僕らの日常
 mirin



  変われなくても@宇宙

どんなに願ったって
どんなに祈ったって

何も変わらないこの身体

憧れたのは
陽の光とその暖かさ 青い空 虹

見上げることの叶わないもの

でも、感じることくらいなら
出来るんだと今日君に教わった。


今日は駅の地下にある直通の電車で昼間の学校に行った。
本当にこの時間、外に出るのは久々で、母さんに駅の
ホームで何度も陽の光りに当らないよう言い付けられた。

ただし行動範囲はすべて暗幕のある部屋だけどね。
それでも、たぶん充分なんだ。いつもより贅沢な…
地下通路から上がってきた僕に通常組の生徒(知人)が
驚いた顔で僕を見たけど、馴れで特に気にしなかった。

「宇宙!」
「・・・っと!?」

後ろから、そおっと近づいてきたらしい友人は僕の
背中から、覆い被さる・・・失礼だとは思うけど、重い。

「晴臣ー、重いよ」
「え!失礼じゃん、ソレ。ボク軽いんだよ」

ブーイングが聞えて、今度はうるさいとか思ったけど
あえて言わなかった。小さな違和感に気づいたから

「なんか、晴臣ほかほかしてない?」
「ほかほかって・・・あぁ服じゃない?
さっきまで、グラウンドに居たから、陽の暑さが」

そこまで言って、はっとしたように晴臣は口をつぐんだ。
ごめんと背中辺りで小さく呟いたのがわかった。

「いいよ。そういうのは気にしないから、
にしても何かいいねー、さながら太陽の残り香?」

そう言ったら、急に肩にかぶさっていた重さが軽くなって
かわりに彼の声とジャケットが頭の上から降って来た。

「残り香が消えるまで貸しとくよ」

2002年05月19日(日)
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