無責任賛歌
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終日、ほとんど寝床から動けず。 嘔吐感はいよいよ強く、便所と寝床を行ったり来たりしては、吐いちゃ寝、吐いちゃ寝、の一日。パソコンもいったん開いてはみるのだが、日記も何も書き込む元気が出ない。 吐き気と言っても、どうもこれまでとは感じが違うのである。喉に固いボールがあって、それが舌を押し上げてくる感じで、生唾がとめどなくあふれてくる。それを吐いているうちに気分がますます悪くなって、げろげろと吐き出すのである。意識がかなり朦朧とし始めていたからその時は気がつかなかつたが、その時、吐瀉物には血が混じっていたのだ。 体力が毛穴から抜けて行くような気分で、水を飲んだら飲んだだけ吐くので、何の意味もない。当然、食事も出来ず、朽ち果てるように寝床で失神している。
しげは朝方になって帰って来たが、ぐったりしている私を見ても声もかけようとしない。じきに芝居の練習に行くので、その準備のことしか頭にないのである。やっと声をかけてきたかと思うと、責めるような口調で「今日は練習行かんとね!」である。 「昨日からげろげろ吐いてるんだ。行ける状態じゃない」 「ふーん」 しげはそのまま私に二度と声もかけず、出かけて行ってしまった。私の頭上に「鬼嫁」の2字が浮かんだが、考えてみたらしげはただの寄生虫で、嫁になったことなんかなかったよな、と反省する。って、そんなあほな反省なんかしている場合じゃなかったのだが。 その直後にまた吐いて、今度はトイレから出たところの床で失神してしまったので、記憶が夕方まで飛んだ。床で寝ていたので、からだのふしぶしがズキズキと痛む。それどころか、腹が張って苦しい。けれども、もうウンコをひり出す筋力もなく、ただただ腹が圧迫されたように痛むのである。 これはいったい何が原因か、到底風邪とかそんな軽い症状ではない。昨日食ったそばが当たったのか、水道水がよくなかったのか、いろいろ考えるが考える間も腹痛と吐き気は治まらない。もう胃の内容物は全て吐き出して、出るのは胃液ばかりなのだが、それでも吐き気は続くのである。 喉だけは乾くので、水だけは飲みたいが、もうとてもカルキ臭い水道水は飲む気になれない。外に飲み物を買いに行く力もない。そろそろしげの練習も終わっているころだと、電話を入れた。 「水がない、水だけでも汲んできて、早く」 もう、私にはそれくらいしか言う元気がなかったが、しげは、電話に出たかと思うと、「あ? わかった」と言ってブツッと電話を切ってしまった。 しげはその後私を3時間放置して帰ってこなかった。
しげに電話を切られたあと、これはもう、あの馬鹿しげには頼れない、親父に連絡して救急車を呼ぶしかない、と考えたが、ここですぐに病院に運ばれたら、当然、帰宅したしげは私がどこに行ったのかわからずに、半狂乱になるだろう。しげがどれほど自分勝手な生活を送っていて、亭主をないがしろにしているのか、父にもバレてしまうのである。父のしげを見る目が厳しくなるのは何としてでも避けたかった。……なんだかこの期に及んでも馬鹿しげの心配をしてやってる自分のほうがよっぽど馬鹿だとは思うが、これも私の業(ごう)である。 ようやく帰ってきたしげに救急車を呼ばせて、即、入院。「救急車呼んで」という私の声に対するしげの返事は、暢気に「なん。そんなに悪いとね?」であった。糞野郎。 てなわけで、また入院であります。こないだ退院したばっかだったような気がしてたんたけどなあ(T∇T)。
2003年09月05日(金) 土の下には虫くらいいます/映画『からっ風野郎』/『地震列島』 2001年09月05日(水) 中華幻想/『仙人の壷』(南伸坊)ほか 2000年09月05日(火) 日向ぼっこしてるヒマに本が読みたい/ムック『アニメスタイル』2号ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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