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コールデコット賞の絵本展が、盛況のうちに終了。 最終日に一番人出が多かったと聞く。
展示された500冊以上の絵本ほとんどを所蔵している コレクターの意向で、 数冊の稀覯本や他所で借りた本をのぞいては 自由に手にとって読めるようにしたそうだ。
1938年から毎年発表されてきた、 アメリカの良心ともいえる珠玉の絵本たち。 正賞(金のメダル)・次点作(オナー賞・銀のメダル)の ほとんどが、原書と訳書ともにそろっていたのだから、 コレクター魂に感じ入る。
「ちいさいおうち」(ヴァージニア・リー・バートン)のように 世代をいくつか越えて愛されてきた古典絵本から、 2005年の受賞作までをながめると、そこにはやはり、 アメリカだけでなく、20世紀を生きた人々のビジョンが 映し出されている。 反面、人間の世界も、絵本の世界とおなじように 繊細な色づかいや細やかさが、少しずつ失われているのかもしれない、 と思わされたりもするけれど。
逆に言えば、それほど、初期の受賞作は デリケートだし、白黒で線引きできないエッセンスを 発しているのだった。
期間中に企画された、コールデコット本人が描いた マザーグースの絵本についての講演は、 講師のY先生の、なんとも軽妙洒脱、的を射た解説は、 これまであまりくわしいことを知らなかった「絵本の父」 コールデコットの視点や人柄を想像させてくれた。
どこの館とも全国を巡回する展覧会の受け入れが多いが、 それとて低コストとはいえないだろう。 こうした独自の企画展は、低コストで(おそらくは) どこまでのオリジナリティが出せるか、という 格好のお手本となるのではないかと思う。 それほど宣伝もしていないのに入場者が多かったことは、 テーマの親しみやすさと、絵本に寄せる主催側の熱意に 負うところが大きいだろう。 これから先、こうした展覧会の予算が減るなか、 開催意義のある展覧会を企画するには、 やはり、学芸員などの職員だけでなく、地域の人材を積極的に「使う」 ことが鍵なのだろう。 (マーズ)
2003年01月31日(金) 『フランス田園伝説集』
2002年01月31日(木) 『いちご物語』
2001年01月31日(水) 『ばらになった王子』
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管理者:お天気猫や
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