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■ 硝子の心@鳥羽
ここは、屋上にある空中庭園。
少年達は我先へと展望台へ繋がる階段を駆け上がってゆく そんな群に混じれない、ぼくは、クラスメイトの暁生と 2人で庭園内のカフェでお茶していた。 ギャアギャアと騒ぎ立てる生徒達に目をやると、その間を スルリと猫のように2人の少年が軽く交して走って上がる のが見えた。
"・・・月みたいだ。"
突然そう呟いたら、隣に居た暁生が怪訝そうな顔でぼくを 見た、さらさらと伸ばされ横手に1つに束ねられた金色の 長い髪は一見すると、少女の様な印象を受けるのに近くで 見ると、なぜかそんな気は失せて少年的感覚が彼に付き 纏っている。
「あぁ...あいつ。宇宙じゃんか」 「ソ・・ラ・・・?」 「そ。珍しい名前だから覚えてたってのもあるけど あいつって、朝学組の貴公子の貴重なお友達だからな」
朝学組の貴公子?・・・あぁ...終司のことか、彼の言動は いつも周囲の生徒達の反感を買っている。何が問題か? あの嫌味の含んだ言葉と棘のある毒舌な言い回しだろう。
「貴公子様と友達なんて、どうゆう神経してんだろうな?」
答えを求められ少し苦笑する、言葉を濁すので精一杯だ。
"ぼくに答えなんて求めないで"
何も返せないから、他人同士の比較対象の違いなんて そんなの、わからないんだ。自分自身が誰かの間でその 比較に入っているかもしれない、このぼくの足を見て 誰かが…きっと、そんな風に考えているのかもしれない。
気持ちの上での裏切り、たぶん1番近くの暁生にさえ それは何も変わらない。呆れる程、なんて心の寂しい 人間なんだと思った。
2002年05月08日(水)
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