僕らの日常
 mirin



  天体観測の日@晴臣

強い日差しの下、庭園の水撒きに借り出されている
生徒達を階下に眺めた。

「今日もう夜、雨だよね」
「無駄だな、水が」

昼休み、渡り廊下から片腕をだらりと下ろしながら
ボクは何の因果かつい先程出会ったばかりの朝学組の
貴公子と話をしている。

「宇宙来るかな」
「雨が降っても授業はあるからな」
「…そっか」

ボクより少し背の高い宇宙より、更に背の高い相手を
ふと見上げてなんとなく尋ねて気づく

「………」
「………」

失敗だと思った、会話が続かない。
何より、周囲の視線が痛い。
いつもボクらの間に入る宇宙がいないのが珍しいらしく
貴重なツーショットだと、クラスメイト達が囃し立てる。

ふと、壁に凭れていた彼が顔を上げて
周りを一瞥する様に周囲を見ると
生徒達が一瞬にして、身を強張らせたのがわかった。

「おい、行くぞ」

そう言われるままにわけもわからず歩き出したボクは
これから一体何処に行くのか聞くわけにもいかず
黙って、貴公子の引き裂く生徒達の花道を分け入り通った。

2005年09月25日(日)
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