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■ 愛憎
愛憎とはよく云ったものだ
家族と一緒に暮らしていた高校生までくらいの頃、 父が随所で憎くて憎くて歯痒くて理不尽で仕方がなかった。 挫折感、屈辱感、理不尽感、恐怖、狂いそうなほどの怒り、虚無感、あきらめ、悔しさ 色々なものをもらった。 ただ、哀しさは思い出せない ああ、いや、違う、 色々な感情の嵐が過ぎ去ったあとに、哀しさが残っていたんだった。
お前はそうやって怒鳴ってスッキリしてるだろうけどな、 こっちはたまったもんじゃねぇんだよ! と しかしその怒りと涙を隠すことに全力を注いでやってきた。 あの時の感情に任せて書いたノートなどは、ちょっと恐ろしくて今見るには勇気がいる。 何だか呪われそうな異様なパワーがある。
早く大人になりたかった。 早く大人になって、あの人の養護のもとから、範囲のもとから逃れたかった。 権力下から逃れた処で、一人の人間として私は生き直すんだと。 いや、生き直すという概念はあの頃無かったな こんな生き方もあるのかと気付いたのは、つい最近だった そんなに言うんだったら、お前が口出しできないくらいちゃんと自立した大人になってやると もう何も言わせないと 息を巻いていた。
しかし今ぼんやり考えると 多分、幾つになってもどれだけ自立するようになっても 親は、親なんだろうな と思う
憎いだけでも無かった。 どうしようもなく大切に思ってもいる。 もしいなくなってしまうなんて事を考えたら、 父が一人でいる事などを考えたら、 泣きそうなほどに苦しい これを愛と呼ぶのか私はよく判らないけれど
父の事を思い出して色々な気持ちが蘇る時、止めようのない涙が出る。 けれどもう、涙を止めなくてもいいから不思議と気分は悪くない。
2005年12月09日(金)
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