こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2002年07月22日(月) 御泊りデート
昨日の諍いで二人で決めた事、
電話やメール、メッセでは他の人の意見や離婚の話などはしない事。
私達は将来の確信は出来ない二人だから、
ほんの些細な事でもイザコザに発展してしまう。
それは私の、この支離滅裂な性格によるものが、ほとんどだけど・・・。
何かと顔を突き合わせていないと、
御互い何が真意なのかも解らなくなってしまった・・・。
「喧嘩はもうしたくない・・・」
彼がそう言う。
私も無意味な争いはしたくないと思った。
このままで良いのかも・・・・。
このままで・・・何も変わらない方が幸せなのかも・・・。
昨日は少しそう思った。
約束していた御泊りデートは行く気がしなかった。
こんなに心が乱れたままで行くのには気兼ねした。
でも、彼がどうしても「行こう・・・・」と言う。
何か・・・変るものならば・・・・そう思って頷いた。
午前中は血液検査の結果を聞きに行った。
そんなに深刻ではなかったけれど、幼い頃に手術を繰り返した結果、
消化器官の低下が頗る目に見えて衰えているとの事。
水曜にエコーとCTを使って再検査。
家に戻って家事をこなすと出掛ける用意の時間が無くなってしまった。
急いで用意をして電車に飛び乗る。
デパートで用を足して、彼に電話をする。
一緒に文具屋と本屋と彼の大好きなメーカーのプラモデル展へ行く。
とても、精密で細かい作品を見て回る。
「コレとコレね、子供の頃のクリスマスプレゼントでオヤジに貰ったよ。」
そう言う彼は今でも子供の様な目をしていた。
「一緒に生活していたら、真新しい棚を買って、
好きなだけプラモデルも陳列させてあげるのに・・・・。」
「この前・・・買ったコプラのプラモデルは何処に飾ってあるのだろう?
又、文句を言われて押入れの中になんて仕舞っていないよね。」
そんな事を思いながら一緒に回る。
彼は周りを余り気にしない。
「誰かに見られても外注のスタッフと言えばいいでしょ?」と笑う。
「それは・・・事実だけど・・・・。」と私が言うと、
「気にしないでいいよ。」と言う。
彼も私も・・・・思っている事は一緒なのかもしれない。
二人はどう見ても、彼と彼女という感じではない。
やはり、取引先の仕事相手といった感じたろう・・・。
夫婦って・・・・よく似てくると言うから・・・。
彼の家の人は彼に似ているのだろうか?と不意に思う。
例えば・・・・、
優しくて何でも包み込む様な瞳や・・・・。
穏やかな口調や・・・・。
私も彼と一緒に居たら、似てくるのかな?と思う。
私と同居人はよく姉と弟に間違えられた。
顔のパーツはそれぞれ違うけれど、オーラが似ていると言われる。
性格も価値観も全く違う夫婦なのに似ていると言われるのなら、
彼と家の人が似ているというのも、きっと当てはまるだろうと勝手に解釈した。
予約時間にピッタリとレストランには着いた。
予約と言っても電車に乗る前に私が電話しただけ。
何時もの様に庭側の席に座りたかったから・・・。
一応、結婚記念日のフルコース・・・。
でも誰が見ても夫婦には見えなかったかもしれない。
それに・・・世の夫婦は記念日にフルコースを食べには来ても、
こんなに会話をして笑いあったりするのだろうか?とも思った。
私の知っている仲良し夫婦は、
二人でネズミ講を楽しんでいるか、
ギャンブルを楽しんでいる様な人達ばかりだし、
仲が良いというのは何処で判断するのか解らないけれど、
ただ淡々と食事をして会話の無い夫婦が当たり前の夫婦に感じた。
時々、ポツリと言葉を交わして、そして少し笑みを交わして又食事する。
そんな普通の行為を普通にしている人達が、
本当の夫婦と言えるんじゃないかと思った。
「きっと・・・淡々としていても、
何か同じ目的を持って生活している人達は何時までも仲が良いのかも・・・。」
そう思いながら、私は周りのウェイトレスが私達をどんな目で見ているのか、
とても気になった。
「何処かドライブでもしようか?」
食事の後、どうしようかと思ったけれど、
一番良い部屋をタダで泊まろうと思っていたので、
「少しくらい前延長を取られても、損じゃないよね」と言って、
少し早目にホテルに行く事にした。
その前に一件だけドラックストアに行き白髪染めを買う。
もう決して若いとは言えない年齢の彼。
ホテルについたら白髪交じりの髪を染めてあげる約束をしていた。
丹念に髪染剤をブラシで塗る。
生え際も襟足も、そうそうコメカミも忘れちゃいけない・・・・。
とても楽しい時間だった。
大きな喧嘩の後だったからか、
彼は私を終始気遣ってくれたし優しくしてくれた。
「う・・ん・・・時々・・・・・・・。」
そう答える彼から目を逸らして私は黙々と髪染剤を塗りながら、
「どうして、こんな事聞いたのだろう・・・・聞かなければ良かった・・・。」
と後悔した。
浴室に付いているテレビを二人で見ても、
暖かい手に触れていても、
それは心の何処かに引っ掛かって居た。
ただ、明日の朝、
目覚めても、隣に彼が居てくれる事が唯一の救いだった。