こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME
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2002年08月14日(水) 懽楽な孤独




昨日はとうとう、メッセもメールも来なかった。
あれから私は、ずっと眠れずにネットサーフィンを繰り返していたが、
朝まで彼がメッセに姿を現すことは無かった。
私は彼に・・・・・

「私の事は・・・スッカリ忘れたゃったのかな?
私も貴方の事を忘れて・・・好きな所にでも行って楽しんでこようかな?」

「とうとう、今日はメールもメッセも何も無かったね・・・
眠れなくて起きていたけれど、もうオヤスミするね・・・」

そうオフラインを残して早朝にやっとベットに潜り込んだ。




案の定、今日は何時もよりも遥かに遅くの目覚めとなってしまった。
それでも、同居人と子供が起きるのはもっと、遅くになってからだった。
私がベットで色々考えながらボッーとしていると、
同居人は御腹がすいたのか急に起き上がり、
一人でブランチを作って子供にも食べさせてくれていた。
私は寝室の机に置いてある、PCを何度も何度も確認するが、
彼専用のメール受信ホルダーは光っていなかった。
一体、何をしているんだろう・・・・。
聞いていなかったけれど、何処か遠い所へ旅行にでも行ったのだろうか・・・。
それとも、急に体調が悪くなってしまったのか・・・・・。
一人で色々考えて疲れていた所、
同居人が子供を連れて近所の公園へ連れて行ってくれると言い出したので、
快くお願いして子供に手を振った。
その間、滞っていた家の掃除や洗濯物を急いで片付ける。
でも、それを片付けて何もやる事がなくなると、
又私の頭は彼の事を考え始めてしまった。
何だか・・・・一人で考えていると頭が疲れてきてしまったので、
彼の事を知る、私の友人に電話を掛けた。
友人に頼まれていた事もあって、その事を少し話した。
勿論、彼から全く連絡が無い事も・・・・・。
何時もは彼の事を良く思って居ない彼女も今日は私の寂しさが解かったのか、
最後に「連絡・・・来るといいね」と励ましてくれた。
私はPCの前に戻ると、彼の携帯へメールを一件送った。
何時も休日は携帯にメールは送らないのだが、
今日は何処に居るか解からないので携帯の方が手っ取り早く連絡が取れると思った。
内容を余り書き込んでしまうと彼の行動がソワソワして
周りに居る家族に可笑しいと思われるんじゃないかと思い、
ただ「何してるの?」とだけ書いて送った。

同居人と子供が公園から戻ってきたのは意外と早かった。
何度も何度も飽きずに、滑り台を上り下りしていたみたいで
同居人も疲れていた様子だった。
「普段、運動していないからじゃないの?」
感謝の言葉を掛けなければいけないのに、私の心はもう、同居人に対して
「有難い」と思うことを忘れてしまっていた。
子供に御昼寝をさせて私も又、眠ってしまった。
起きてみると夕方になってしまっていた。
同居人は居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。
「洗濯物取り込んで! !」と頼むと慌ててやってくれた。
きっと、浮かない顔の私の事を、体調でも悪いのだと勘違いしていたのだと思う。

子供も丁度起き出したので私は机の上のPCを咄嗟に開けて確認してみる。

「あっ・・・・メールだ・・・・。」

ドキドキしながら受信トレイを開けると彼専用のホルダーに、
1件着信メールが来ていた。
どうしたんだろう・・・。
何かあったのだろうか・・・。
御父さんに何かあっのか・・・。
何処か旅行にでも行って来たのか・・・。
色々な事が頭をグルグルしていたが、とりあえずメールを見てみる事にした。


「昨日は朝から墓参りと親戚回りで夜まで・・・帰ってきて疲れて
すぐに寝ちゃったよ・・・今日も昼頃まで寝ていてダラダラ・・・。
これから洗車にでも行こうかと思ってます・・やっと行動開始・・。
久し振りにトイレからメールだよ〜!」



家族に解からないように、わざわざトイレからメールを送ってくれたのは
嬉しい事だけれど・・・・。
私は何だか拍子抜けしてしまった。
幾ら親戚回りで疲れて居るからといっても、
「おはよ〜」の一言や「おやすみ」の一言も送れない物なのだろうか・・・。
昨日だってトイレからなら、何処からだってメールを送れたはずなのに・・・・。
昨日一日、彼は親戚の家で楽しく笑いあったり、
楽しく食事をしたりして来たのだ・・・。私が一日中、心配している間に・・・・。
それはそれで、この長い休みの前に心構えは出来ていたはずだけれど、
どうして、前半からこうなのか・・・。
ハッキリ言って・・・・・待ち疲れた。
私は彼がメールをくれた事に快く感謝は出来なかった。
暫く考えていたが、私は受信トレイを閉じて彼への返信をやめてしまった。


PCを閉じた後、久しぶりに同居人と子供と3人で
近くのスーパーまで買い物に出かけた。
彼に出逢うまでは毎週欠かさず、同居人の休日に家族で買い物へ行っていた。
毎週の事だったので、同居人は面倒臭そうな顔をしていた事も
シバシバだったが、それが当たり前の家族の繋がりみたいな物だと思っていた。
今日は本当に久しぶりに揃って出掛けた。
同居人も心なしか嬉しそうにしていて、
「あれ買う?」「これは?」と皆で食べられそうな物や
子供の好きな物をアレコレと買い物籠へ入れる。
食事の仕度の間にも同居人は子供と一緒に遊んでくれて居たので、
今日は思うように台所で立ち回れた。

御風呂に入れるのは面倒な顔をしていたが無理にお願いをして、
子供と一緒に同居人に入ってもらった。
それでも、慣れないのか子供が中々言う事を聞いてくれないので、
とうとう交代して私が御風呂に入れる事になってしまった。
御風呂に入る前・・・私がメールチェックしていると、
又彼からのメールが来ていた。
今度はPCからだった・・・・。


「すみれ・・・ごめんね
13日は連絡できなくて・・・。
心配していたんだね、色々・・・。メッセみたよ。
パソコンも初めて今開いたばかりなんだよ。
すみれの盆休みの予定は決まったのかな?家はたいした予定もなく、
ダラダラとした休みになっているよ。
メッセもメールもいつもの様にあまりできないけど、すみれの事は
いつも考えているよ・・・。」



私は複雑な思いにかられたけれど、
それでも、このメールを見ても快くは思えなかった・・・・。







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私の事なんて・・・何時もは考えていないでしょ?
親戚と家族に囲まれて皆で楽しくやっていた昨日・・・・。
本当に私の事を考えているなら、その間にだってトイレに立って
メール出来たはずでしょ?
誰も・・・・親戚の所に行って、楽しんで来るのが悪い事なんて思ってもいないし
家庭を持っているのなら、そんなの当たり前だと思うけれど、
どうして、心の中で考えている人に連絡もなしで放っておけるの?
貴方は何時もそう・・・言ってる事とやっている事が伴なっていない・・・・。




私の心の中はそんな事ばかりでイッパイになりつつある。
彼は・・・生れてこのかた、独りぼっちになった事のない人・・・。
この街で生れて、この街で育った。
両親の揃った実家から学校に通い、就職をして、早々と結婚して所帯を持ち。
子供にも親類にも恵まれた。
だから、何時も家には誰かが居たし、何かある時は相談出来る
仲の良い兄弟も居る。
私からしてみれば、とても居心地の良い環境だろうと思うし、
恵まれた事だと思う。
前に彼に、こんな事を言われた。


「すみれは・・・同棲ばかり繰り返して来たみたいだけど・・・。
誰でも良かったの?」



「誰でも良かったとか・・・・・そういうんじゃないけれど・・・
寂しかったから・・・」


私はそう答えた・・・。
結婚するまでの間、私は彼と呼べる人が居なかった時期はとても少ない。
何時も誰かが隣に居て、一緒に笑いあったり、ふざけ合ったりして来た。
別れる時は良い別れもあったし、そうではない場合もあった。
付き合いの内容も本気の場合もあったし、そうではない場合もあった。
それでも・・・・・・
私は誰かに隣に居て欲しかった・・・。
仕事でどんなに辛い事があっても、相談出来る友人も少なく、
その友人とも週末に休みが取れない私は一緒に何処に行けるでもなく、
会社から帰宅する時間には皆、明日の為に休んでいる時間帯だった・・・・。
私は帰宅すると冷たく人気のない部屋で一人でテレビの音量を大きくして
コンビ二の弁当を開け、無言で御腹に詰め込んで、ソファに寝転んで眠りこけ、
朝方になってやっとシャワーを浴びたら、
出勤までのつかの間に冷たくなったベットに潜り込んで・・・・。
そんな生活はとても寂しかった・・・・。
誰かに私の事を心配して欲しいと思っても、
この広い世の中で・・・私の事を知る人なんてコレッポッチも居ない・・・。
まるで、そんな生活が延々続いていくような・・・
そんな恐怖に何時も怯えていた・・・。
一人の生活に疲れて・・「大丈夫だよ・・・私達が居るからね・・・」
と言って貰える両親は遠くに居て帰りたくても帰れない・・・。
独りぼっちは・・・・嫌だった・・・。
余りにも孤独で本当に死んでしまうんじゃないかと思ったこともあった。
会社帰りのコンビ二で私と同じように一人、弁当を買って居る人を見掛けると、
誰かれともわず
「スイマセン・・私と一緒に御飯を食べてくれませんか?」と
声を掛けたくなった事さえあった・・・。
だから、誰かが家に居て仕事から帰って家に灯りが燈っていると、
本当にとても暖かく感じた。
それが、本当に好きなのかどうか解からない相手でも・・・。
孤独や寂しさと戦うよりも、とても楽だった・・・。
隣に誰かが居ると安心したし、心が繋がっているかどうかなんて、
その頃の私には関係なかった。


「本当に・・・・・独りぼっちになった事・・・・・あるの?」


私も彼に聞いてみた。


「ないかもね・・・・でも、精神的に孤独だと思ったことはあるよ。」



精神的に孤独・・・・・・・・。
それって、何だ・・?
どんなに辛い事があったって、誰かと一緒に御飯を食べられるし、
私のようにソファーに寝転んで眠りこけても、朝には誰かが起きてくるし、
会社に行く前にも帰って来た時も、誰かが家に居て灯りが燈っているし・・・・。
それで、本当に精神的に孤独なんだろうか?
もし、それが本当の「精神的に孤独」だとしたら、
私が味わった、あの孤独は何だったんだろう・・・。
彼が言った「精神的に孤独」の状態が、昨日の私と、もし一緒の環境だったなら、
もしかすると・・・それはとても「簡単な孤独」なのかもしれないと思った。
昨日、私は彼に何かあったんじゃないか?
メールを送れない程、重大な事が起こったんじゃないか?
そう心配していたし、私の事なんてスッカリ忘れてしまったのかも・・・と寂しかった。
それは確かに「孤独」と思えるものだったけれど・・・。
それでも、隣には子供が居たし、心は繋がっていないけれど同居人も家に居た。
幾ら私が精神的に孤独だったとしても、
子供は「ママ・・ママ・・」と私を呼んでくれるし、
浮かない顔の私の事を荒立てないようにしてくれる同居人も居た。
あの頃・・・・私が味わった孤独と比べたら、
昨日の孤独なんて屁にもならないだろう・・・。








何だろう・・・・・・。
ここまで、日記を書いて読み返してみたが・・・
私は何にそんなに憤慨しているのだろう・・・・。
あの時の孤独に逆戻りしても良いから・・・・彼が欲しいと思っていたのに、
彼が、この休みの間、親類の所に行ったからといって・・・
私を放置した事に対してだろうか?
それとも、ただの家族への嫉妬心からだろうか・・・・。
昨日の事は・・私も「簡単な孤独」だと自分でも認めているはずなのに・・・・。
どちらにしても・・・・。
私はまだ・・・彼へのメールに返事を出せないでいる・・・・。



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