こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME
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2002年07月19日(金) 花火は好きですか?

突然、同居人が仕事を休んだ。
二・三日前から体調が良くないらしいが、段々、酷くなっていく様だ、
朝はずっと眠ってる、掃除機を掛けられない・・・・。
時々、寝たり起きたりしている。
私も午後からは病院へ。
胃が最悪な状況になる前に手を打たなくっちゃ・・・。
胃カメラを飲まなくても薬を貰える唯一の病院へ行って見る。
血液検査の結果は月曜日に出るらしい、
大量の薬を貰って家に帰る。
帰ってみると同居人はテレビを見て寝転んでいる、
その姿はどう見ても、体調の悪い人という感じではない。
朝、具合が悪くて出来なかった洗濯をする。
洗濯をするのは割と好き。
小中学生の時、学校へ行く前の朝の仕事が「洗濯」だった。
養父と母と妹2人と祖父母と私の分の洗濯物をガラガラと回す。
その間、すぐ下の妹と家の中の掃除機掛けと拭き掃除。
洗濯物を干すのも私の仕事だった。
何処に何を干せば、効率良く干せるのかを考えながら、
洗濯物を一枚一枚、物干し竿に干していくのが好きだった。

「なんで、同居人の下着まで洗わなくっちゃいけないんだろう・・・。」

私は急に現実に引戻されて思った。
頼んだ事も何一つスンナリとしてくれないのに、
私には家事の事も食事の事も何時も、横から口を挟んで来る・・・。
洗濯物も食事の仕度も全部、自分で遣れば良い。
文句を言うエネルギーも減って楽だろう。
私はきっと、同居人の事はコレッポッチも愛していないんだろう。
何も思って居ない他人の世話で、ここまでするのだから、
毎日、うんざりだ・・・・。
ここに居るのが彼だったら、どんなに幸せだろうと思う。
彼だったら・・・彼のだったら・・・・。
そう・・・・彼の為だったのなら・・・。
食事の仕度も掃除も洗濯も・・・生活の全てが楽しくて、
素晴らしい物に感じるだろう。
何も障害が無く結婚していたのなら、もしかして同居人にと同じように、
彼に対しても、そうは思わなかったのかもしれない。
「亭主元気で留守が良い」
なんて、昔のCMであったが、今の結婚生活がまさにその通りだ。
だから尚更、次は何があっても好きで居られる人と一緒に居たい。
それは・・・・気持ちの問題にしても、現実的にも無理な話なんだろうか?
私はさっさと洗濯物を干すと、PCのある部屋にズッと閉じこもって同居人と
顔を合わせない様にした。喧嘩になるよりは幾分マシだ。
そして、それは一日中続いた。

今日、彼は会社でのデスクワークの日。
3度程、メッセが繋がる。
3度目のメッセはもう、時計の針は8時を回っていた。
もう少ししたら直帰するという彼、今日は車が混んで居るので、
ナカナカ家に着かないね〜と話す。
今日は私達が住んでいる街の大きな花火大会がある日。
川の河川敷で行う花火はもう、1年以上前から近くのホテルの部屋や、
ラウンジは予約でイッパイらしい、
過去に私も、その河川敷のすぐ横のマンションで暮して居る事があった。
その間に花火大会を見る事が出来たが、
非常階段の踊リ場は何処の階も満員だった。






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何時も私は悲しいのはイヤだから結末を見ないで、
空が明るいうちに帰ってきてしまう。

幼かった頃、御祖父ちゃんの背中で見た花火は、
何だか怖くて大声を上げて泣きながら見ていた。
皆が「ホラ見て御覧、綺麗だね〜」と言っても、
花火の後の静寂が、まるで独りぼっちを思い知らされているようで、
人の群れが空を見上げて彷彿としている顔を見ていると、
ここが現実の世界なのか、夢の世界なのか解らなくなるのは
大きくなった今も変わらない・・・・。

それでも、花火を嫌いになれないのは、
余りにも儚くて潔いから・・・・・。
一瞬一瞬は美しくても、終わって行く時はあっという間の出来事で、
情熱的な恋を見ている様。
そんな想いで花火を見ていると、
周りで空を仰いでいる人達に問うてみたくなったりする・・・・。

「この花火は何時まで続きますか?」
「この恋も終わりが来るのですが?」



花火(sanbun)for the summer1995 Copylight(C)sumire.





こんな、くだらない散文を書いたのは、もう今から7年も前の事なんだな・・・。
夏は余り好きじゃない、元々、とても寒い土地で生れたから、
暑いと死んでしまう・・・。
夏は外には出ない。
仕事をしている時は朝早く会社に行って帰る頃には日が暮れていたし、
ずっと屋内に居たから良かった。
冷房で体を痛めてしまって苦しかったけれど・・・。
花火の散文を書いた時は21も年上の妻子持ちの男と暮していた。
もうその頃は情熱的とは言えない恋愛期間に入っていた。
今の彼がこう言った。
「夏を知らない二人なんだね。」と・・・・。
私達は秋に出逢ったから、まだ夏を知らない。
あっという間に過ぎていく夏・・・。
夏が過ぎたら何か変わるだろうか・・・。
職業柄、言葉の使い方が上手い彼の発した、その言葉を想って、
少し切なくなってしまった。
とにかく、私は夏が嫌いなのだ・・・。
そして、花火も昔から好きじゃなかった。
でも、嫌いにもなれない・・・・。
不倫も好きじゃない・・・。
でも、彼の事を嫌いにはなれない・・・。
違うようにも思うし、似ているようにも思う・・・。



私は花火は見に行かない。


見た事が無いと言うと嘘になる。
でも、もうこれからは見に行かないと思う。
多分、一生・・・・。


きっと、沢山の人達が泣き叫んでいたと思う。
暑くて苦しくて・・・・。

「助けて」
「お願い通して」

そんな声が今でも聞こえてきそうだ。
誰かが最初に前の人の背中を押して、
それから、始まったと言っていたのを聞いた。
屋根に若い男の人が何人も飛びのって、叫んでいたとも聞いた。
若い男の人が道を確保するように叫んでいたとも聞いた。




誰かが悪かったのかもしれない。
誰も悪くなかったのかもしれない。




一緒に行った人が、
赤ちゃんが泣き叫んでいるのを聞いたと言っていた。
若い女の人達の履いていたサンダルだけを何処かで見掛けたとも言っていた。


彼女は斜め前に居た赤ちゃんを抱いた若いお母さんが、
必死に子供を庇おうとしているのを目にして、
場所を譲ってあげたのだった。
そして、彼女は端へ端へと押し流された。
一緒に居た人達の姿はもう見えなくなっていたと思う。
後ろにあったのか、前にあったのか、
鉄の柵が曲ってしまうほどの力に彼女の体は押し曲げられて、
そして、体全体が鬱血してしまった。
最後に彼女を見た人は顔も手も真っ青だったと泣いていた。
真っ青・・・・・。
そんな言葉じゃない・・・・。
どす黒かったのだ・・・・。
優しい彼女の顔はもう見られないほどに・・・・。

小さい頃は近くに住んでいた。
何時も優しく頭を撫でていてくれた。
大きな町になんて、行かなければ良かったのだ。
引越しなんてしなければ良かったのだ。
ここよりも暑い所の暮らしは大変だったのに・・・・。


又、あの夏が来る。


私の大切な祖母は言った。
「よくテレビだけで解ったね・・・。」
「見つけてくれて有難う。」
眠っていた私が何気なく起きてテレビを見て愕然とした。
10時か10時半だったのか・・・・。
何処かで聞いた事のある名前・・・。
心臓が音を立てて居た。
親類の一覧を書いた電話帳を開いて名前を探す。
違うよね・・・こんな苗字じゃなかったよね・・・。
手が震えていた。

名前は同じだった。
一字一句、ピッタリだった。
母に急いで電話する。
彼女の家族は気がついていなかった。
「また、何処かへ友達と行ったのだろう・・・」
「そのうち帰ってくるさ」
そう思っていた様だった。
最初に気がついたのは私だった。
悲しかった。
彼女はもう戻って来なかった。
元気な姿は見られなかった。

ソックリだった。
とても、仲の良い姉妹だった。
離れていても、お互いの事を気遣っていた。
本当に優しい人だった。



















私の大切な御祖母ちゃんの妹が突然、消えた。



































2001年7月21日
明石花火大会歩道橋事故
死亡





















































夏が嫌い















早く過ぎてしまえばいい

















私は二度と花火大会には行かない





























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