こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2002年08月18日(日) 変容して行く心境
早朝、彼に電話を掛けてから私も暫くすると眠ってしまった。
起きたのは9時だったが、同居人も子供もまだ眠っていた。
朝一でPCを立ち上げると、もう彼からはメールが来ていた。
「電話をくれたんだね・・・出られなくて・・・ごめんね・・・
携帯を下に置いて2階で寝ちゃったから・・
でもあの時間はまだ布団の中で起きていたのに・・・
気がつかなかったよ・・・
今日は3時過ぎまで親父に付き合ってあげようと思っているよ」
「そうだったんだね・・・・・」
心の中で妙に納得するが、それでもメールの返事は返せない・・・。
黙ったままダイニングテーブルの脇に座っていたが、
昨日、電話を掛けた弾みなのか、又彼の携帯のダイヤルを押してしまった。
RRRRRR・・・・・一度目の電話は又留守伝サービスに繋がった。
「もう、9時半・・・寝ているはずは無いよね・・・・」
RRRRRR・・・・・もう一度、電話してみる・・・・・。
「・・・はい、もしもし・・・・」
何日ぶりだろう・・・彼の声は・・・。
でも、私の耳には聞きなれた声としては、入ってこなかった。
「おはよ・・・。」
「おはよう・・・昨日、電話掛けてくれてたんだね。ごめんね、取れなくて。」
別に昨日の事で連絡を怠ってた訳では無いのに、彼はそんな事を言う。
何時もなのだが、私がムキにならなければ、決して責めたりはしない・・・。
この時も「どうしてメール返信をしないのか! !」とは言わなかった・・。
それも・・・そうだ・・・彼は実家に居て、そんな事を話せる状況では無かった・・・。
「御父さん・・・近くに居るの?」
「えっ?・・・うんうん。そうそう・・・・・・。」
本当に話しずらそうだ・・・・・・・・・。
「うん・・・・・・・・・・・・またね・・・それじゃぁ・・・・」
御互い・・・何て他人行儀な遣り取りなんだろう・・・・。
私は又電話した事を後悔した。
「眠ってしまおう・・・・・」
余りに寂しく感じてしまったので、もう一度、寝室に行き
子供を抱いて二度寝する。
眠っている間は彼の事など考えなくて済む。
最近は夢なども見ない。
見たとしても、私の夢の中に彼は絶対、出て来てはくれなかった・・・・。
私が目を覚ましたのは、もう12時近かった。
今日も又台所に立ったのは同居人だった。
最後の休みの日なのに・・・今日は笑顔もあった。
この休み中、遠出をしない代わりか、本当に何処にも行って居ない。
子供に何処にも連れて行ってあげて居ないのは余りにも可哀相だ、
そう言うと、同居人も同意して何処に連れて行くべきか一緒に考えくれる。
前はこんな事は無かった、「面倒だから行きたくない・・・」
何時もはそう答える同居人なのに、本当にどうしたんだろう・・・・・。
特に去年の休みと比べたら、段違いだ。
去年は一人で何処かへ出掛けたと思ったら、
深夜になっても帰宅しないという浮かない休みだった・・・・。
今年は子供も幾分成長して、同居人の言う事も理解して頷ける様になった。
それが楽しいのか、同居人も子供と言葉を沢山交わして笑っている。
「動物園は・・・今から行くと遅くなるし、水族館もなぁ〜」
本当に・・・子煩悩な姿だ・・・・。
こういう姿をどうして早く見せてくれなかったのだろう・・・。
何が可笑しくて夫婦間が上手く行かなくなったのか・・・・。
何処でレールから外れてしまったのか・・・・。
「そうだ! !郷土資料館へ行こう! !」
同居人がイキナリ提案した・・・・。
「えっ?あそこに行くの・・・・? !」
同居人の提案した場所は、私と子供が前に彼と一緒に行った場所だった。
そして、そこで「僕がすみれの子供のパパになるかもしれない・・・・」
そう言ってくれた場所・・・・・・・。
そこは家からはさほど遠くなく、緑も多くて子供が走って遊べる遊具も揃っていた。
同居人とは、一度も家族でそんな所へ行った事が無いと言うと、
彼は「僕が出来る事はしてあげたい」と言って、
私達を連れて行ってくれた思い出の場所・・・。
同居人は「そこでも良いか・・・」と私の顔をさっきから覗き込むように見ている。
私は・・・同居人に悟られてはいけないと思って、目を合わせずに居た・・・。
スケジュール帳は見られていたかも知れないが、
手書きの日記帳には、もっと細かく彼の事を綴っていた。
web日記を書く前は本当に事細かく・・・・。
同居人があれを見たからといって私の事は諦めているだろうと思うが、
今回の休みの態度を見ていると、どうやら、そのようには取れない部分も
多々あった。
先日の朝の小さな争いから、同居人はスッカリ私の事には
立ち入らないでくれている。
「家の中の事は休み中、俺がやるから良いよ」とでもいう態度だ・・・・。
私もやる事が色々あって、毎日バタバタ過しているのを知っているからか、
昨日もそうだったが・・・・休みの間は何もかも手伝ってくれている。
少し・・・・ほんの少し・・・・・『申し訳ない・・・・』という気持ちが生まれた・・・。
資料館は敷地がとても広くて、私が彼と行った棟とは別の方を歩く事になり、
少し胸を撫で下ろした。
同居人は思った以上に子供と楽しそうに遊んでいた。
持ってきたビデオカメラを回して子供を追い掛けている姿は、
誰が見ても『良いパパ』と映っただろうと思う。
そして、それは帰りの車の中で『良い夫』と言える物に移行してきた。
私が帰りの車の窓から、あの日「子供のパパは僕になるかも・・・」と言って
一緒に歩いた長い階段を眺めていると、同居人が横から・・・・。
「今日は皆で焼肉を食べよう〜。
皆で揃って御飯を食べられる日なんて、そうそう無いからな・・・。
ママも楽で良いでしょ?スーパーに行こう?」
イキナリそんな事を言って来た。
出掛ける時も、館内に居ても、無表情だった私だったが、
その時はビックリした表情をしてしまった。
同居人が、こんな事を言うなんて信じられなかった。
「御飯は何がいい?」
何時、聞いても答えは「別に・・・何でもいい・・・。」
そればかりだったのに・・・どうして今になって、そんな事を言い出すのだろう・・・。
今まで私の事を労ってくれた事なんて一度も無かったのに・・・。
今回の休みの態度と一緒に考えると、とても複雑極まる想いだった・・・・。
スーパーの駐車場では横に止まっていた車のエンジンが故障したらしく、
手助けしてあげた、御礼にメロンを一玉貰い、皆ホクホク顔で家に戻ってきた。
子供は疲れたのか御飯の時間まで眠ってしまった・・・・。
同居人も食事までの、つかの間ゲームをしている・・・・。
私はデスクに座ると考えた・・・・・。
「私の欲しいものって、こういう物じゃなかったのだろうか・・・・。
少し位の喧嘩はあっても、お互いの事を労って生活して行くこと・・・。」
「もしかして・・・・・・それは今、ここにあるのだろうか・・・・。
初めから・・・・私の手の中にあった物だったのだろうか・・・・。」
何だろう・・・・。
とても、複雑な心境だった・・・・それは今までに無い程の・・・・。
これから、私はどうなって行くのだろう・・・・。
このまま、同居人との生活を続けて行った方が・・・・
もしかすると、幸せなのだろうか・・・。
それとも、これは同居人の一時的な気まぐれなのだろうか・・・・。
考え込んでいると、彼から又メールが来た。
「すみれ・・・朝は話出来なくて・・・
しかも無愛想で・・・ごめんね・・・
それからすぐにメールも出さないで・・・
また寂しい思いをさせてしまったね・・・ごめんね」
あぁ・・・・もっと複雑になりそうだ・・・・。
これから、どうしたら良いというのだろう・・・・・。