保育園で保護者会があった。保護者懇談会と参観日をクラス単位で行うもので、まずは職員室に集まり、「ちょちちょちあわわ」「げんこつやまのたぬきさん」をみんなで振りつきで歌い、先生方のご挨拶と保護者の自己紹介と質疑応答(きょうだいがいる人の「朝の支度で大変なときに下の子にかまいっきりで上の子をつい忘れてしまう」という質問には「下の子をおんぶしては」と提案)を終えて教室に移動。離乳食を食べさせ(まわりのコモも食べていると、家よりよく食べる)、園医の先生の問診を見学、という盛りだくさんな内容。
自己紹介のとき、わたしは「朝は出かけようとしたらウンチをされるし、夕方は遅刻ぎりぎりお叱りを受けています」となかなか時間通りに送り迎えできない言い訳のような話をしてしまったが、他のお母さんたち(平日の昼間ということもあってか、夫婦での参加一組以外は出席者はお母さんばかり)の話を聞くと、「保育園に預けられたおかげで無事職場復帰でき、ありがたく思っています」「親だけでなく、他のお子さんのお父さんお母さんや保育士さん、たくさんの目に見守られて子育てできることを心強く思います」「子どもは保育園が気に入ったようで、保育園に入ってからの成長に驚き、喜んでいます」「いろんな保育園を見て回りましたが、ここはとくに環境も良く、先生方も熱心で、いい保育園に入れてよかったです」と保育園への感謝の言葉が続々。自己紹介をやり直したくなった。
わたしは保育園に預ける前から少しずつ仕事を受けていたので、四月から復帰、という区切りがなかった。そのせいか、「自由な時間がふえた」「まとまった時間ができて仕事がはかどる」という変化は感じたけれど、「保育園のおかげで仕事ができる」という意識は薄かった。だけど、保育園に申し込んだ1月の時点では、「どこにも入れなかったら仕事はだいぶ断ることになるんだろうな」という覚悟と不安があった。9時から6時まで安心して子どもを預けられる場所があるから仕事ができる、そのありがたみを忘れていた。
入れてよかった、という気持ちが大きいからか、どのお母さんの口から出てくるのも保育園への不満ではなく感謝や感激だ。近頃話題の学校に文句をつけて先生方を閉口させるモンスター親とは逆のアリガター親。ありがたいという気持ちには伝染力があるようで、わたしもあらためて「いい保育園に入れた」「いい人たちと同じクラスになれた」とうれしくなった。アリガター親がふえると、先生たちもはりきるし、そこから生まれるやる気や工夫が結果的には子どもたちに還元されるのだと思う。
親といえば、上京してきた大阪の父イマセンから早めに駅に着いたと電話があり、いい機会なので保育園を見てもらおうと思いついた。園長先生に相談すると、どうぞ、と快いお返事。突然の訪問にもかかわらず、保育士さんから「お父さん」と気さくに声をかけてもらって父も喜び、わたしはますますアリガター親になった。
2002年05月24日(金) 清川虹子さん
1979年05月24日(木) 4年2組日記 しゅうじで「ビル」