テレビ東京「勝手にキャッチコピー委員会」(収録の模様は2月19日の日記に)。インパルス板倉俊之さんとの3本勝負の最後のお題は、「ガンダムフロント東京」の「オールターゲット向け」動員コピー。
コアなファンだけではなく、老若男女、幅広い人に来てほしいとのこと。
対戦者の板倉さんは、コアなファン。何がすごいって、それまで「寒い」を連発して体を震わせていたのに、ガンダムフロント東京に着いた途端、吹きすさぶ風に髪を逆立てられても、「寒い」と口にしなくなったのだった。弾丸トークに熱中して寒さを忘れたのか、ガンダム愛の熱さで体温まで急上昇したのか。
わたしは「言葉の匠」としての出演だったのだけど、板倉さんは「ガンダムの匠」なのだった。
小学校の頃、クラスにも板倉さんみたいな男の子たちがいて、ガンダムの話になると止まらなかった。文通していた長野のさおりもガンダムに夢中になっていた。ガンダムの波は手が届くところに押し寄せていたけれど、わたしは波に乗りそびれたまま大人になった。
十年ほど前、ガンダムが登場するある原作の脚本を書く機会があり、当時は主要キャラクターの顔と名前は把握したつもりだったのだけど、「ガンダム、わかりますか?」と司会のビビる大木さんに聞かれて「名前なら知ってます」と答えてしまうレベル。グッズショップにあったアムロ箸に添えられた「アムロ、いただきます!」のコピーが「アムロ、行きます!」のパロディだとわからず、板倉さんに驚かれた。
ここまで距離感のあるわたしでも、ガンダム焼きを頬張りつつ、ライトアップされたガンダム像を眺めると、ワクワクするのだった。
20代にデートで来ていても、30代に夫婦で来ていても、それなりに楽しめただろうなと思った。もっとも、その頃ガンダムフロント東京はまだなかったのだけど。40代の今、ガンダムを知らない娘と来ても、わかってない者同士なりに面白がれる気がする。
そんなわけで、
というコピーが思い浮かんだのだけど、とくに訴えたいターゲットを館長さんに尋ねたところ「ファミリー」と言われ、女性目線コピーよりも「パパが一家を引き連れて来る」路線か、と考え直すうちにタイムオーバーとなった。
提出したコピーは、
せめて「お父さん」を「パパ」にすべきだった、というレベルでもなく、練り足りない。「かつてのガンダム少年が父になって子どもを連れてくる」という図式のコンセプトワードで止まっている。
対する板倉さんのコピーは、
客を「貴様」と呼ぶところがガンダムファン心理をくすぐるらしく、館長さんを大いにうなずかせていた。
異種格闘技に引っ張り出されたものの、いつパンチを出していいかもわからないまま試合終了。
メモでは「親子二世代 ガンダム世代」「パパの初恋」といったキーワードまでは思い浮かんでいたけれど、コピーにはまとまらなかった。
ロケバスに乗り込んでから、
と、いくらかコピーらしい形を思いついた。
「パパの〜」は、「親の初恋」という秘めたものと「会いに行こう」という呼びかけのギャップを狙ったのだけど、ガンダム愛は恋と呼べるのか。
ガンダムの匠ではなくても、コピーの匠なら、予備知識マッシロでもその場で気のきいたコピーをつけられたはずで、すっかりコピー筋がなまっているのを痛感した。
コピーの仕事が舞い込んだりして、といらぬ心配までしたけれど、結果は3連敗。やはり今井雅子はコピーライターより脚本家が向いているってことで。
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