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■ 特別@晴臣
欲しいものは、いつもすぐ手に入る 誕生日でも、クリスマスでもなくても 欲しいと言えば、両親はどんな物でもくれた。
その2人の両手以外は・・・
『晴臣。貴方は大きくなったら、この会社で』 『お前は私の後継ぎになって.....』
だから、特別にならなきゃいけないって思ってた。 あの2人の期待に答えられたら、1番欲しい物が 手に入る気がしたから、だから・・・
ずっと保たれていた筈の人との距離 ボクが普通の人とは違うための間隔 それを彼はいとも容易く崩してくれた。
初等部4年の時あった、理科の授業の月見観測会 夜学組と同じ授業を受けたのはこれがはじめてで でも、初対面の生徒達は互いにすぐ仲良くなった。
『えっと...晴臣くん?これ、月見団子』 『あ、ありがと』 『・・・・・・。』 『・・・何?』
月見団子を配りに来た男子生徒がジッとボクを見た。 その視線がなかなか離れなくて、その居心地の悪さに ボクは、視線の意味を尋ねる。
『ね。本当に、楽しいと思ってる?』
え?・・・何言ってるの?そんな感じで見つめ返したら 彼はただ小首を傾げていた。
『ソラ〜!こっち団子回ってない』 『心配しなくても、今持ってくよ』
他の生徒の早く配ってと団子の催促する声に苦笑しつつ 彼は、ぱたぱたと生徒達の輪に入っていった。
2002年05月17日(金)
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