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2002年08月07日(水) 可能性と限界点




何だか疲れた・・・・。
朝、起きたらやはり目は腫れていた。
子供と同居人が起きてくる前にどうにかしないといけないと思い。
目を洗う専用器具をゴソゴソと出してくる。
洗浄液を目に当てていると、
又切ない気持ちがジワジワと胸の奥から込上げてくるのを感じた。
そんな気持ちを振り切って、
洗濯機を回し保育園の用意をして朝食を作る。
8時前には子供を起こして一緒に用意した朝食を食べる。
8時を回っても同居人は起きて来ない。
うちの朝の風景は何時もこんな感じ・・・。
同居人は朝食を食べない人だから食卓につくのは私と子供だけだ。
同居人は今日も暫くすると寝室から慌てて出て来て、
不機嫌な顔で煙草を吸いだした。
朝のスッキリした笑顔も無ければ、「おはよう」の挨拶も無い。
煙草を吸い終わるとバタバタと出勤の準備に忙しい。
私は同居人を尻目に子供の食事に気を取られながらも、
洗濯物を掛けていく。
10分後、予めの準備を終えた同居人が
「早く服を着ろよ! !」と子供を怒鳴っている。
2歳になったばかりの息子が自分で服を着られるはずも無いのに・・・・。
自分が寝坊してしまった事を他人のせいにして、苛立っている・・・。

「何て勝手な人・・・」

昨日も同居人の寝坊のせいで朝の2時間を無駄にしてしまった。
職場まで送る車中で、
「朝は皆、忙しいんだから、明日は寝坊しないでね」と言ったはずだった。
朝食を取らないのは人それぞれだと思っても、
挨拶が無い事には納得がいかない・・・・。
私の養父は子供の頃に言っていた。

「朝は一日の始まりなのだから、気持ちよく一日が過せるように
人にはキチンと挨拶をしなさい。
昨日の失敗を今日も繰り返さないように、
新しい気持ちになれる様、自分で自分を奮い立たせる為にも
挨拶はキチンとね。」

前の会社で働いていた頃、出勤してもダラダラとして挨拶も
ろくに出来ない同僚が居た。
彼女は周りを気にしない人だった。
朝から、そんなだらしない態度を見ていると、
一日の始まりが暗い物の様に感じた。

「どうして、朝からそんな不機嫌そうな態度なの?
見てると周りの人も不機嫌になるって言ってるでしょ?
子供にくらい、おはようって言えないの?」

私がそう言うと、同居人は逆に怒って免許停止なのにも関らず、
車に乗って子供と出て行ってしまった。
若い時は眠いものだと知っているが、
眠いのは自分が夜更かしをして、ゲームに熱中しているせいであろう。
物理的に言ってしまえば幾ら低血圧だとは言っても、
レムとノンレム睡眠の時間を考慮してベツトに入れば、
そんなに寝起きが悪くなる訳でも無い。
そんな事より一層、同居人に対する嫌悪感が増して行くばかりだった。





車がなくても子供の送り迎えがなければ、
日常生活に支障をきたす事は無い。
今日は歩いて近くのコンビ二まで買い物へ行った。
同居人が出掛けたすぐ後だったので、コンビ二へ行くまでの道すがら、
出勤途中のサラリーマンや学生の姿、
近所の家の庭に咲く花や小さな雀、
そんな物達を身近に感じられた。
車を運転するようになってから、こんな風に歩く事を忘れていた。
歩くのは嫌いじゃない。
街の雑踏の中を歩くのは嫌だったが、
行く先も決めない散歩のように、
色々道草をしながら楽しんで歩くのは好きだ。
花の美しさや空の雲行き、道を横切る野良猫を見ながら、
色々な事を考えて、そしてその考えは何処かへ消えて行く。
今日も色々な事を考えて歩いた。

「このままタラタラ歩いて行くと何処まで行けるのかな?」

「スローペースで歩いたてたら、限界は何処までだろう?」

「そもそも・・・・人の気持に限界ってあるのかな?」


別段、素敵な考えではないが、
素朴な疑問がポツリ・ポツリと浮んで来る。


私は本を読むのが好きだ。
子供の頃は8時には寝るように育てられた。
でも、夜鷹の私は8時になんて眠れるはずも無く、
子供部屋のこだま電球の下で何時間も隠れて本を読んでいた。
今も時間をたっぷり貰って食事の支度も子供の世話も
しなくても良いと言って貰えれば何時間でも飽きる事無く、
黙々と本を読んでいるだろう。
大人になってからはカメラを弄る事を覚えた。
写真を撮るのが好きになった。
それこそ、時間と現像代を貰ったらカメラバックを抱えて、
何処へでも行きたい。
本を沢山、読んだからといって文章を書くのが上手くなる訳でも無いし、
写真を沢山、撮ったからといって上手い写真が取れる訳でもないけれど、
好きな事を続けていくのは素敵な事だと思う。


「好きな物に対する気持ちには果たして限界なんてあるのだろうか?」


又一つ、そんな考えが浮んだ・・・・。

「私が彼の事を好きな気持ち・・・・・。」
「限界点は何処までだろう?」

コンビ二から帰って来る道で彼の事を思い出す・・・・。
私が同居人と生活を共にして、
「一緒に居るのには、もう限界かも・・・・。」
そんな風に想った様に彼に対しても同じように想う時が来るのだろうか?
どうして、同居人の事が嫌になったのだろう?
酷い言葉を浴びせられたから?
酷い事をされたから?
もし同居人が、そんな行動を起こさなければ限界は来なかったのだろうか?
「あぁ〜、折角良い気分で散歩も出来て朝一番の頑張る! !って気持ちも、
取り戻せたのに・・・同居人の事を考えるのはやめよう〜。」
そう思って考えるのをやめた。
お昼過ぎに同居人が車を置きに戻ってきた。
今日は地方まで行くらしく、その途中に家に寄ったのだった。
家の下で同僚が別の車で待っている。
いきなりタッパーを取り出して御飯を詰めていた。
私が作った御弁当は朝も持って行かなかったし、
車を置きに来ても持って行かない様だ・・・・。
どうやら自分では私に対する無言の抗議とでも思っているらしい。



今日はやはり散歩に行っても、
同居人の態度が災いをして、思うように遣りたい事が進まなかった。
夜になって子供と御飯を食べていると、点けていたテレビから、
アインシュタインの特集みたいなものが流れて来た。
ガイド役のとても綺麗な瞳をした男の人が
アインシュタインの晩年の言葉を借りて、
真摯に迫る表情で語りだした。
私の考えの虫が又、何処からともなくやって来て、
暫くジッと聞いていた。







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「あっ・・・やっぱり・・・・そう・・・だよね・・・・・。」
私は黙って画面を見ながら、そう心の中で想っていた。
瞳の綺麗な人は続けて話す。

「自分の可能性を否定しなければ人間は何でも出来る。
目標が定まったら、方法を探し出して、ただそれを目指して進むだけ。
目標をクリア出来るまで、沢山の困難や障害があるけれど、
達成できた事をイメージして僕は進むだけ。
決して諦めなければ目標は必ず達成できる・・・・。
ただ、自分を信じる事。自分を信じて疑わない事。」


真意だと思った・・・・。
私が生きていて一番大切な事だと考えていた事を、
天才と言われたアインシュタインも同じように考えていたんだ。
少し・・・・嬉しくなった。
前に彼と初めて旅行に行った時、彼は同じような事を言っていた。
「困難な事も頑張れば達成できるよ」
私もずっとそう思って生きて来たけれど、
色々な事を経験するうちに、
そんな素敵な心は何処かで失くしてしまった。
彼に逢った時、
もしかして・・・その素敵な心を取り戻せるのかもしれないと思った。
でも・・・・・。
どうだろう、今の状況は・・・・・。
何の目標も無い付き合い。
目標も無い日常。




夜、会社からのメッセで彼と少し話した。
「今度・・・・私の信念みたいな物を話したいんだけど・・・」
彼にそう言うと、「いいよ・・・・」との返事。
このアインシュタインの話を聞いて、彼は何と言うだろう?
もし、これを否定したとすると・・・・、
彼は天才を否定した事になるのだろうか?
人の可能性を否定した事になるのだろうか?
きっと・・・・・。
可能性を否定した次点で人は限界を迎えるのだとしたら、
私も彼への気持ちの限界を見極めなければいけないのかもしれない。







そうそう・・・・。
誰かの本にも書いてあった。
「天才は凡人よりも眠れないのかと思っていたら、
凡人の方がどうやら夜更かしだ」
調べてみるとアインシュタインは8時間以上は絶対、眠らないと
調子が悪く不機嫌になったそうです。
私が凡人なのは解かるけれど、一日中寝ている同居人が天才?
そんな事・・・ある訳無いよね・・・。




それからね・・・。
私が高校生の時、友達とバンドを組んで






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私信・・・。
こんな私に長いお手紙を下さった事、感謝しています。
似た様な状況で似た様な気持ち・・・・。
とても親近感が湧きました。
今の状況は変わらないかもしれませんが、
今日、書いた日記の様に何処か心の中で、
そっと「こんな風になれば良いな〜」「こんな風にしたいな〜」
と思い描く事は悪い事では無いのかもしれません。
不可能な事を可能にする力ほど、素晴しく力強く、美しい物は
無いと思います。
ただ、一人の問題では無いので・・・・色々悩みますよね。
御互いに幸せになりたいと思う気持は一緒です。
又御時間がありましたら御手紙など・・・・・・。
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