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■ 発熱@宇宙
『そろそろ起きる時間だろ?』
部屋にバイト帰りの兄の声が響く、そろそろの登校時間。
『・・・今、起きる・・から』
夕刻。いつも起き出して、学校へ行く時間の筈 でも、今日は体がだるくて何をする気にもならなかった。
"何か、動きにくい"
頭がぼうっとして、身体に少しの力も入ってくれなくて 薄れていく意識の中、また布団に顔を埋めてしまう・・・
住み馴れた筈の静寂が支配する夜の部屋 いつも、この時間は家にいないせいか どこか別の場所のように感じてしまう…。
「起きた?大丈夫?」 「・・うん、平気。あの・・母さんに」 「電話?…してないよ。宇宙そういうの嫌がるから 本当なら知らせるべきなんだろうけど」
額の濡れタオルを変えに来たらしい、明兄は横に座って 心配そうに僕を見下ろして言う、最後の言葉は自分自身に 言い聞かせているようにも聞えた。
「宇宙!」ガコンッーーー
けたたましい騒音とともに開いた僕の部屋 そこには騒音を起こした張本人が立っている。
「もう少し静かに開けなよ、足使ったろ?今」 「あ・・・悪ぃ。勢いづいたから、つい」
足でドア蹴破るっていうのはどういう勢いなんだろう… はぁ...と軽く息をついた明兄は今帰ってきたばかりの 卓兄を部屋の外に追いやって、
「おかゆ作ってるから、それまで寝てなね」
そう言うと、静かにそっとドアを閉めた。
"ほら!帰ってきたら、手ぇ洗う!" "明兄…お前、だんだん○○化してきたな" "何、何か言った?聞えなかったけど"
熱のせいで、静か過ぎる部屋で不安になった でも、もう平気。これだけ、騒がしいと 独りじゃないことを痛感できるから・・・
扉の向こうで、繰り返される声を聞きながら目を閉じた。
2002年05月20日(月)
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