入院日記7/お散歩の日 |
午後、しげがまた見舞い。週一のはずだったけれど、都合がつくとすぐこうして会いに来るのである。間一日しか経っていないので、洗濯物は殆どないし、無理して来なくたって、ウチで片付けでもしててくれればいいのだが、そんなに淋しいのか。 そう言えば、金曜日には病院でどんな話をしたか、聞き損なっていた。 「どうだった?」と聞いたら、「もう忘れた」。これがトボケているのではなくて、本当に忘れているから始末に悪いのである。 二人で地下鉄ひと駅分くらい散歩する。もちろん運動のためで、脱走ではない(^o^)。商店街を冷やかして歩くが、日曜なので開いていない店もある。 古着屋で、ミッフィーのタオルケットやクッションを売っている店があったが、しげ、立ち止まってしげしげと眺め、肌触りを確かめたりする。そのくせ買う気は全くないのである。店にとっては一番イヤなタイプの客だろう。 「アニーの店」というところで、いかにも女の子向けの化粧品や下着、ハンカチやアクセサリー、置物やお菓子などを売っている。これもしげはものほしけにするのだが、やっぱり買わないのである。模型店の前でも立ち止まってジッと中を覗きこんでいるのだが、店の中に入ろうとはしない。なんだか、親にお預けを食ったコドモのようである。 通りがかりの神社の前で、二人で記念に写真を撮る。でも、いったい何の記念なんだろね。
2003年02月08日(土) 敬三の乗る船/映画『シミキンの無敵競輪王』/『ワンピース』27巻(尾田栄一郎) 2002年02月08日(金) サルでもわかる『ハリポタ』/『パワーパフガールズ』2巻(クレイグ・マクラッケン原作)ほか 2001年02月08日(木) ザッツ・エンタテインメント!/2000年度キネマ旬報ベスト・テン
2004年02月07日(土) |
入院日記6/けーかほーこく |
朝刊に、私とグータロウ君が昔お世話になったことのある国文学者の松田修氏が、6日、肺炎で亡くなられたことが載っていた。享年76。 近世文学、芸能史が専門で、それ以外にも異端文学に造詣が深く、探偵小説界では既に評価が高かったにも関わらず、文壇では無視にちかい扱いを受けていた夢野久作についても、「もっと評価されるべき」とのご意見であった。寺山修司とも親交があり、その早すぎる死を悲しんでいらっしゃった。 長い間闘病生活を続けておられていたので、近年は著書も少なくなっておられたが、全集が発行されていたので、きっとお元気でいらっしゃるのであろうと思っていたのだが。 正統も異端も区別はない、そこには人間がいるだけであるという氏のご姿勢が好きだった。そういう偏見のない人は滅多にいないのである。残念でならない。
主治医から、この一週間の診断の説明を受ける。以前の検査と比較して見ると、一時は12%もあったヘモグロビンA1Cの値が、10%まで落ちている。ということは、この一月、二月ほどの血糖コントロールは、かなりうまくいっていたということである。しかし、平常値の「7%以下」にはまだ程遠い。 運動不足、ストレスがコントロールを狂わせていることは間違いなさそうである。食後1時間経ってからの運動を勧められるが、仕事に戻ったらそう簡単にいかないこともわかってることだからなあ。 と愚痴ってばかりもいられない。運動療法は来週からの予定だが、早速午後は外出許可を貰って病院の周辺を散歩する。見覚えのある道をぐるぐると散策してみたが、以前あった古本屋が一軒、つぶれてしまっていた。若いころに行きつけだった古本屋は、もう一軒もない。本当に、昔ながらの古本屋が消えていっている。ぶらりと発ち寄れる店が消えて行くのは本当に淋しい。 仕方がないので、デパートの本屋に寄って、新刊本をなんぽか買う。
今月の『文藝春秋』、芥川賞受賞特集。金原ひとみ『蛇にピアス』、綿矢りさ『蹴りたい背中』をパラ読み。内容の好対照が面白い。どうせ「2作目以降続くかどうか」とかやっかも半分の下らんことを言い出すヤカラはいるだろうが、その作家さんが続くかどうかはどうでもいいのである。評価されたのは作品であって、人ではないのだから。面白いものを書けば続くし、つまらなければつぶれるだけの話である。 唐沢俊一さんが『“へぇ”の効用』と題したエッセイで、「この“へぇ”を使えば、それ(雑学披露)に何の苦労もなく切り返し、その知識に点数をつけて批評することで、逆に相手より上の位置につくことが可能となる」ということを書いている。真っ先に切り返されるのがこれまで雑学をススメてきた唐沢さんご本人だと思うがなあ(^_^;)。
2003年02月07日(金) ベスト?/『赤ちゃんをさがせ』(青井夏海)/『じつは、わたくしこういうものです』(クラフトエヴィング商會)/映画『白夫人の妖恋』 2002年02月07日(木) びっくりにびっくり/アニメ『七人のナナ』第5話/『なんだかコワレ丸』1巻(矢也晶久)ほか 2001年02月07日(水) ♪それ行け、不倫不倫不倫、どこまでも♪/『萩原朔太郎写真作品 のすたるぢや』ほか
2004年02月06日(金) |
入院日記5/こわれた女 |
午前中、トレッドミル検査。 これはベルトコンベアの上を電極付けて走って、心拍数の変化を見るものである。 「『トレッドミル」ってどういう意味ですか? と技師さんに尋ねたら、「トレッドミルさんが考案したんです」とのこと。山田さんが考案したら「山田検査」になるところだったのだな。 心拍数、一分間に140〜150くらいまで上がるが、機械を止めて3分経っても120くらいまでしか下がらない。運動不足のようだが、小学生の昔から私の脈拍は速いのである。ふにゃふにゃなくらいにリラックスしていてなんとか80くらい、100が基準のようなものだから、120なんて息がちょっと切れてるくらいにしか感じないのだが、キカイを見てるお医者さんはそんなふうに判断はしないだろう。退院が遠のくような気分になって、タメイキが出てくる。
糖尿病教室が終わったころ、しげ、見舞いに来る。 以前の入院のときにも、しげにいろいろ頼みごとをしたはいいのだが、忘れ物と勘違いの連続でほとんど役立たずであった。それに懲りて、今回の入院については「ムリに見舞いに来なくていいよ、洗濯はコインランドリーで自分でやるから」と言っておいたのだが、しげは「金曜は病院帰りに寄れるから」と、どうしても来たがったのである。 来るなら来るで、用事を頼まないわけにもいかないので、やっぱり以前と同じように着替えや何やら、「これくらいなら失敗しないで持ってこれるだろう」と思われるものを頼んでおき、念のためにメールまで打っておいた。それでも海馬が餓死しているしげのことだから、失敗の可能性は決して消えない。念には念を入れて更に石橋を叩いて渡るように直前に電話まで入れて確かめた。するとしげはもう家を出ていて、バスタオルやジャージなど、頼んでおいたものはやっぱり殆ど忘れていた。 「途中で買おうか?」と言うので、「それはいい。こっちに来たら外出許可を貰うから一緒に買い物に行こう」と言って、これ以上の失敗をしないように制止した。 それでもそれでもこちらの予想をはるかに越えて、トンチンカンですっとぼけたドジをしげはやらかしてくれるんじゃなかろうかと心配していたら、まさしく予感は的中したのであった。しげの腐れ脳は人類の想像の及ばぬところにある。
「勝手に買い物するなよ」と厳命しておいたのに、「無印商品」で余計なものを買ってきているのである。バスタオルが千円で、ジャージが上だけで二千五百円。ムチャクチャ高い。しかも「寝巻き用に」ジャージを頼んだのに、「運動用に」フードつきの分厚いものを買ってきている。こんなの着てちゃ、暑くて寝れるものか。運動と言っても散歩だから大袈裟なものは要らないのである。なぜ寝巻き用だと気付かないか。 しかも、駅から病院への通り道には百円均一のダイソーがあって、バスタオルは二百円で買えるし、ドンキホーテに寄って来れば、ジャージだって千円で買えるのである。よりによってどうして無印で買うのか。わけを聞いて見たら、 「だって人の流れが無印に向かってたから」 親カルガモのあとに付いてく子ガモか、オマエは。 ここまではまだいいのである。もう一つ、運動中の脈拍を測るために、「秒針付きの時計」を持ってきてくれるように頼んでいた。ところが、しげが持ってきたのは、確かに秒針が付いてはいたが、「置き時計」だった……。 こんなの持って歩けるか(-_-;)。 そりゃ「腕時計」とはっきり言いはしなかったが、普通、「秒針付き」と言われて「置き時計」を連想するものだろうか。何に必要なのかも考えなかったのか、と問い質したら、 「だって、秒針が付いてないとアンタ目が悪いから時間がわからないのかと思って」 「目が悪くて時間を確かめたいなら、アナログよりデジタルを頼むだろう」 「ああ、そうか」 ……真性のバカである。 結局、外出許可を貰って、ドンキホーテまで時計やジャージを買いにいくことにした。またまた無駄な出費である。
6時前にしげ帰る。窓から病院の前の道を見ると、しげ、名残惜しそうに振り返り振り返りヨチヨチと帰っていく。車に撥ねられるぞ。
2003年02月06日(木) 新聞がみんな同じに見えるのは気のせいですか(~_~;)/DVD『明智小五郎対怪人二十面相』/『D坂の殺人事件』(江戸川乱歩) 2002年02月06日(水) なんかもー、下血とともに生きる毎日ね/『幻竜苑事件』(太田忠司・大塚あきら)/『よみきり▽もの』1巻(竹本泉)ほか 2001年02月06日(火) 文化はやはり相対的なもの/『NOVEL21 少年の時間』ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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