無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年09月19日(日) 大掃除大パーティ/『かりん』2・3巻

 早朝3時、仕事から帰ってきたしげ、舞台中継『ミッドサマー・キャロル』を見たいというので、録画したDVDをかける。けど、今日はよしひと嬢のお宅に焼香に行く予定であるし、そのあと何やらパーティもするとか言ってるのに、寝る時間が全くなくなってしまうが大丈夫なのだろうか。
 私の方は早々に落ちて、9時過ぎまで眠る。その間にしげは出かけて行ったようだった。……部屋の片付け全然済んでないんだけど、どうするつもりなんだよ。


 昨日は雨時々曇りで、玄武亀代と竜宮亀太郎に日向ぼっこをさせてあげられなかったので、今日はベランダに出してやる。
 食欲旺盛な玄武に食餌を取られて、竜宮の方が食が細くなってしまっていたので、一時期、二人を別居させていたのだが、それまで与えていたレプトミン(ビタミン・ミネラルフーズ)をガマルス(ヨコエビ)に変えたら、竜宮も一所懸命食べるようになった。大きさはやっぱり玄武の方がひと回り以上もデカいのだが、竜宮がイジメられている様子はないようである。
 その間に風呂場で水槽を洗う。浄水ポンプのおかげで水自体は澄んでいるように見えるが、洗うとやはりかなりカメ臭い。週一のこの水槽洗いが習慣になっているが、二人がもっとデカくなって水槽も大きいのに買い替えないといけなくなったら、この作業、かなりひと苦労になりそうである。


 休日のうちに未見のDVDを片付けようと、映画『切腹』を見る。
 映画自体は随分前に見ているのだが、これはずっとDVD化を待っていた一本だった。なんとなれば個人的にちょっと思い出があるのである。
 生前の母はこの『切腹』について、「見てられないくらい残酷!」と、まるで怪談話をするかのように身振り手ぶりを交えて、聞かせてくれたものだった。それはもちろん、石浜朗が竹光で自分の腹をかっさばくシーンの再現なのであるが、普段は豪胆で肝っ玉かあさんな母が「竹光だから腹を刺しても切れなくて、もう何度も何度も突き刺してね。背筋がぞっとして『早く映画が終われ!』って思っとったよ」なんて眉を顰めて言うものだから、それはいったいどれほどオソロシイ映画なのかと、小学生の私は見てもいないうちからそのグロテスクな描写を想像して怖れおののいていたのだ。けれどあまりに「残酷さ」ばかりを強調するものだから、詰まるところ映画として面白かったのかどうか、母の話だけではよくわからなかった。
 実際にこの映画を見ることができたのは20代に入ってからだった。監督が小林正樹だから、映画の底流にはどうしたって社会主義思想、反権力と言ったものが流れているのだが、殺陣を初めとした描写そのものに迫力があるので、そのあたりのイデオロギーがさほど鼻につかない。例の竹光での切腹シーンであるが、今の目で見るとそんなに「残酷」という印象はしない。けれどそれは私の方が数多の残酷描写に慣れきっているためであって、40年前にはこれは充分、目を背けたくなるほどの悲惨なシーンとして大多数の観客には受け止められていたのだろう。母の受けた衝撃も、やはり初見のインパクトの強さゆえだと思われる。
 シャワー中の惨殺シーンで観客に失神者も出たというヒッチコックの『サイコ』の公開が1960年、時代劇にそのリアル描写でショックを与えた黒澤明の『用心棒』が1961年、そして血飛沫の決闘を描いた続編『椿三十郎』が1962年。そしてこれまた大ブームを起こしたヤコペッティの『世界残酷物語』が同じ1962年。『切腹』の公開も1962年だから、まさしくこの映画は「残酷描写ブーム」の流れの上にある。けれど、もともとリアル志向の強かった小林監督にとってはこのブームは渡りに船だったのではないか。東映時代劇がただ残酷であればいいと、不必要なまでのグロ描写を持ちこんで失敗作を量産していたのに対し、『切腹』の残酷描写は物語が求めた必然である。そういう流れを意識せずに見ることのできる現代の方が、この映画を真に評価するのには適しているのではなかろうか。
 1962年公開ということは、母は私の妊娠中にこの映画を見に行っていたことになる。……なんかすげえ胎教に悪いことしてないか? 当時、「胎教」なんて知識はあまり普及してなかったから仕方がないけれども。もっとも胎児の私には武満徹の音楽だけしか聞こえちゃいなかっただろう。……いや、武満さんの音楽だけで充分、赤ちゃんにはよくないかもなあ。もしかしてこの映画のせいで私は……。いやいやいや。


 昼から映画を見に行こうかと思っていたのだが、とっちらかったままの部屋を放置しておくわけにもいかず、しげが出かけている間に少しでも片付けておこうとまずは山積みのDVDから手を付ける。しげも全く部屋の片付けをほったらかしていたわけではなくて、私にせっつかれて床面積だけは空けていたので、本棚の隙間を見つけながらとりあえずDVDをぶちこんでいく。けどもうスペース自体か殆どないので、本当は読まなくなった本などダンボールに入れて押し入れにでも突っ込むしかないのだが、そこまでの時間的余裕はない。なんとかDVDだけ片付けた時点で、しげたちが北九州から帰ってくる。
 本日のお客さんは鴉丸嬢、其ノ他君、カトウ君、圭To嬢(通称ヒゲちゃん)、細川嬢(通称ボインちゃん)。部屋の中に入るなり、鴉丸嬢が「部屋が一つつぶれてる〜!」と泣き笑い。しげが適当に積んだ山積みの本が背丈を越えるほどになっていて、部屋の入口が埋まって中には入れなくなっているのである。隙間をうまく使うことができないというか、大きさも合わせずにただ本を積み重ねているだけなので、バランスは頗る悪く、これもいつ雪崩れを起こすか分からない。こちらはとても手をつけられないので、掃除の対象は主に台所、寝室、居間になる。
 居間は特にパーティ会場を作らなきゃならないので、ゴミを拾い集め、掃除機をかけて特に念入りに。総出で季節外れの大掃除であるが、もうゴミが出ること出ること。バケツリレーのようにゴミを外に出して捨てて行くが、ゴミ出し日は本当は明日である。……まあ、1日くらい早いのはいいか。紙ゴミばかりで生ゴミ類は殆どないし。
 寝室の本はほとんどしげが持ちこんだもので、枕元に重ねた本が雪崩れを起こしていたのを私が分類して積み重ねていたのを、鴉丸嬢がやっぱりバケツリレーの要領でヒゲちゃんボインちゃんの二人に手渡していったん居間に出して、それからスペースを作り、もう一度崩れないように積み戻して行くという作業。
 ときどき鴉丸嬢の悲鳴と笑いが聞こえてくるが、どうやらダニに噛まれているらしい。しげは掃除機をかけることを全然しないまま万年床なので、そりゃダニくらいわいているだろう。つか、しげだって寝てるときダニに噛まれてるはずなんだが、鈍獣だから気が付いていないのだろう。
 「掃除機の替えのフィルターはどこっ!?」
 「えーと、どこだっけ?」
 「そこの引き出しの中でしょっ!?  こないだ片付けに来た時、私が片付けたんだからっ!」
 「すごーい、オレよりウチの中のことよく知ってるー」
 「そんなこと言われても、ぜんっぜん嬉しくないっ!」
 鴉丸嬢としげの会話を端で見ていると、まるでボケとツッコミの漫才コンビである。この雰囲気のままに今回の芝居の台本を書いたのだが、自然体の二人のほうがはるかに面白い。いや、鴉丸嬢にとってみれば「なんで自分たちで家の中のことくらいできないのだ」ということになるのだが。いやね、私は今、鴉丸嬢が感じているのと同じ疲労感を結構当初から数年、散々味わって、もう疲れてしまったのですよ。
 台所担当は主にカトウ君、其ノ他君だが、カトウ君は今日の待ち合わせに寝坊して遅れたとかで、一番大変な場所を割り当てられている。ゴミ溜めと化している流しを片付けながら、「虫が涌いてないだけマシですよ」と言っていたが、もちろん虫は涌いていたのをさすがにこれは、と私が掃除しておいたのだ。もちろんしげには何度も「片付けとけ」と言っといたのだが、いつも通り無視されてしまっていた。
 結局掃除に3時間ほどかかってしまったが、終わったあと、みんなの手は真っ黒に汚れていた。日頃の掃除がちゃんとされてれば、こんなことはないんだけどねえ。

 食材を買ってきて、いよいよ鍋パーティ。名目は9月生まれが多いので、合同誕生会である。具は鶏肉、豆腐、春菊、白菜、人参、えのきだけ、なめたけ、とオーソドックスだが、なぜか豚しゃぶまで用意されているのは、しげの好みだろう。鶏と豚、普通は一緒にしないけど、「味がかち合って相殺される」というのは『美味しんぼ』がこじつけた俗説で、美味いもんは美味い。
 ご飯は手巻き寿司をめいめい勝手に。刺身に卵焼き、キュウリにシーチキンサラダをご飯と一緒に巻いて食べるのだが、ここでもしげ、口に頬張りきれないほどの具を海苔の上に乗せて、食いきれずに天を仰ぎながら無理やり手で押し込んでいる。おかげでしげの手や顔は海苔の粉だらけだ。全く幼稚園児と一緒に食事してるような気分になる。
 食材は相当量があったと思うが、ほとんどみんなで平らげる。其ノ他君が一括して食材を買ってきたのだが、費用を聞いてみると驚くほど安い。居酒屋とかに行くよりも、こういうホームパーティーの方が食えるものは食えるし、いいかもしれない。もっともウチでパーティやると、食事よりも掃除の方がメインになるので、落ちつかなくてよくない。今度こういう催しをやるなら、誰かもっと広い部屋持ってる人のうちでやろうよ。

 しげがヒゲちゃんボインちゃんを車で送っている間、カトウ君、其ノ他君とDVDなどを見る。其ノ他君は仕事疲れもあって早々に寝てしまったが、カトウ君には『サムライチャンプルー』や『DAICON版帰ってきたウルトラマン』『八岐之大蛇の逆襲』などを見せる。うちに遊びに来る人はちょっとでもオタク臭が漂ってると、こういうものを見せられてしまうので覚悟が要るのである。『八岐之大蛇』はつまんないので飛ばし見だけど。
 カトウ君、書架のDVD群を見ながら、「ここは『夢の島』ですねえ」と言い間違える。それ、「ゴミの山」って意味だって。
 しげと鴉丸嬢が帰宅してきてからは、今度は『幻想水滸伝』ほかのゲーム話。こちらの話題にはあまり付いてけないので、私は傍観。みんなで『ダンスダンスレボリューション』を始めたので、私は一足先に寝た。……みんな体力有り余ってるわ(-_-;)。

 読んだマンガ、影崎由那『かりん』2、3巻。これも大掃除の最中に山の中から発掘。こんなふうに買ったはいいけど読み忘れてる本がまだ山とあるのである。
 吸血鬼とか増血鬼とか(^o^)、普通、主人公の正体が人間にバレてからの展開はつまんなくなりやすいけど、これは「なぜ、かりんだけが増血するのか」というもう一つ奥の謎を取っといてるので、まだまだ先が読めない。実は私は、高一の子持ちにはトテモ見えない(セーラー服のコスプレに違和感がないというのはなあ)文緒母さんの行く末の方が気になってるのだが。

2003年09月19日(金) 回想の妻/『にっちもさっちも 人生は五十一から』(小林信彦)
2002年09月19日(木) 騒ぎどころが違うぜ/『仮面ライダー龍騎 13RYDERS』/映画『恐怖の火星探検』/『ロケットマン』3巻(加藤元浩)
2001年09月19日(水) ヤンキーたちの好きな戦争/『日露戦争物語』1巻(江川達也)/『探偵学園Q』1巻(さとうふみや)
2000年09月19日(火) 塩浦さん、今度はご夫妻で遊びに来てね



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