こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2002年09月02日(月) 藍色の空と三日月
午前2時・・・・・。
彼からメール・・・。
「昨日の事・・・まだ気にしているんだね・・・
というか・・・怒っているんだね。僕が意見した事も・・・。
頭痛は治ったのかな・・・?」
何時も何時も、私の体調の事を気にしてくれるのは有難い事だと思う。
同居人から、こんな風に心配なんてされた事の無い私は、
彼に出逢って、初めて「労ってもらう」という事を知った。
それはきっと、相手の事を大切だと思う気持ちが無ければ、
出来ない事だという事も解かった。
彼はどんな時でも、私を労ってくれた・・・・・。
普段は勿論、口論をして居る時も、問題が起こった時も、それは変わらなかった。
でも、私はそれを出来なかった。
出来ないどころか彼に色々労って貰っているのにも関らず、
自分自身で努力する事を忘れてしまって居たのかもしれない・・・。
何だか自分が道理から大きく外れた所に居るような気持ちになって、
何て返事をすれば良いのか、又解からなくなってしまった。
メッセを覗いてみるけれど、PCからメールをくれた筈の彼の姿は
何処にも無かった・・・・・。
今日、同居人は仕事が休み。
一日中、漫画の本を読んだり、ゲームをしたりしている。
何時ものように、私は別の部屋でデスクワーク。
そして、何時もの様に御腹がすいたら各自好きな物を作って食べる。
途中で友達から電話が来た。
家の生活状況を説明すると、
「まるで家庭内別居だね」と言って御互い笑った。
それでも「御飯食べるの?」「買い物へ行かなくて良いの?」
同居人は今日、遣らなくてはいけない細々した事を何度か聞いてきた。
「別に何もやる事は無いから・・・・」
私がそう言うと、同居人は少し寂しそうな顔をしていた。
子供は保育園へ行っている。
大人2人だけで居るからか、家の中はとても静かだ。
今朝、何時も通り彼からメールが来た。
「どうして返事のひとつももらえないのか わからないけど・・・
今日は暑い日になりそうだよ 暑さに負けずに頑張ろうね」
彼は私が全然連絡をしない事・・・寂しいと思ってくれているのだろうか・・・。
いや・・・少し怒っているのかもしれない・・・。
彼の問いかけには、ほとんど、無視して答えていない・・・。
何て答えて良いのか、解からない・・・。
素直に、「こう思った」「こうだった」と答えれば良いのかもしれないが、
「同居人との行為を回避する為の寝不足」
「子供を保育園に入れた目的」
どれもこれも、彼には無関係の事ばかりのような気がして、
言葉を色々捜してみたけれど、やはり見つからなかった。
このままだと、この前の長い休みの間、連絡したとか、しないとか・・・、
そんな事で些細な喧嘩をした時と同じようになってしまう・・・。
「何とか気持ちを切り替えてどうにかしなくっちゃ・・・・」
でも・・・そう思えば思う程、益々言葉を無くして行く・・・・。
夕食の後、昼間の静寂とは打って変わって、同居人と口論。
子供の育て方や余りにも常識とかけ離れた考え方に私も又嫌気が差してきた。
「俺なんて・・・・どうせ・・・・」
口ごもる同居人を前に私はハッキリ言ってやった・・・・。
同居人は出て行くからと言う。
私は借用書を持って来て「実家と私から貴方に貸した御金の内訳と返済の旨を
キチンと書いて! !」と迫ったのに、同居人はペンも取らない・・・・。
そのうちに性格の話になってしまった・・・。
「自分の事を棚にあげて人の事を意見出来るような立場じゃないでしょ?」
「どうして、人の立場に立って話をしようとしないの?
どうして、自分の事ばかりしか考えないの?」
私がそう言うと、始めは納得しないで文句ばかり言っているものの、
そのうちに仕方の無いような顔をして「解かったって・・・・・」と相槌を打つ。
でも、その割りに私の揚げ足ばかり取って同じように嫌な気持ちにさせるのが、
同居人の手だ・・・・・。
今日も御互い渋々納得するまで1時間以上も口論していた。
その間、二人の口論に慣れ切ってしまっている子供は一人でテレビを見ながら
遊んでいた・・・・。
何時まで、こんな日々が続くのだろう・・・・。
何時になったら普通の平凡な幸せが手に入るのだろう・・・・。
彼から、帰りのメールもオヤスミのメールも何も来なかった。
きっと、メールしても返事の一言も返さない私に腹でも立てたのだろう・・・・。
メッセを見ても、受信履歴を見ても、彼が居た形跡は何処にも無かった。
夜になって「これじゃ・・いけない・・」と思って、彼のPC1件のメールを送った。
「放置しているつもりは無いのですが、
思う事があって何をどう言って良いのか解かりません。
暫くそっとして置いて下さい。
借りているお金の先月分の残りを払いたいので、
振り込み先口座を御知らせ下さい。」
今は暫く、色々考えよう・・・・。
遣らなくてはいけない事を終らせて、
遣るべき事を見つけよう・・・・。
それからじゃないと、彼に顔を合わせられないような気がして来た・・・。
そして・・・・。
彼が私に必要な人なのか・・・それとも、必要な人ではないのか・・・。
それも、キチンと考えよう・・・・。
彼も私と離れて、色々と見えなかった物が見えるかもしれない・・・。
寂しいけれど・・・・仕方ない事だ・・・・。
他人に余計な迷惑は掛けられない・・・。
それが、原因で別れていく事だってあるだろう・・・。
だから、慎重に事を進めなければいけない・・・。
「人に迷惑を掛けるな・・・」
あれ程までに子供の頃、頭に叩き込まれたというのに、
私にはまだそれを身を持って知る由も無かったんだな・・・・。
そう思うと情けなくなってきてしまった・・・・・。
深夜、煙草が無くなったので近くのコンビ二へ歩いて買いに行く。
今日は珍しく9月に入ったというのに暖かい夜だった。
それでも強い風が吹いていて、私の髪が何度も煽られる・・・。
コオロギや鈴虫達が生き急ぐ様に、悲鳴のような鈴の音を奏でている。
何だか寂しくて・・・涙が出て来た・・・・。
深夜徘徊している家の無い子供のような気分で、空を見上げると、
藍色をした空に綺麗な三日月が浮んでいた。
雲はあるのに、その間に間に北斗七星やカシオペア座まではっきり見える。
今年の夏、あんなに沢山、彼と深夜ドライブに行ったのに、
どうして、少ししか星を見られなかったのだろう・・・・。
本当は今日の様な日に彼に逢いたかった・・・。
二人で空を仰いで、時間も何処に居るのかも忘れて、
琴座のぺガが北極星になる頃は地球はどうなっているのだろう・・・と
そんな話を一緒にしたかった・・・・。
何時の間にか・・・又星を見上げていた瞳から沢山涙が出て来た・・・。
三日月だけが、そんな私を黙って見ていた・・・。