MAI MIYAKE EXHIBITION 2003◆
3月5日〜15日 11:30〜19:00(3/11は閉館 最終日は16時まで)
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ピガ画廊(東京都港区南青山2-14-12ヴィラ青山1F 銀座線外苑前駅より徒歩3分)
◆◆LOVE FOR SALE◆◆世界で太古の職業は春をひさぐ(愛を売る)女達だと、いつか誰かに言われて思った。全ての仕事は、最終的には愛を売る商売なのではないかと。愛は買えないくせに、売る事は出来るみたいだ。今回のタイトルLOVE FOR SALEはジャズの同名のスタンダードナンバーから取っている。
Love for sale,
Appetizing young love for sale,
Love that's fresh and still unspoiled,
Love that's only slightly soiled,
Love for sale!
Who will buy?
Who would like to sample our supply?
Who's prepared to pay the price
For a trip to paradise?
Love for sale!
Let the poets pipe of love,
In their childish way,
We know every type of love,
Better far than they;
If you want the thrill of love,
We've been through the mill of love,
Old love, new love,
Every love but true love!
Love for sale!
Appetizing young love for sale,
If you want to buy our wares,
Follow us and climb the stairs;
Love for sale!
この曲はタイトルどおりの内容である。この曲を聴くと私はいつも源氏物語の中で源氏が舟で春をひさぎにくる女達をみて、あれは売り物の愛だと源氏が教える一節を思い出す。ビリーホリデイあたりが歌うと「ちょっとよごれちゃいるけど、まだ売りもの私の愛を買う気はない?」と脱力系のコケットな感じで誘う、諦め中に薄く漂う希望がだからこそ、どこかはすっぱを通り越して切ない感じがする。ジャズの歌詞は悲しかったり、切なかったりがするものが多いが、酸いも甘いも、花も嵐も踏み越えた人間だけが持つ、優しさやがいつも行間に漂っているところに惹かれる、絶望的に見える恋や人生に翻弄されているようでいて、どこか動物としての生命力や土くささ、女の持つ原始的な強さがあるような気がして、私は安心して身を委ねてしまう。暖かい部屋の臭い、お正月晴れの高い青い空、まどろみかけた時に聞く遠くのやかんの蒸気のコトコト、高速道路に登る朝日、夏の終わりの虫の声、みんな私の知ってるジャズに似てる。どこか懐かしいのに鮮明な、子供の日の思い出のようである。それはどこか春にも似ている、春は地中深く眠っている冬を越せなかったもの達の楽しかった思い出が雪解けと共に地上に現れ、みせる幻想のような気がする。桜の花だけが人を酔わせるのもみなそのせいに違いない。子供の頃から古い歌ジャスばかりに反応していた女の子が大きくなり昔聞いた歌に捧げる個展である。