こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2002年06月14日(金) 今までの事<ふたりだけの世界>
<今の彼と付き合い初めて、3度の夜を共にした。
3度とも、1週間に1度という間隔で逢った。
私はその頃、親族会社で働いていて、
子供も保育園には預けず会社に連れて行って遊ばせていた。
社員の人も私の子供と遊ぶのが仕事の息抜きのようで皆、良くしてくれた。
仕事が終ると、母子家庭の社員の方の子供を代わりに
迎えに行ってあげたり、面倒を見てあげて過ごした。
同居人は何時も帰りが遅いので年頃も同じ2人の子供を1人で深夜まで見ている。
会社の人も残業があったりで家に子供を迎えに来る頃には、
彼も仕事が終っていて何時も電話で
「それじゃ〜帰るね。」と帰るコールをしてくれていた。
まだ、付き合い初めだった事もあり、私達はそれでも、満足していた。
そんな頃、夢のような話が私達にやって来た。
私の実家に近い地域に彼が出張で行くという話だった。
話を聞くと、3泊4日。「すみれも一緒に行けないかな?」
突然の誘いだったが嬉しかった。
「子供が居るし・・・・会社は休めると思うけれど・・・」
私は素っ気無く答えた。
まだ、自分の気持ちを素直に伝える術も知らなかった私は彼にそう答えた。
「そうか〜そうだよね。でも・・・考えておいてね、
もし、行けるようだったら一緒に行きたいんだ〜」
O型の彼らしい素直な返答だった。
出張に不倫相手を連れて行って大丈夫なんだろうか?
行けたとしても同居人の休みと合わせてくれないと誰が子供の面倒を
見るというのだろう?
難問は沢山、あった・・・。
彼は出張の日取りを私に合わせて考えてくれていた。
その日取りは誰が考えても勤め人の彼が出張に行くには可笑しい日取り
だったのだが、彼は自分の家への言い訳もちゃんと考えて居てくれた。
私はそれより、もう何年も男の人と旅行に行った事が無く、
そちらの方が心配だった。
同居人とは結婚する前も結婚した後も新婚旅行も休日や有休を使って、
何処かへ泊まりに行ったことも一度もなかった。
自律神経の発作は子供が産まれてから完治しているように思えたけれど、
何時も子供とピッタリくっついていないと怖かった。特に地下鉄では
ベビーカーで乗り込んだとしても、
子供を抱きかかえる様にして居ないと動悸が聞こえた。
私は結婚してから自分勝手に行動する事は無かった。
何時も、家族と一緒だった。何かする時には同居人に良か否かを
絶対、聞いていたし、
買い物にも出来るだけ同居人と一緒に行った。
当たり前の事だったかもしれないが、それが「家族」という物だと思って
今までやって来た。
何でも相談して何でも分かち合うのが「夫婦」だとも思ってきた。
しかし、同居人は違った、すぐばれる様な嘘を何度も吐いて、
私の「家族」「夫婦」という、信念みたいなものを随分、困惑させられてきた。
ずっと思っていた・・・・。
こんな同居人に対して当たり前の事をキチンとやっている自分は
一体、何なんだろう?
自分の存在価値って何処で理解してもらえるんだろう?
自分で自分の事が嫌になっていた。
「仕事で叔父と実家のほうへ行くから、ついでに御祖母ちゃんの所にも
顔を出して来ようと思うけど・・・・」
「休みが丁度、重なるし食べる物は用意しておくから、これを食べてね。」
必要な物、食べるものを指示して私は日曜の夜に彼と待ち合わせて
出発する事を決めた。
旅行に向う車中、ずっと手を繋いでいた。
横に3度しか夜を共にしていない男の顔・・・・。
それでも、私は安心していた。
逢った回数は少なくても私達はきっと、自分達の家族と会話する時間よりも
多くの時間を共有していた。
出勤時間にメールと電話。会社からはメッセ、彼が帰宅する間、
ずっと電話で会話する。
家に戻って食事をして御風呂に入ったら又、メッセ。
まるで、同棲でもしているかのような、そんな、毎日の遣り取り。
彼は「好きな人とは何時も繋がって居たいと思う。」と言い、
私もそれに同意していた。
車の中でも話はつきる事は無かった。
何時も私の話ばかりしていたが、その日は彼の話しを沢山聞けた。
仕事の事、友達の事、人に裏切られた事、
大切だったお母さんを亡くした事。
トンネルに入ると臆病な私の手が少し汗ばむ。
彼は少し心配して「大丈夫だよ」と言って強く手を握ってくれた。
「今晩は目的地まで行けないから、何処がで泊まろうね。」と彼がふいに言った。
私は昔の自分に気がついた。
強かった頃の私は何時も行き当たりバッタリで生きていた。
そうだ・・・・思いだした。あれは何時頃だっただろう。
前の不倫をする前だっただろうか?
世の中に悲しい事が、こんなに多いとは思っていなかった。
人の話を聞きもせずに、こんな風に好きな時に好きなだけ走って、
休みたくなったら休んで、又、何かを思い立ったら好きな時に走り出して・・・・。
自由に伸び伸びとしていた昔の私。自由に旅をしていた私。
私は・・・・・。
何時から、こんなに臆病者になったんだろう・・・・。
私は何時から小心者になって、自分の世界の中だけでしか
息を出来なくなったんだろう・・・・。
突然、彼の携帯が鳴った。
現実へ引き戻されて「誰から?」と聞くと、彼の自宅からだった。
彼が電話を掛けなおすと電話口から明るい女の人の声が聞こえた。
彼が何かを説明している。
PCの事だった。
「今電話くれた?何かあった?うんうん・・・。
それはあのフォルダーの中に閉まってるから・・・・・うんうん。
それじゃ無いと思うよ?
こっちは開けてみた?もう一度、調べてみて?うーん、検索してみたら?
今は状況が解らないから、帰ってみて調べてみるよ・・・・・うん。
解った、それじゃ・・・」
とても、落ち着いた口調だった。
私の家とは大違いだった。
普通の家庭では日常の遣り取りってこんなに、優雅な物なのだろうか?と
思いたくなる程、理性的な話し方だった。
少し・・・・嫉妬した。
「ナンカ、怒ってたみたい・・・・」と言う彼。
勝手にPCのシステムを入れ替えて奥さんが自分で使いこなす事が出来なくて
怒って電話を掛けてきたみたいだった。
それでも、彼は腹を立てずに一つずつ丁寧に教えていた。
目的地に今日は行けないので、丁度、中間地点にある街のホテルに
私達は泊まる事にした。
その時も彼の携帯には息子さんからメールが来た。
「仲の良い家族なんだね・・・・・」私は笑いながら言った。
でも、心では嫉妬していたと思う。
「私、浮気しちゃおっかな〜?」冗談交じりに言うと
「駄目!!絶対、駄目なんだからね!!」と言う彼。
その日はギューっとしながら、グッスリ眠った。
「明日も彼と一緒に居られる、誰も邪魔しない。
朝になっても帰らなくてもいいんだ・・・」と思うと、とても、安心した。
次の日、目的地についた彼は仕事が待っていた。
それでも、仕事していた時間はとても、少なく。
「挨拶程度でいいから、ちょっと待っててね。」と言って猛スピードで
何件もの仕事をこなして行った。
夕方、事前に予約していたホテルにつく。
ホテルがある街は昔、私が住んでいたところに近い大きな街で、
よく学生の時に買い物や遊んでいた所。
懐かしくて夕食は繁華街に出て取る事にした。
川沿を手を繋ぎながら少し散歩して歩く、
きっと、この街に私達の事を知っている人は居ない、
何処をどう見たって仲良く会話しながら歩く私達は恋人同士にしか見えない。
そして、明日も私はこの人と手を繋いでいる。
時間が止まればいいと思った・・・・・。
夕食を二人で取る。
でも、そのお店のマスターが観光者のような私達に
何度も話しかけて来て、煩かった。
彼はそのまま聞かれた事を素直に答える。
人の良さが伺えた。
その夜、ホテルの部屋に戻ると二人で持ってきたノート型のPCを開いて
少し遊んだ。
彼が私のPCを触って色々、教えてくれる。
PC歴10年以上の彼、流石に聞いている私には解らない事だらけ、
ちょっと疲れ気味の私に気を使ってか、
とても面白そうなものを見せてくれた。
それはPCの液晶画面いっぱいの星空だった。
「これはね、今日の夜空と一緒の星座なんだよ?」
「それから、こっちが北斗七星でしょ、これは琴座。」
彼が一つずつ説明してくれる。
「へぇ〜凄いね〜。」私が画面の星座を見つめていると。
「だけどね・・・・これってね。ソフトをインストールした訳じゃなくて、
ネット上からダウンロードしたものなの」
「それも、お試し版(笑)」
「不可視ファイルっていうのがあってね・・・・」
ちょっと、大きな声では話せない、ホントにここでは話せない事なのだが、
かれはお試し期間を過ぎてもこれを見続けたいと思って、
何週間も掛かって、無料でこの星空を一生、見ることを確実な物にしたらしい。
「へぇ〜、そんな事が出来るんだぁ〜」
驚いた様子の私に彼が続けてこう言った。
「あのね、自分でどうしても、こうしたいって思った事をね、
諦めたり途中で投げ出す事が凄く嫌なの」
「どんなに困難な状況でも絶対、解決策はあるはずだから・・・」
「好きな事だったら、どんな事でも頑張れるでしょ?
困難な事も好きな事なら困難なんて思わないよ。
それに、自分の思った事が達成した時の喜びは何物にも変えられないよね。」
心臓がズキンッとした・・・・。
彼は私の後ろに居た。
その時の私の顔を彼は知らない。
きっと、泣きそうにしていたと思う。
彼が言った言葉・・・。それは私が今まで生きて来て、
何処かへ置き忘れてしまった気持だった。
私も昔は彼のように頑張ったら絶対、何でも達成できると思っていた。
その為に辛かったけれど努力も精一杯して来たつもりだった。
それなのに・・・・今までで一番、自分の命を掛けてでもと
願った事が出来なかった。
初めての不倫で堕胎を余儀なくされた時。
世の中にはどうしても出来ない事があるんだな・・・・・と
何処か生きてる事を諦めてしまった。
努力したって出来ない事は出来ないんだろ?
そんな目でしか物事を見られなくなってしまった。
私が置き忘れてきた気持はもう、奇跡みたいな事が起きなければ、
きっと戻ってこないだろう。
だから、尚更、彼が言ってる
「努力したら絶対、良い事あるよ。」って言う言葉が胸の奥底に突き刺さった。
ほんの些細な事なのかもしれない、それでも、何事にも諦めず、
努力し続ける事や忍耐強く居る事はとても、大切な事だと思う。
彼は・・・・昔の純粋に何かを信じている私の姿だった。
自分の可能性を絶対に否定しない、そんな彼がとても愛しく思えた。
「そういうところも・・・・・好きなんだょ・・・・。」
上手く伝えられなかったけれど、一言だけ彼に言った。
彼が「解ってるよ。すみれの言いたい事は解ってるんだよ。」と
言うかのように、後ろからただ、何も言わずにギュとしてくれた。
この人を無くしちゃいけないんだ・・・・。
この人を失ったら私の希望みたいな物も何処かへ行っちゃうんだ・・・。
そう感じた。
それと同時に彼の全てが私のものじゃない事を素直に悲しいと思った。
次の日、残っていた彼の仕事を終らせて、まだ、時間があったので、
そこから遠くない私の生まれた町に行く事にした。
夫に不倫をされて悲しみのどん底に居る友達と、
御祖母ちゃんの御葬式で実家に戻っていた友達と、
離婚して子供達と新しい彼と暮している友達と、
私の御祖母ちゃんに会った。
離婚問題で揺れている友達と御祖母ちゃんには彼の事を職場の人として紹介した。
子供と新しい彼と暮している友達に彼を紹介すると、少し呆れた目で見られた。
御葬式で実家に戻っていた友達は彼の事を予め話していたので、
「今度、一緒に御飯でも・・・・」という話でホンワカムードでした。
御祖母ちゃんの家は私の育った家。
そこで彼と一緒に御飯を食べた。
少し耳が不自由になってはいたが、昔と変わらず私を可愛い孫として扱ってくれた。
その日、私達は400km以上の道のりを帰らなくてはいけなかったので、
そうそうに懐かしい家を後にした。
どんどん、私の育った故郷が後ろになって行く・・・。
「あっ、あの店まだ残ってるんだ。」
「あそこで、昔よく遊んだたんだよ。」
彼は私の子供時代を想像して楽しそうに話を聞いてくれた。
途中の峠越えで彼が少し眠いから仮眠するね、と車を止めた。
私は見たことも無い程の無数の星が光る夜空を眺めながら一人で大人しくしていた。
暫くして横から彼の寝息が聞こえてきた。
私はジッと考えていた。
「今日が終ったら又、離れ離れになるんだ・・・・」
「どうして一緒に居られないんだろ・・・・」
「彼が家に帰ったら・・・・又、あんな風に優しい口調で家族と楽しく生活するんだろうな。」
私はこの旅行中、ずっと奥さんと彼の会話が頭の中でリフレインしていた。
そして、それはこの旅行の最後の夜となるホテルの一室で爆発してしまった。
「あのね・・・・私、やっぱり浮気してもいい?」
突然、彼に言ってしまった。
「どうして?」と聞き返す彼に間髪も入れず。
「ナンカ・・・このまま、付き合って行くと好きになり過ぎて、
自滅しちゃいそうだから・・・・」とそう言った。
「浮気」の話は前から出ていた、御互いを御互いに重荷とならないように
付き合っていくにはどうしたら良いか考えていた時に私が言い出した。
彼はそれを否定していた。
「どうして、逃げるの?二人で話し合って解決できないの?」
そう言われていた。
でも、彼は私の気持をきっと、理解できないだろうとそう思った。
私の毎日はそんなに幸せではなかった。
彼だけが、ここ何ヶ月間の間のせめてもの救いだった。
彼が居なかったら、きっと、もっともっと同居人とは喧嘩が絶えなかっただろう
そう思う日々もあった。
彼とメッセしていると、自分でも心なしか笑顔で居られるのが解った。
電話していると楽しくて心が開けていくのも解った。
でも・・・・きっと、何時か依存しすぎてしまう・・・・。
前日の夜、彼が話してくれた「絶対に諦めない」その信念を聞いて、
尚更、そう思った。
彼には理性的に話せる家族がキチンと存在している。
可愛い子供達と楽しい生活が待っている。
私は彼との温度差が悲しくて寂しかった。
自分の気持ちに押しつぶされる前に、この思いを分散させなくっちゃいけない
と思った。彼に、自宅からの電話の事を少し話した。
「家の人・・・怒ってたと言っていたけれど・・・理性的に話してたでしょ?」
「それは・・・・普段から相手の事を暖かい目で見てあげているからだよね・・・・」
彼は「そうじゃないよ、早く説明を終わらせて電話を切りたかったから・・
キチンと説明してあげないとナカナカ電話を切ってくれないでしょ?」と言っていたが、
「何だか私も・・・自分で空回りしてるみたいに思えるから・・・・辛くなってきちゃうし・・・・」
「体の浮気かもしれないし、心の浮気かもしれないし・・・
解らないけれど、他の男友達と遊んで、少し気持が楽になれたら、
きっと、貴方の家庭の事なんて考えずに笑顔で付き合えると思う。」
私が自分の考えている事を涙声で言うと、彼は無言だった・・・。
終始、この問題は彼の反対にあって来たのに、彼は何も言わなかった。
そして・・・私が横を向くと。
私は少しビックリして思わず彼をギュとした。
「どうして・・・・僕の事は好きじゃないの?
僕は・・・こんなにすみれの事を好きなのに、
どうして浮気するなんて言うの?」
「でも・・・・・・いいよ、すみれが僕と付き合って辛くなるって
言うんなら・・・そうしなければ僕とは付き合えないって言うんなら・・・・
僕は我慢するよ。だから・・・・・浮気してもいいよ。」
彼は涙をボロボロ流し、まるで子供の様だった。
男の人が涙を流しているのを見た事が無かったわけではありません。
ただ・・・・一緒になって泣いた事は今まで無かったかもしれない・・・・。
その夜、私達は沢山の涙を流した。
そして、彼が泣き終わった後も私は・・・・ただ、泣いていた。
あっという間に朝が来た。
私達の夢のような時間も終わりを迎える。
彼も私も家に戻ったら又、何時もと変わらない日常を送るんだ・・・・。
こんな風に何度も現実を痛いほど直視しないと付き合っていけないなら・・・・いっそ・・・・。
「もう、やめよう・・・・・」
私はそう彼に言うと無言で車を降りた。
家までの帰り道、又、私は泣いていた。
<今日の出来事>
昨日の仕事の一件で私はまだ、モヤモヤ・・・・。
昨日の深夜に「仕事の事、まだ納得がいっていないので今度メールします。」
と彼にメッセでメッセージを残したら、彼からもオフライン・・・。
「仕事の話でイライラするのは嫌だから、もう仕事の話はやめよう。」
( ̄□ ̄;・・・・・・・・・。
何だか、モヤモヤが増してしまった。
今日は朝の電話も無し。
お昼前に又、彼からオフライン。
「今日も僕とは話したくないようだね、メールもメッセも無いもんね。」
どうやって、連絡をして何を話せばいいのか解らなかったけれど、
丁度、ワールドカップで日本の試合の日だったので、
「ワールドカップゆっくり見れる?」とメールしたら、
すぐに、「会社で見れるようになったよ〜」と返事。
その後、日本勝利の話題で少しメール出来ました。
帰りに少し電話で会話・・・・。
仕事の話さえしなければ何時もの二人に見えるけれど。
私の心の中では「仕事の事・・・・・どうすんの?」って気持でイッパイ・・・・。
明日は子供が保育園で初めての運動会。
今日は御弁当の下ごしらえで私は大忙し。
明日の朝は寝坊は絶対、出来ない。
彼とのメッセもお休みです。
明日、晴れると良いな。
うちの子が一等を取れますように。(−||−)オイノリ〜!!