2013年05月24日(金)  ミヤケマイ展『白粉花(おしろいばな)Little Lily-White Lie』

明日5月25日から銀座のポーラミュージアムアネックスで始まる友人の絵師ミヤケマイの「白粉花(おしろいばな)Little Lily-White Lie」展。

そのオープニングパーティへ、共通の友人のアサミちゃんと娘のたまと行って来た。



こんな機会でもないと足を踏み入れることがなかったポーラ銀座ビル。
一階のフロアの真ん中にあるガラスで囲まれた空間は,エレベーター。
「2階までしか行かないよ。美術館は3階だけど」
「でもとりあえず乗ってみよう」
と乗り込んで2階へ。

エレベーターを下りると、2階は茶房になっていて、器やお茶請けのお菓子も、センスの良い佇まいで並べられている。

まあ素敵。
後でここでお茶しましょ、と別のエレベーターに乗り換え、3階へ。

今回はミヤケマイが追い求め続けている色、白がテーマということで、白い壁に白のグラデーションの作品が並び、ミヤケマイも白のコーディネート。
ごめん、白い服持ってなくて、と挨拶。

「産まれ落ちた時、私達は真っ白なまま世に出て来る。そしてこの世を去るときも記憶も消去され、真っ白な骨や灰になって出て行く」
と今回もミヤケマイ節の詩のような啓示のような言葉が躍る。
色とは、白く生まれて白く去るまでの間にうつろいたゆたう幻。
そんな悟りのような境地を感じさせる、白い白い世界。

たまはくぐり戸を抜けて入る和室(畳も白)を気に入り、出たり入ったり。
並んだ掛け軸がスクリーンになり、光が投影される。
「白い影絵」を見ているような感覚。

もうひとつ、たまが気に入ったのが、障子の穴からのぞくと、それぞれの穴の向こうに違った絵が見える箱。この穴からは何が見えるかなと全部の穴をのぞきたくなる楽しさがあり、子どもは子どもらしく、大人も子どもらしく、無邪気に目を近づける。体が大きくなる薬を飲んだ不思議の国のアリスの気分も味わえる。

こんな遊び心が、ミヤケマイの作品の楽しさ。
今日は人差し指の先ほどだったのぞき穴が、会期中にいろんな人にのぞかれて、どんどん大きくなって行くのか、さらに穴がふえるのか、もう一度行って確かめてみたい。

壁から幾つもの手首が飛び出し、それぞれに何かを握っている作品の前で、たまはいちばん長い時間を過ごした。


香水瓶を持つ手。コンタクトレンズのケースを持つ手。手話の指文字みたいな手。
それぞれの手が何をしようとしているのか、手の持ち主はどんな人か、子どもなりに想像して、楽しんでいた様子。

歓待の泡とフィンガーフードをいただき、個展に行くたびに感じる「どこまで行くのかミヤケマイ」の衰えぬ勢いも感じ取り、先ほど通り過ぎた茶房へ。

量は小ぶりだけれど、体にやさしい、いいものを食べたという満足感がしっかり残る1650円の季節膳。食後には選べる和菓子がつき、550円のお薄といただくと、とてもゆたかな晩ごはんになった。


一人でお手洗いに行ったたまは、「ながしそうめんみたいなのがあるよ。いいから、きて」とわたしたちを呼びに戻ってきた。竹筒のような注ぎ口から自動的に手洗い水が出てくる様は、なるほど流し素麺を連想させる。

内装も器も品が良くて質が高くて、ぜいたくな気持ちにさせてくれ、銀座にこんなくつろげるいい空間があったのかと感激。一人でごはん食べるのにも良さそうだし、打ち合わせにも使えそう。ミヤケマイ展へ行かれた折には、2階での寄り道もおすすめ。

ミヤケマイ展は6月30日まで。11-20時(入場は19時半まで) 会期中無休 入場無料

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