こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2002年07月21日(日) 彼の跡
昨日はどうやら、泣きながら眠ってしまったらしい。
朝は少し目が腫れていた。
決めていた御泊りデートも一方的にキャンセルしてしまった・・・。
日曜日でも連絡はくれると思っていた。
家に居ても、仕事でPCを開く時はメッセで、家人の目を盗んでメールで、
ちょっと外出する時は電話で、時間のある時は逢ったりして、
彼と私は繋がっていた。
そうやって彼は休日でも気に掛けてくれていた。
土曜も日曜も同居人は出勤だし、
子供と二人でボッーと家に居る私を寂しがっては居ないかと
心配してくれていた。
でも・・・・・。
今日は電話もメールも要らないと思っていた。
彼は私を束縛する事に関して「もうしないよ。」と言っていたが、
私自身、束縛されたい気持ちと束縛されたく無い気持ちと・・・・。
どっちつかずなのに何か置いて行かれた様な・・・・。
そんな気持ちになってしまった。
こんな子持ちで、みすぼらしい一主婦である私の事を
執着して考えてくれる事自体、有難い事だったのかもしれない・・・。
そんな風にも思ってみたり。
これから先、私が離婚して同じように束縛されても、
それを窮屈と思わずやって行けるのだろうか?と思ってみたり。
午後に彼のPCに一通のメールを送る。
「どう考えても、貴方に私を束縛する権利は無いです。」と・・・・。
夕方「これから、オヤジの見舞いだよ。」とメールがあった時、
電話をしないほうが良いのだろうか?と思っていた。
でも、反射的に受話器を握り締めている私が居た。
そう・・・何時もそうやって彼の優しさに甘えて居たし、
何時の間にか、そういうのが当たり前になってしまった。
もしかして・・・彼の思惑なのかも知れないとさえ思った。
優しくされる事、そして束縛される事で
私は自分を何処にも逃げられないように追い詰めてしまっていたし、
どうしても声が聞きたい、逢いたい、一緒に居たい、
そうやって横暴な欲求を抱え続けて、ここまで来てしまった。
何か・・・方向転換しなくっちゃいけない・・・。
今度はそういう気持ちに追い詰められていた。
電話を取った彼は優しかった。
一通りお父さんの様子を伝えてくれると、
「今日は何してたの?」と優しく聞いてくれた。
心とウラハラに静かに経過を聞居ていたが
何時の間にか昨日の事で押しつぶされそうになって、
とうとう言ってしまった。
「ねぇ、昨日のあの問題・・・もう少し後から話そって言ったのに、
どういうつもりで話題にしたの?」
酷く攻撃的な言い方だったと思う。
彼も束縛し過ぎて私が崩壊し始めた事に気がついていたし、
束縛しないでと言われるのに、
それを続けて嫌われるのが嫌だったのだと思う。
「だから・・・もう束縛しないって・・・。」
そう言われて「うん」と一言頷けば良かったのかも知れないけれど、
一度、流れ落ちた私の気持ちは後戻りできなくて、
彼に在る事無い事、自分の気持ちをぶちまけた。
「離婚も出来ないのに今まで何で親みたいな顔で私を束縛してきたの?」
「私が誰と遊ぼうが誰と寝ようが、貴方には関係の無い事でしょ?」
彼もホトホト私の攻撃的な物言いや、短絡的な所に
嫌気が差していたのだと思う。
私は耳を疑った・・・・。
へっ?今何て言った?
私の性格が嫌だから?離婚しない?
何、それ・・・・。
だったら、何で今まで付き合って来たの?
こんなになるまで解らなかった訳じゃないでしょ?
日曜なのに彼を呼び出した。
何度聞いても「今日は駄目だよ」と言う彼だったが、
「来ないなら死んでやる」位の勢いの私に圧倒されて彼も深夜にやって来た。
何を言ったか・・・ハッキリ覚えていなけれど。
「アンタなんて家族に愛されてもいないくせに・・・・」
「そうやって、年を取って死んじまえ! !」
「私の性格が嫌いなら、もう構わないでよ! !」
「いい加減、自由にしてくれっっ」
そうやって、彼を罵った。
大声で何度も罵った。
彼の車の中で私は錯乱状態だった。
彼はただ、頷いて・・・・。
「ごめんね」
と言うだけだった。
何を言っても・・・・。
「ごめんね・・・・」
「ごめんね・・・・」
「ごめんね・・・・」
何時もそうだった。
自分の感情を表に出さないで、
「ごめんね・・・」と言って逃げてばかり。
私は・・・・・。
思いっ切り・・・。
彼を・・・。
殴った。
左の耳を押さえて、
彼が背中を丸めていた・・・。
又、私が怒り出すと・・・・。
彼は私の両腕を押さえて、
「すみれの・・・そういう所を見たくない。
怒ったり泣いたり怒鳴っている姿を見たくない。」
そう言う・・・・。
「こんな風にしたのは貴方じゃないの?」と私が言うと、
「うん・・・・・・。」
と言って少し目を閉じて何かを堪えている様に見えた。
「あのね・・・あのね・・・・
束縛が嫌な訳じゃない・・・・。
それが当たり前になっていって・・・。
そして、自分が自分をガンジガラメにするのが怖かった・・・・。」
「どうして・・・・一緒に居られないの?」
「ねぇ?・・・・・どうして・・・・・・・?」
何かを必死に堪えている彼を見て、
私はそう言うと、大声で泣き出した。
彼は・・・・・・。
何も言わず、
ずっと私の背中を擦っていてくれた。
私達・・・・・。
やっぱり別れられなかった・・・・。
家に帰ってきてみると、
両方の手首にクッキリ彼の指の跡・・・・・。
ずっと・・・・。
消えなければいいのに・・・・。
ずっとずっと・・・・・。
そう思った。