僕らの日常
 mirin



  名前@終司

「柊。」

出会ったあの日、初めて呼ばれた短縮 name
振り向いたらいつも、あいつが居る。


『名前で呼ぶなって?』
『嫌いだからだ』
『どうして?』

小首を傾げて、オレを見る相手に溜息を吐く
初対面。名前を教えて、そう言われて
終司と名乗る、でも名前は呼ぶなと付足した。

『すべての終わりを司るって書くだろ』

だから嫌なんだ、この名前が気に入らない。

 "何で〜?小さいこと気にし過ぎだろ"

思い出すのは、この類の耳障りな声ばかり

『そっ?』
『ああ...変ならそれで放っといてくれ』
『でも、終わっても再生があるって知ってる』

次のお決まりな発言を予想して、その場を後に
しようとしたオレは予想外の声に、は?と思考が
1時停止した。

『でも、嫌いなものは易々好きになれないよね』

そんなオレの様子も気づかず(?)相手は何か呟いて

『あ!じゃあさ、司らなきゃいいんでしょ。』

ちょっと手、貸してとオレの手の平を前に差し出す
形にして、相手は指でそこに何かを書いた、木…?

『木?・・・久か?』

ふるふると首を振って、懸命に分かりやすく書こうと
してる相手になぜかオレもつられて一生懸命読みとった。

『・・・柊(ひいらぎ)・・・』
『あたり♪でも、読み方はシュウだよ』

シュウって、それは。

『ぼくは、柊って呼ぶからね。はい、決定。嫌いを
好きにする難しさわかるから、とりあえず、ね?
・・・だからさ・・・そんなに邪見にしないでよ』


そう言って、あいつはオレにこの短縮 nameを付けた。
あの時のオレはわけもわからないまま頷いてたけど、
気づけば、あいつは、オレの1番近い存在になっていた。

2002年05月13日(月)
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