こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME
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2002年07月23日(火) 言い訳




朝の6時半に目覚ましをセットした。
今日は一日、彼の日帰り出張に付き合う予定。
頭の上で時計が鳴っている。
「えっ?もう朝なの?」
なんて短いんだろう・・・。
このまま、ずっと彼の腕枕で眠っていたのに・・・。
そう思ったけれど、彼より先にそっとベットを出る。
まだ彼は眠っていた。
私の頭を乗せていた腕枕はそのままの形で。


「御腹がすいたな・・・・・。」
昨日の夜、買ってあったレーズンのクッキーを食べる。
彼も私も子供の頃、人気だった御菓子が好きだ。
「カリントウ」や「いもけんび」など・・・レーズンクッキーもそうだけれど、
今でもコンビ二に置いてくれるのは嬉しい。
先日から胃痛が酷いが、時々、胃拡張と胃液の分泌が可笑しくなったり、
食べ物が入ると急に消化が悪くなったり・・・・。
今朝は何故か普通に御腹がすいていた。
レーズンクッキーを半分食べた所で、
彼も隣に私が居ない事に気がついたらしい。
「起きてたの?」
子供の様に目をこすりながら起きてくる彼。
煙草に火をつける頃には、もう7時を回っていた。


通勤ラッシュの車を気にしながらホテルを後にする。
日帰り出張の、この道を彼と走るのは何度目になるだろう・・・・。
彼の営業担当地区は海沿いの街と、私の育った北の街。
これからも、こんな風に彼とこの道を走って行けるだろうか・・・・不安になる。
随分前の事の様に感じるが、彼からの仕事を断ってから、
よく彼は出張に連れて行ってくれる。
市内での仕事では無く、
担当地区の仕事を貰っていたから見ないと解らない事も沢山、あるし・・・。
気を遣ってくれているのかと心配になる。
商談が終るまで駐車場の車の中で一人彼を待つ。
それ程、長く掛からない打ち合わせなので私は本を読んだり、
ライフワークをしたり・・・待っている間も寂しくはなかった。
長くても30〜40分で車に戻ってくる彼。
資料を揃えて「じゃ〜行ってくるね。」とキスする彼に、
ここが取引先の駐車場だという事を忘れているのではないかとビックリする。


3件目の商談を終えると、今日の予定はもう何も無い。
それでも、帰る頃は夕方だ。
お昼もスッカリ回ってしまったので何処かで昼食を取ろうと言い。
彼は「海鮮チャンポンを食べたいな〜」と言う。
一軒の食堂に二人で落ち着く。
私は大好きな雲丹丼・・・・。
彼の前で雲丹丼を食べるのはこれで2回目。
春からずっと食べたいと言っていた。
前に雲丹丼を食べた時も彼と諍いがあって、
二人で雲丹丼を食べる事は絶対、実現しないと思っていた。
今回も状況は似たり寄ったり・・・・。
雲丹丼は何時の間にか仲直りの印みたいなものになってしまった。


昼食をゆっくり取っていたせいか、帰りは遅くなってしまった。
急いで高速に乗る。
そして、彼がゆっくり口を開いた。
喧嘩の後の一泊旅行だったが、御互いその事については話さずに居た。
意味の無い旅行だったのかも・・・・そんな風に私は感じていたが、
彼が最後の最後になって真意を口にした。

「離婚はね・・・したいと思っているんだょ。
もう、家の人には何も想っていない・・・・・。」

「だけど・・・子供の事を考えると・・・・子供の成長をこの目で見たい。
成人した姿を見てみたい・・・。」

「立派な成人として世に送り出してあげたい・・・
それまでに・・・親としてやるべき事はやってあげたいと思っている。」


心の中で・・・・・・・。
「嘘吐き・・・・・・。」
と諦め顔の私が居た。


ザッと考えても彼の子供が成人するまで10年もある。
そんな・・・10年なんて・・・。
10年も彼と私が付き合って居る事なんて考えられない。
その内、きっと私は同居人と離婚するだろうし、
子供も小学校の高学年になっているだろう。
今よりも状況が悪化しているかもしれないし、
年を重ねる度にもっともっと、柵も多くなるかもしれない・・・。
年の初めに彼が私に言っていた・・・。

「今年は・・・・なるべく早く、すみれと一緒に暮らせるように努力する。」

全部、嘘だったのだろうか・・・・・。
彼は架空の話をしていたのだろうか・・・。
子供は何時か自分の元を去って行ってしまうし、
子供の為に自分の人生を賭けたりはしたくない。
自分のために・・・思うままに生きて行きたい・・・・。
そう言っていたのは誰だったのだろう・・・・。

どちらにしても・・・・。
彼は自分の子供との生活を選んだのだ。
それは・・・家族と生きて行くという事と同じ。
子供が成人する頃には彼の家庭も何か変わっているかもしれない・・。
家の人と心を触れ合わせたりしているかもしれない・・・。
先の事なんて誰にも解らない・・・・。
それでも、私に「子供の事が・・・・・。」という彼はきっと、
死ぬ時も子供に自分の人生を捧げて後悔はしないのだろう・・・。


「今は・・・・離婚出来ない・・・・。」
もう、何度も何度も聞いてきた・・・・。
子供が可哀相だから・・・・。
子供の将来が・・・・・。
何時も言い訳は同じような事。
そんなに子供が大切なら、
何で私と付き合っているのだろう・・・・。







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