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2002年08月26日(月) 醜態

昨日の夜はベットの端に同居人が座って、
延々とこれからの生活の事を話す姿も内容も、
もうウンザリして口喧嘩へ発展してしまった。
同居人は自分の稼ぎの少なさを棚に上げて、私に外に働きに行けと言う。
私は結婚する前の仕事をやめたかった訳ではない。
自分の力で実績を作って、自分の遣った事が直ぐに跳ね返ってくる仕事だった。
誰かに素直に認められたくて、死に物狂いで働いた。
それを同居人が喧嘩の末に、私の腰骨を折ってしまい働けなくさせた。
私が流産仕掛かるのを「堕ろす手間が省けて良かったな」と嘲笑った。
始めから破綻していた結婚生活・・・・。
私の財産も何もかもメチャメチャにした挙句に、今度は自分の為に働けと言う。
そして、それが当たり前と言う顔で威張り散らしている。
この人の頭の中は自分の事でイッパイの様だ。
私の持ち物は自分の物の様に扱い、自分の物を使われるとイチイチ煩い。
そのくせ、人の話は聞かない・・・・。
本当に救いようの無い人・・・・。
外に働きに行くのは嫌じゃないが、同居人の為に私が働いた御金を使われるのは、
とても嫌だ。もう私は充分過ぎる位に同居人の為に労力も御金を使ってきた。
私の労働が、こんなヤツの為に泡の様に消えて行くなんて、馬鹿みたいな事はしたくない。

結婚する前に、こんな事があった・・・。
私はその日、仕事を家に持ち帰っていて、同居人を構う暇など全く無かった。
何度も掛かってくる電話に「今日は仕事があるから、会えない」と言ったのに、
同居人は無理に私の家に押し掛けて来た。
何の為に家に来たのか・・・・。
私は自分勝手な同居人に怒りさえ覚えた。
最初は別々の部屋で過して居たが、やはり仕事には集中出来なくて
イライラしていた。
そのうち、もう仕事は諦めて黙々としていた所に別室から同居人も出て来た。
リビングの机の上には疲れた体が欲していた、チョコレートを置いてあった。
寝不足と疲労した時に、チョコを食べると又集中力が戻って来るように感じて、
時々、無性に食べたくなる時期があった。
同居人はそれを見つけるや否や、無言でムシャムシャとチョコにかぶり付いた、
私に一言も「チョコ食べてもいい?」とも聞かずに・・・。
私の態度を見れば勝手に押しかけた事に怒っている事なんて
直ぐに解かるような物なのに、
何故、そういう態度を取れるのかも、人の物に勝手に手をつけられるのかも、
全く理解不能だった。
私はその後、同居人が勝手に帰るまで、ずっと不機嫌だった。
まだ、付き合って1ヶ月経つか経たないかの時期の事だった。
今になって考えると何故あの時、同居人とのモラルの違いに、
気がつかなかったのだろう・・・・。

私の母も同居人の事をこう言っていた。





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母は自分の子供の事を決して褒めたりしない。
私も褒められた記憶など無いに等しい。
私も母に対しては人として尊敬する部分はあるけれど、
母としては合格点をあげられない部分が多々ある。
小学校の高学年になると、やれ趣味の陶芸だ、着物だと言っては
家を留守にしがちだった。
だからと言って養父はそんな母を怒ったりせず、微笑ましく見ていた。
私が何かヘマを仕出かして、両親に迷惑を掛けた時などは、
母はまず私を頭ごなしに叱っていた。
「他人様に迷惑を掛ける事はするな」と何時も言い、私に非を認めさせてから、
やっと、話を聞いてくれた、そして最後には、その話も「貴方の言い訳でしょ?」の
一言で片付けさせられてしまう。
それは相手に落ち度が在った時も変わらなかった。
どんな時でも相手が悪いとは認めて貰えず、私ばかり悪く言われてしまう・・・。
問題が過ぎ去って、暫くして「あれは私が悪いんじゃない」と言っても、
その姿勢は変わらなかった。
子供ながらにそれは理不尽だとは思っていた。

だが、そんな母でも一つだけ誇れる事がある。
それは決して、誰の前でも養父の悪口を言わない事だ。
今でも二人仲良く家で家業を営んでいる。
そして、子供の目から見ても、それは互いを互いに必要としている姿だと思う。
養父は前の妻を自分の起こした交通事故で亡くしてしまったし、
母は不毛な結婚生活の果てに、とても苦労した人だから、
御互いに痛みを分かち合う方法を知っているのかもしれない。
子供心に養父に対しては反感を持っていたけれど、
本人達にしてみれば、親類や近所からの「後妻」というレッテルを貼られた
目を御互いにカバーして励まし合って来たのだろう・・・・。
実家を離れ、親の有難味や夫婦の在り方を自分自身で問いた時、
私も結婚したら、母と養父の様な強い絆を持つ夫婦になりたいと強く思った。

でも、今の生活は全くもって正反対。
同居人は人の痛みなど全然、解からない人だし、
寧ろ自分さえ良ければ、それで満足な人。
そして、その様にしか親に育てて貰えなかった様子だった。
それが解かったのは私が出産して直ぐだった。
本来ならば出産した後、家事を手伝いに来てくれる筈だった私の母は、
家業が余りにも忙しすぎる為、急遽、同居人の義母が来てくれる事になった。
実は同居人の義母は身障者で耳と言葉が少し不自由な為、
普段は自宅と施設を行ったり来たりしている人だった。
そして、それは義父も同じだった。
同居人が五体満足なのが不思議な位の話だ。
それでも、義父は理髪店を経営している。
身障者が働ける職は限られているから、
とても、立派な事だとは思うが経営不振のようだ。
身内から何度も違う職を紹介されるがナカナカ腰が重くて、
借金がかさんでいるみたいな事を言っていた。
私の出産時は同時に引越しも重なってしまったので、子供を連れて新しい家に
行くと、まだまだ荷物はダンボールに入ったままだった。
産後の肥立も余り良くなかった私は、もう既にその次点でイライラしていた。
授乳の時間も長くて睡眠不足も重なり、一週間を過ぎても荷物は片付かなかった。
家に居るとイライラが募るばかりなので、私はまだ生れて間もない子供を連れて
何時間か同居人と用事に出掛けた。
気分転換もはかるつもりだった・・・・。
丁度、夕食の時間も重なり家に戻ってみると、義母が台所で何かを作っていた。
香辛料の臭いが鼻について、覗いてみると献立はカレーだった・・・。
「今日の御飯食べられない・・・・」
私がそう言うと、同居人が怒り出した。
私は義母に言った筈だった・・・。
「産後の肥立も悪いし、授乳中だから刺激物は食べられませんから・・・・」と、
それなのに、「カレーは息子が好きだから」と言って
当たり前の様な顔をしている。
自分も子供を産み育てた筈なのに、どうして出産したばかりの女に、
カレーを作るのか、授乳も上手く行っていないのに、
こんな時に刺激物を摂ったら、もっともっと授乳出来なくなるのは解かる筈。
私は虚しくなってしまって思わず、やめていた煙草に火をつけた。
そこに同居人が殴り掛かって来た。
同居人にしてみれば、自分の母が作ったものを口にしない自分の嫁の態度と、
子供に授乳する事が仕事の私が煙草に火をつけたのとで
怒り狂っていたのだと思う。
私の言い分からしてみれば・・・・、
睡眠不足と子供をあやしても御乳が足りなくて泣き止まない状態と、
それから、ナカナカ片付かない荷物と食べられない献立に・・・・。
とにかく、色々な事でストレスを感じていたのだと思う。
所謂、マタニティーブルーの最悪のケースだった。
そして、そんな私と同居人の遣り取りを見ていた義母の取った行動は、





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きっと、私も同居人に只で殴られるのが嫌だったので、
抵抗をしていたのを見たからだとは思うが、
本来ならば自分の息子の手を掴み、幾ら腹が立ったとはいえ、
殴るのはいけない事だと説くのが親の勤めではないかと思う。
その時、私はストレスで自分の子供まで巻き添えにしてしまいそうな
勢いだったので、直ぐに実家に電話を掛けて、事の成りを説明した。
電話で話を聞いた、その時の母は同居人の義母に
「うちの娘も出産で疲れているので神経を逆撫でる様な事は
しないであげて下さい」
と言い、同居人にも同じ事を言ってくれた。

それから、何度か夫婦喧嘩の末に離婚する・しない・と言い、
私も腹が立って同居人の実家に電話をしてみるのだが、
この時と同じ様に何も解決しない。
そして、仕方無しに自分の実家に電話を入れてみるものの、
何時も「私達には関係無い事だし、すみれが起こした問題なんだから、自分達で
解決して頂戴」
「アンタに非があったんだから、こんな事になっているんじゃないの?」
と私を責める一報だった。
それが、ここ何ヶ月で変わりつつある。
冒頭でも書いたとおり、「このままだと食い物にされる」と母が言い出した。
それはきっと、お金の事であろうと思うが、
今まで母が人の陰口を叩く真似をしたのが見た事が無いからか、
いささか驚きでもあった。
きっと・・・前に仕出かした、叔父の会社での一件も肝に持ち合わせているのだと思う。
それにしても・・・何時も自分の娘の言い分を決して認めず、
人様ばかり立てて来た母にここまで言わせるとは
同居人も何て卑劣な人間なのだろう・・。
「アンタが選んだんだから仕方ないでしょ」と母はまだ言うが、
流石の私も「人選ミスでした」と答えるしか無いだろう・・・・。

それから、私は今まで一度も同居人の実家には行った事が無い、
ただ・・・将来何かが在った時は私達が義母や義父の面倒を見る約束を前に
した事がある、でも、同居人には兄が居て、本当の所はその人が後を継ぐことに
なるのであろうが、この兄も同居人に輪を掛けて卑劣な人だ・・・・。
ともかく、妊娠の時の事件をキッカケに私は死んでも同居人の実家には
行かない事を決め、それを同居人にも伝えてある。
義母や義父が身体障害者だったからか、同居人は溺愛されて育ったようだ。
私は母にまるで逆の育て方をされたからか、その心理が掴めない。
社会に出て自分の非を認められない人程、恰好悪い物は無いと私は思う。
自分達が障害者なら尚の事、子供が社会に出た時に自立して行けるように
育てて行くのが本望なのではないのだろうか・・・・・。
親はともかくとしても、この同居人の醜態は何処まで続くのだろう・・・・。
今日も言い争いをした後、暫くして平謝りをする。
私が不機嫌だと何日も口をきかない事を最近、やっと気が付き始めたらしい。
同居人と話さなくても私は普通に生活出来るのだから・・・・。
同居人も怒鳴るくらいなら、何も話さなければ良いのに・・・・。


今日は月曜なのに彼との予定は何もなし。
先日、彼と話して私も家族と居る時間を大切にする事を決めたのだが、
昨日から今日に掛けて、こんな事があったからか最悪の気分。
だからなのか帰りに聞いた彼の声が一段と優しく感じる。

「今度、逢った時はイッパイ、チュ〜ってしようね〜」

大の大人がこんな事を話すのも、どうかとは思うが、
今の私には目の前の下劣な現実から、
夢の世界へ誘う唯一の素敵な口説き文句に聞こえる。



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