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■ シイチャンと友達@キン
「キ〜ン〜?・・・キン・・・飯だぞ」
夕日が沈む時、それは我らの夕御飯の時間。この学園に 住みつく我らは彼の様な優しい人間にご馳走になる。 学食の残りか、弁当の残りなのか、ラップに包まれた ソレを透明の容器に移し替えて、目の前に出して頂く…。
「ほら。今日は、いつもよりちっと豪勢な」
ご飯と鮭と、あと何かの野菜が入ったそれを我等が勢い良く 平らげていくのをキラキラした目で見詰める彼の様子は、 中々の見物であり、我はチラチラと彼の様子を伺っていた。 彼は、シイチャン・・・。この学校の朝学組の生徒さん たしか、そう誰かに終司と呼ばれてたのを聞いた覚えがある。
「食ってろ。水汲んできてやるから」
シイチャンはいつも我らに優しい。人によっては、そっ気ない でも、別にイジワルするわけじゃない。ただ、ちょっとたぶん 素直になれないだけなんだと思う。・・・たぶん
「ほら、詰らせるなよ」
夕飯を半分平らげた頃、シイチャンは小さなカップに水を 入れて戻ってきた。水を飲んでシイチャンの足に掏り寄ると 首辺りを撫でてくれる、我の喉は自然とゴロゴロ鳴っていた。
「柊。やっぱり、ここに居たね。予鈴鳴ったよ」
次の授業の教科書だろう、それを2人分程、持って シイチャンと同じ制服を着た生徒が走ってくる。
「あぁ...今行く。じゃあな、キン」 「バイバイ、キンチャン」
いつも、シイチャンを迎えに来てくれる、彼には感謝している これで、毎回の遅刻の数が嘘のように減っていったのだから 撫でることになれてないのか、我の頭をポンポンと撫でていく 手には、少し苦手意識があるけど、悪い奴じゃないと思うから 今度、彼の名前を猫仲間の誰かに聞いてみようかな。
だって、せっかくのシイチャンの友達だから・・・。
2002年05月09日(木)
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