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■ 彼のキャンパス1@明
絵描きがいた。
いつもの通りの街角で彼は絵を描いている。
『夜も見るよ』 『朝もいるな』 『昼だっているさ』
口を開く友人達の証言からも絵描きが毎日あの場所で 絵を描いている様子も窺い知れる。
雨が降る日も 雪が降る日も 雷鳴が轟いても 風に吹き消されそうでも
彼は毎日何も言わずキャンパスの前に立っている。
人の波や音にその姿をかき消されてしまいそうだ。
だけど、そんな風に思う者の気も知らず 絵描きの彼は、今日もただただ前だけを見つめている。
彼のキャンパスには何が描かれているんだろう。 あのキャンパスを覗き見ることは容易い
ストリートアーティスト達に混じって絵を描いているのだ。 たまに恋人達が似顔絵を頼んでいるのを見たことがある。
その大半は返事をしない彼に焦れ 怒って行ってしまうのだけど
たまに嬉しそうな、幸せそうな、表情で 頭を下げながら、彼の元を去っていく手を繋いだ恋人達。
あんな表情をさせて あんな空気を作らせて
微笑みひとつ作らないのに
あの絵描き、一体何をしているんだ?
今日もいつもの街角で絵描きの彼はキャンパスの前で・・。
2004年10月26日(火)
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