脳内世界

私が捉えた真実、感じた真実などを綴った処です。
時に似非自然科学風味に、時にソフト哲学風味に。
その時その瞬間、私の中で、それは真実でした。


※下の方の○年○月っていうのをクリックすると、ひと月ぶんはまとめ読みする事ができます



 生まれさえすれば「助かる」?

体重差のある双子の妊娠、
一人の赤ちゃんは致命的、一人はまだ、大丈夫。


二人とも助かればいい、ともちろん、親御さんは思うだろう。

つらく長い、しかし出生後の未来に馳せる幸せと、
そこに行きつくまでの覆いつくされそうな不安に飲み込まれ、
独特の茫洋とした感覚でぼやかされる妊娠期間。であろうと想像する。

彼女らの一番身近なゴールは赤ちゃんを産むことであり、
その後の児の経過を具体的に想像することは難しい。

だが場合によって、条件によって、生まれたあとの赤ちゃんの経過はかなり厳しいものとなり、想像していた生活とは全く異なる事態になる可能性は大いにある。

たとえば双子で、片方が危ないから無理やり途中で帝王切開する。
危ないほうは、もしかしたら寝たきりの一生、最悪は短期間のうちに死亡。
もう一人の大丈夫だったほうも、とても早い時期に胎外に出されたことからくるリスク、障害。


子どもは、血縁だ。
たとえ離婚したとしても、親と子どもの縁は、絶対に存在する。

要するに、ただしく、一生付き合っていく相手であり、
場合によっては長きにわたり背負っていく相手である。


想像している未来は何だろうか?
生まれることさえできたら、自動的に、たぶん生きていける、と思うだろうか?

もし亡くなるとしたら、どうやって亡くなっていくか、想像できるだろうか。


この想像のギャップは大きければ大きいほど、苦しむことになる。
そして、それを容易に埋める方法は、
生まれない限り、限りなく難しい。
そして生まれたときには、もう遅い。



産科の医師が、
ふわっとした説明をするのは簡単だ。
実際にわからないのだから、そうするしかないのもわかる。
けど、結果的に「こんなはずじゃなかった」というのは、
だめだ。


「なんで生かしたの」と泣き崩れた別のお母さんの悲痛な声が、
今も耳から離れない。



2015年08月17日(月)
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