無責任賛歌
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2003年09月05日(金) |
土の下には虫くらいいます/映画『からっ風野郎』/『地震列島』 |
秋からのテレビアニメ新番、『魁! クロマティ高校』のスタッフ・キャストが発表されたけれど、これがまたムダに豪華っつーかなんつーか(^_^;)。 あのパトレイバーのエヴァの攻殻の、Production I.Gが製作ってだけでもビックリしてたのに、監督に決まったのが『アキハバラ電脳組』『だぁ!だぁ!だぁ!』『ななか6/17』の桜井弘明さんである。はてさてこりゃいったい、どんなものになるんでしょうかね〜。 だいたい『クロマティ』くらいアニメに不向きな題材もないと思うんである。ロボットの変形もなけりゃ(メカ沢がいるじゃん! なんて無粋な突っ込みはナシね)、萌え美少女だって出て来ない(前田のママが……やめようね)。イマドキのアニメファンの趣味嗜好に堂々とそっぽを向いてるんである。マンガ原作読んでりゃ分かると思うが「動き」だって殆どないに等しい。 どちらかというと桜井さんが今まで監督してきた作品は、その「変形と美少女」系だったから、アニメとして魅せる要素のつかみにくいこの原作を、いったいどう料理するつもりなのか、気になるのであるが、もしかしたら「こういうの」を待ち望んでいたのかもしれない。ともかく「これまでにない作品を作る」ことに果敢に挑戦してきたI.Gなんだから、期待はしていいと思うのである。もっとも単なる資金稼ぎのために作るって可能性もなきにしもあらずなんだけど。儲かってはいない感じだからなあ(^_^;)。 キャストは、神山高志に『サイボーグ009』『金色のガッシュベル!!』の櫻井孝宏。あとは省略するけど、メカ沢新一に若本規夫・内藤玲・かないみかと3人もキャスティングされてるのはどういうわけだ。原作でも声が時々変わってたりしてたっけ。
昨4日、午前8時半ごろ、青森県弘前市の雑木林でアケビ採りをしていた熊沢慶三さん(68)の前に、突然、クマの親子が出現。母グマは熊沢さん目掛けて突進してきたが、熊沢さんは転んだ拍子に偶然巴投げをかけた格好になり、クマはそのまま坂下に転落、小熊ともども逃げて行ったとのこと。熊沢さんはがっしりした体格から仲間内では「クマ」の愛称で呼ばれていて、「クマさんがクマを投げ飛ばした」と大評判だとか。 なんかこういうニュースを聞くと、どうして『ウィークエンダー』は終わってしまったんだと思うよなあ。桂朝丸(現ざこば)さんに「〜なわけだ」と早口で報告してもらってたらさぞ面白かったろうにねえ。 このクマさん、柔道の経験はないけれど、クマ狩りの経験はあって、恐怖感はなかったらしい。インタビューで、「奥さんは気が気でなかったでしょ」の質問に、「2人暮らししてるけど、全然。帰宅して『クマと戦った』と言ったら、心配どころか思いっきり笑ってました」と答えてるけど、この奥さんも豪傑だよなあ。一歩間違えれば死んでたってのに、旦那さんを信じてたのか呑気なだけなのか。 政治だの経済だのってニュースより、こういう日常の中のちょっとした非日常(クマに遭遇するのはちょっとしたじゃすまないことではあろうが)な出来事の方が興味を引くのは、どんなに我々の生活に密接に関係してくるものであっても所詮は遠くの出来事でしかない政治よりも、身近な非日常の方が現実を照射する力があるからである。 「今の政治は狂っとるねえ」と愚痴ってはいてもどこがどう狂ってるのか、適切に説明できる庶民はそうはいない。それにいくら愚痴ったところで、何がどう変わるものでもない。言葉はただちに彼方へと雲散霧消するしかない。 けれど、こういう庶民の絡んだ三面記事というものは、家庭でも立派な話のタネとなり、引いては生きる活力ともなりうる。 「人間、どこでどんな目に合うかわからんなあ。クマに合っちゃう人もいるんだものなあ」 「でもアンタはクマに合ってもビビって逃げて、追いつかれて食われちゃうよね、きっと」 「そうはならないよ。抵抗した方がクマは逃げるんだってことわかったし、まあ何でも逃げてばかりじゃダメってことだな」。 トリビアの効能もこういう点にあるんだろうな。
今日は職場の草むしり。日当たりがいいのか、草の種の吹き溜まりにでもなってるのか、年に数回、総出で除草しないと、建物がマジで草に埋もれてしまうのである。まあ、OVAパトレイバーの第1話を思い出していただければイメージは掴めましょうか。 草を引き抜いてると、そこから当然、ミミズだってオケラだって出てくるのだが、まあ女の子が悲鳴を上げること上げること。ムカデやクモは特に「刺される刺される」と逃げ惑っている。ムカデはともかく、このあたりのクモが刺すかあ? 女の子の一人に「そんなに虫が嫌いかね」と聞いたら、「嫌いです!」と言って私をキッと睨んだ。いや何でそんな憎悪の目で私を見るか。私が虫をけしかけたわけじゃないぞ。 「蟋蟀とかはかわいいでしょ。ほら、コロコロ鳴いてるし」 「鳴いても虫です!」 まあ、そりゃそうだ。 「聞いてくださいよ、うちのおばあちゃんなんか、ゴキブリを足で踏んづけるんですよ!」 そう言われても昔の女性はみんなそんなもんなんだがなあ。おかしなもんだよねー、女性解放のフェミニズムがどうのって声が大になればなるほど、現実の女性はどんどん男に甘えて弱くなっていくんだから。 つか、今の女性、ホントに「土」から離れて暮らしてるんだね。汚いものは嫌いっていうの? それって誰にでもはっきりわかる偏見なんだけど、普通思っても口には出さないんだけど、そういう羞恥心も消え去っちゃったっていうのかね。 こういう女性ばかり見てたら、映画としては面白くないけれども、農村に嫁ぐ女性を描く『おもひでぽろぽろ』を作りたくなる高畑勲の気持ちもわからないではない、と思ってしまうのである。
CS日本映画専門チャンネルで増村保造監督・三島由紀夫主演の珍品『からっ風野郎』。 珍品とは言ったが、それは主演が三島由紀夫だからと言うだけのことで、映画自体はごく普通のヤクザ映画である。昔見たときには三島由紀夫の超大根演技に呆然としちゃったもんだが、水野晴郎を知ってからはこれでも随分マシに見えてしまうのだから長生きはするものである。 でもやっぱり酷いな、三島由紀夫。たとえて言えば、田中邦衛の口マネをする加山雄三なみに大根。増村保造にこってり絞られたとの話ではあるが、それでもこれが限界でしたか。だって「芝居してます」ってのがセリフからも仕草からも見え見えなのがねえ。どの映画評を見ても誉められてる例を見たことがないが、 唯一凄みを感じさせたのがラストで死ぬシーンの表情なんだけれど(まあこれはネタバレさせても構うまい。こんなバカキャラが最後まで生きてるなんてことありえないから)、まるで本人の未来を暗示してるようだね。そう言えば『人斬り』でも『憂国』でも死ぬ役でしたね、三島さん。
続けて『地震列島』。1980年製作のパニック映画だけれども、この時分にこの手の映画がやたら流行ってたのはなぜかってのを若い人に説明するのはなかなか難しい。 1970年代中盤くらいから始まっていた、プログラムピクチュア製作から大作路線へ転換していく映画界の流れと、洋画では『ポセイドン・アドベンチャー』『タワーリング・インフェルノ』、邦画では『日本沈没』に端を発したパニックもののヒットとが丁度あいまったから、くらいの分析しかできん。 90年代よりも70年代後半の方が、よっぽど世紀末的雰囲気は強かったのである。この流れの中で『ノストラダムスの大予言』のヒットもあったわけなのですね。 で、この『地震列島』、昔見た当初は、いい加減パニック映画にも飽き飽きしてたこともあって、ハッキリ言ってつまらなかった。 主役の勝野洋、これが前途有望たる地質学者だったんだけれども、政府の防災対策が全く立てられていないことに業を煮やして、「関東を襲う大地震が30日以内に起こる」と世間に公表してパニックを起こそうとしたトンデモないヤツ。これで地震が来なけりゃただの風紀紊乱の犯罪者じゃん、とか思ったものだったが、映画はもちろん都合よく地震が来てくれるので、よかったね勝野さん、といったところなんである。地震の予兆にしっかり「動物が騒ぐ」ネタも挿入されていて、ホントに地震学者が監修しとんのかいな、と首を捻ったものだったが、まあ地震予知なんて所詮その程度のレベルなんだろうね。 パニック映画定番の「大作感」もこのころにはすっかり薄れてきていて、キャスティングが相当苦しくなってきている。主役の勝野洋もそうだけれど、ヒロインが松尾佳代である。……いくらなんでもほかに誰かいなかったのかね。もう一人のヒロイン、多岐川裕美もこの手の映画にやたら出演していて食傷気味であった。確か思ったほどヒットしなかったのではないか。 あと、子役で松田洋治くんが出演。
2001年09月05日(水) 中華幻想/『仙人の壷』(南伸坊)ほか 2000年09月05日(火) 日向ぼっこしてるヒマに本が読みたい/ムック『アニメスタイル』2号ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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