僕らの日常
 mirin



  シイチャンと友達@キン

「キ〜ン〜?・・・キン・・・飯だぞ」

夕日が沈む時、それは我らの夕御飯の時間。この学園に
住みつく我らは彼の様な優しい人間にご馳走になる。
学食の残りか、弁当の残りなのか、ラップに包まれた
ソレを透明の容器に移し替えて、目の前に出して頂く…。

「ほら。今日は、いつもよりちっと豪勢な」

ご飯と鮭と、あと何かの野菜が入ったそれを我等が勢い良く
平らげていくのをキラキラした目で見詰める彼の様子は、
中々の見物であり、我はチラチラと彼の様子を伺っていた。
彼は、シイチャン・・・。この学校の朝学組の生徒さん
たしか、そう誰かに終司と呼ばれてたのを聞いた覚えがある。

「食ってろ。水汲んできてやるから」

シイチャンはいつも我らに優しい。人によっては、そっ気ない
でも、別にイジワルするわけじゃない。ただ、ちょっとたぶん
素直になれないだけなんだと思う。・・・たぶん

「ほら、詰らせるなよ」

夕飯を半分平らげた頃、シイチャンは小さなカップに水を
入れて戻ってきた。水を飲んでシイチャンの足に掏り寄ると
首辺りを撫でてくれる、我の喉は自然とゴロゴロ鳴っていた。

「柊。やっぱり、ここに居たね。予鈴鳴ったよ」

次の授業の教科書だろう、それを2人分程、持って
シイチャンと同じ制服を着た生徒が走ってくる。

「あぁ...今行く。じゃあな、キン」
「バイバイ、キンチャン」

いつも、シイチャンを迎えに来てくれる、彼には感謝している
これで、毎回の遅刻の数が嘘のように減っていったのだから
撫でることになれてないのか、我の頭をポンポンと撫でていく
手には、少し苦手意識があるけど、悪い奴じゃないと思うから
今度、彼の名前を猫仲間の誰かに聞いてみようかな。

だって、せっかくのシイチャンの友達だから・・・。

2002年05月09日(木)
初日 最新 目次 MAIL


My追加