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■ オレンヂ@晴臣
「だからね、僕は本当はオレンヂが嫌いなんだ。」
ここは太陽の間、キミはオレンヂにキスしながら 笑いながらそう言う、この言葉に何と不釣合いな 綺麗な笑みなんだろう。
「味はスキなんだけどサ」
ポケットから取り出した果物ナイフで林檎の様に器用に 皮むきをはじめながら、クスクスと零れ出る声にボクは 目を細めて声を返した。
「宇宙?太陽はオレンジ色なんてしてないよ」
手を動かす事をやめず、チラリと目線だけボクに返す。
「太陽が唯一、赤くなるのは夕方だけだし」
・・・言わなきゃよかった。陽の光を浴びれない宇宙は 本当の太陽を何も知らないのに、こんなこと言ったら夢が なくなっちゃうよね・・・
「んー。らしいね?でも、僕だけそう信じてればいいよ」
真顔でキミはそう言ってたかと思うと、フ、と目を閉じて ボクの方に振りかえって軽く微笑んだ。
「晴臣、半分食べる?」
オレンヂの太陽は出てないけど、窓から見えるレモン色の 月は宇宙にとても優しくて、ボクに差し出してくれる その手がとても嬉しく思えた。
「うん、食べる♪にしても、器用にむけたね?」
2002年05月07日(火)
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