僕らの日常
 mirin



  俺の隣@暁生

小さい時から、共働きの両親は俺との時間をあまり大事に
してくれなかった。約束を破られる回数は馴れたもので...

『お母さん達は?』
『また、お仕事?』
『ピアノの発表会見に来てくれる約束は?』

ずっと、そうだった。俺がいつも居て欲しいと思う人は誰も
自分の傍には居てくれなくて思えば思う程、叶わない願い。
だから、それはあの時に途中でスッパリ諦めた。

母親なんか居なくても、友達が居るから
父親なんて居なくても、乳母達がいる。

"独りじゃないから寂しくない"

それでも、いつもの保育園の帰り道。母と子が手を繋ぐ姿は
自分がそれまで見てきた何よりも眩しかったんだ。
誰も悪くないのに、ただ自分だけが無償に意味もなくイラって
卒園する頃には、子分が何人も俺の後ろにくっ付いていた。
力で手に入れても、何にもならないことわかってた筈なのにな

"傍に居て欲しい"

心から思ってたのはそんな台詞。言えずじまいのそんな台詞
いつかまた、あの頃みたいに誰か求める日が来るだろうか
これから先どこかで、そんな機会があったなら言おうと思う
照れながらも、冗談だと笑いあいながら・・・

2002年05月14日(火)
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