僕らの日常
 mirin



  時間よ止まれ@鳥羽

"時間よ止まれ"

思ったこと、今まで何回あっただろう。
小さい時、以来かもしれない・・・
こんなに時間を貴重だと思ったのは・・・

廊下に響く、チャイムの音にぼくは足を止める。次の
授業は生物で「人体の構造」だとか。思い出したら、
なんとなくやる気をそがれ、元来た廊下を引き返した。

"身体を動かすには、脳からの指令を受けて〜"

黒板の1スペースも使わない、この授業はまるで抗議。
聞いていると欠伸の一つも出てしまうから、今日は
サボりと決め込んで、先程まで居た図書室に戻った。
読んだまま、机に置いておいたの筈の本が消えていた。

「サボり?」

どこからともなく聞えた声に疑問マークを一つつけて
周囲を見渡す、誰も居ない?じゃ、今の声は何?そう
思っていたら、"上"と声が聞こえて、少年がハシゴの
上から降りてきた。・・・あの金色をなびかせながら…

「・・・。」
「受け取ってよ。探してたのこれでしょ?」

彼は小脇に抱えた本をぼくに向かって差し出す、ぼくが
ただ呆然としているのを見て、彼はその本を押しやった。

「あ、ありがとう」
「どういたしまして。でもさ、次来るからっていっても
読んだ後はちゃんと棚に戻さないと貸し出し禁止になるよ」
「・・・ごめん・・・今度から気をつけるから」
「"今日"から、気をつけてね」

彼は今日を強調して言うと少しくすりと笑う、憧れていた
人がすぐ近くにいて、自然と顔が火照るのがわかった。

2002年05月22日(水)
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