こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2003年01月19日(日) 真昼の夢
昨晩、座薬を打ったからか子供の熱は少しだけ治まった。
今日が日曜で好都合だったと胸を撫で下ろす。
仕事も休みで子供と一緒に御絵描きをしたりパズルをしたり・・・・。
一日中、家の中で過した。
子供もユックリ私と居られるのが嬉しいのか、
熱があってもニコニコして遊んでいた。
オヤツの林檎を食べた後、二人で御昼寝をする。
保育園で御昼寝をしていた所を見た事が一度あるが、
自分のミッフィーの布団でポツンと眠る子供を見た時、
一人ぼっちで眠って何だか寂しそうだな・・・と感じていた。
実家の母は
「何時までも子供に添い寝していると自立心が育たない」
と前に言っていたが、
そんな母だって・・私が小学校にあがるまでは
ベッタリと私を抱きかかえて眠っていた。
子供を抱かかえて眠る時・・私はこんなに幸せで良いのだろうかと度々思う。
それが今日は・・・・そんな幸せな眠りを邪魔するものが現れた。
ハードワークな仕事に就いて、最近は疲れもあってか
浅い眠りばかりしていた私が時々は酷く深い眠りに落ちて、
同居人が帰宅した事さえ解からずに居る日もあるというのに・・・。
きっと御正月だった・・・。
何故か私はその広場に居た。
見回すと子供が見慣れたスノージャンバーを羽織って居る姿の他に、
何時ものダッフルコートを着た同居人も傍らに居た。
辺りは薄暗く日が落ちているのが解かったが、
新年のカウントダウンイベントに来ていたのか、
いたる所でライトが照らされて、冬祭の様だった。
雪で作られたステージの上では見知らぬ男が、
司会進行役で笑顔を振りまきながら何かを話していた。
よく周りを見回すと、他の地方からやって来た人達が寒さに耐え切れず
防寒コートの他にスッポリと頭の所をくり抜きキャンプシートの様な物を
被っていた。シートが大き過ぎるからか1枚のシートを4人くらいで被り、
4人分の頭だけがシートから飛び出た姿はとても滑稽だった。
寒さの中でも皆、楽しそうだった。
何処を見回してもニコニコしている人ばかり。
何がそんなに楽しいのか解からなかったけれど、
私は「良かった・・・」とそれだけを
思って、同居人と子供を広場へ残し
通路になっている小高い丘へ移動する為に設置されていた階段を登り始めた。
左に階段を登る人、右に階段を降りる人。
列が進むのがユックリで私は登りながら同居人と子供の居る広場を
何度も振り返りながら見下ろしていた。
そして、又無言で階段を登り始めた。
階段を登りきると私は、辺りをキョロキョロして何かを探した。
探し物が何であるかは自分でもよく解からなかった。
凍った道を少し歩くと私と同じ様に、
見慣れた男が銀の腕時計を何度も確かめながらキョロキョロして
何かを探している姿が目に飛び込んで来た。
そう思いながらも私は笑顔で彼に走り寄った。
聞くと彼は私がここに来ているんじゃないかと思い、
少しだけでも顔が見たいからと年末なのに家を空け、
逢いに来たらしい。
「でも・・・早く家に帰らなくっちゃいけないでしょ?
皆が待ってるし・・・・」
私がそう言うと只彼は頷いた。
そんな彼を目の前にして私は悲しくなって廻していた腕を彼から離し、
下を向いたまま動かなくなってしまった。
余りの悲しさに目が覚めた。
彼の夢なんて数えるほどしか見た事がない。
見たいと願っても、決まってそう願う時こそ出て来てはくれなかった。
何時もそうだった・・・・。
同居人に殴られた時や問題が起こった時・・・。
本当は彼に逢って何時も癒されていたかった・・・。
深夜の暗い道を私の為に車を飛ばして直ぐに逢いに来て欲しかった。
次の日、早い仕事があっても、
大好きなサッカーの試合があっても、
「そんなの関係ないよ」と笑顔で抱きしめて欲しかった。
でも、それは不可能な事。
彼には関係ないとは言い切れない大切な・・・・家がある。
もう部屋の中は暗く静かで何の気配もしなかった。
横を向くと子供はまだグッスリ眠っている。
同居人は深夜にしか帰ってこない。
「御飯・・・早く食べさせなきゃ・・・・」
そう思いながら、
世界中で私と子供だけが取り残された気分になった。