僕らの日常
 mirin



  旋律@宇宙

 ...♪〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜...♪

美術室に静かに響いたのは、シューベルトのアンプロンプチュ
ピアノの旋律がこの時間に届くのは日常茶飯事なこと、誰も
気にも止めずに作業を続けている。

僕は、描き終わった絵を美術担当師に提出し
廊下で絵の具の付いたパレットを洗い流していた。

「この曲は昼のがあってるかな」

そんなことをポツリと呟いてたら、美術室の戸がガラリと音を
たて開いた、でも僕は特に気にもしなくて、また洗いものに
目を落とす、ピシャリッッッと耳に響く音で戸の閉められる音

さすがに"何?"と思って振り向くと
音を起こしたらしい男子生徒に軽く睨まれた。

「昼、来もしない奴が文句言うな」

絵の具で汚れた手を洗い流しながら、彼は僕を一瞥する
ように見ると、フンッと目をを反らして廊下を歩いて行った。
どうやら彼はこの旋律を奏でる張本人のお友達らしい・・・。

"怒るのも無理ないか・・・"

口元に少しの苦笑を浮かべて、その後姿を見送ると今度は
青く色付く自分の手を洗い流す、奏でられるピアノ音に
じっと黙って、耳を澄ませて...

2002年05月15日(水)
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