今年4度目のアイススケートへ。
3度目のスケートに行った帰り道、JRの駅前で、ビッグイシューを手に立っている人がいた。
「ビッグイシュー買ったことある?」とダンナに聞くと、
「何それ?」と聞き返され、
「ほら、あの人みたいに立ち売りしてる雑誌。売り上げの何割かが現金収入になって、ホームレスの自立支援になるんだって」と答えて、
「ビッグイシュー、知らなかった?」と聞くと、
「そんなに驚くことでもないだろ?」という反応を返された。
そのまま、ビッグイシューの人から遠ざかりながら、そもそもわたしはなんで知ったんだっけ、と記憶をたどり、映画の企画打ち合わせで、誰かが「ビッグイシューのホームレス人生相談、面白いよね」と言い、その場にいた何人かが「あれ面白いよね」と同調し、わたしが「それ何ですか」と聞いたのを思い出した。
「それ何?」を聞いたのが、今だったか何年前だったかの違いなだけで、わたしも買ったことはないし、誌面を見たこともない。
そう考えると、わたしも、知っているとは言えないわけだった。
そして、数週間経って、今日またスケートに行った帰り、JR駅前の同じ場所に、ビッグイシューの人が立っていた。
50メートルほど行き過ぎてから、立ち止まり、引き返した。
「ください」と言うと、「最新号でいいですか」と聞かれた。
頭上に掲げているのは最新号で、他にバックナンバーが一冊ずつ何種類も箱に納まっていた。
6歳娘のたまと一緒にしゃがみこみ、バックナンバーをひとつずつ見ていった。
一冊手に取るたびに、
「これは、よく売れたクールな特集です」
「これは、地震に備える心構えを特集しています」
などと説明してくれた。
学校について特集されたものにしようかと思ったら、
「まま、ひつじのしょーんがあるよ」
ショーンの顔のアップが表紙になっている一冊をたまが手に取り、それに決めた。
一冊300円。
登録した販売者に、最初の10冊を無料で提供。その売上金3000円を元手に一冊140円で仕入れて販売し、差額の160円を収入にする仕組み。
10冊売れれば1600円。100冊売れれば16000円。
一日でどれぐらい売れるのだろう。
一緒に受け取ったリーフレットによると、ビッグイシュー日本版の創刊は2003年9月11日。創刊以来8年間で516万冊販売、7億1276円をホームレスの人に提供とある。2013年の今、その数字はどこまでのびているだろう。
雑誌の中身はというと、全32ページの薄さながら、中身はぎゅっと濃い。つぶやきシローさんが自らの死亡説が出たことを「負のターニングポイント」と語る巻頭インタビューに始まり、小さなコラムのひとつひとつまで読ませる内容。
古い住宅街を行政が地上げし、取り壊す一方で、「1万2千ポンド以上を家の修繕に使い、一定の年数住み続けること」という条件で空き家をタダ同然で払い下げた地区で、周辺の住民も自分たちの家を修繕するようになた、という記事も興味深い。
壊して新しくするほうが手っ取り早いかもしれないけれど、手をかけて使い続けることで、育つものもある。
「一日の撮影はわずか6秒分」という「ひつじのショーン」の成功の陰で、英国のアニメ制作が斜陽となりつつあることも知った。
知ったつもりになっていたホームレス人生相談は、「人生は結局プラスマイナスですか」という70歳女性講師の質問に「これは今までで一番難しい質問かもしれへん」と困りつつ「幸せと不幸を分ける線があるわけとちゃうし、上見ても下見てもきりがない」「結局、人生に何が起こったかというよりも、とらえ方、気持ちのもち方なんやろうね」と大阪のTさんが回答。
販売者を紹介する「今月の人」では阪急豊中駅前に立っている男性が「やっぱり多く売るコツは、長時間立つことにつきますね。初めて買うのにちょっと勇気がいる雑誌ですから、『あ、何度通ってもあの人いるな』と思ってもらうのが大事かな」。
わたしが初めてのビッグイシューを購入した男性も、「たいてい、ここにいますから、また良かったら他のも見てください」と言っていた。次からは、行き過ぎてためらうことなく、見せて、と声をかけられると思う。
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