僕らの日常
 mirin



  虚像空間1@真壁

扉を開くと、青い空が広がっていた。
部屋には、自分が知らない空<セカイ>がただひとつ。



暗い闇の中でもわかる白い建物
中は、また白い
天井に壁、男も女も皆白い布を纏っている。

室内に立ち込める独特の薬品の匂いに眉を顰めて
口許に手を当てて早足に通り過ぎ自販機の前へと足を進めた。


「こんにちは。」
「「…こんばんわ。」」

揚げ足を取るように返された言葉にぼくはウッと
言葉を詰まらせる。

「おそよー」
「こんちはー」

ニコリ

性質の悪い微笑を浮かべる少年少女をため息を吐いて
軽く睨みつける。
そんなぼくを見ても臆することなく2人ははまた少し笑った。


「もう馴れた?」
「馴れる...というか、同じことの繰り返しだもの。
馴れる前に飽きてきちゃったわ」

ほら、私飽き性でしょ?
クスクスと小さな子供がイタズラを思いついたときの様に
少女は笑う。ぼくは自販機に硬貨を入れボタンを押した。

「コーヒーがいいのにー」
「風邪治ったら、買ってあげるよ」
「それは、もうけね。」
「もうけって、きみね」

横に並ぶ少年が少女の言葉に可笑しそうに小さく笑った。

「きみは、コーヒー?」
「ソラも同じの」
「聞いてるのは彼の意見です」
「ちぇー…」
「ウタと同じの」

「やりぃ」

迷いなく答えた少年の声に少女は、満足そうに声を上げる。
僕は、見上げてくる。ふたつの瞳に「またね」と呟いた。

2005年04月17日(日)
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