「驚異の部屋-The Chambers of Curiosities」と銘打った常設展示は、「東京大学の学術標本や廃棄物を現代アートの文脈から再構成」する試みで、学術的な説明をあえて排除している。オブジェのように佇むきのこ。骨格標本のユーモラスな立ち姿。薬草を詰めた瓶の数々が息をひそめて並ぶガラスケースには、美しく重厚な存在感があり、何かを企んでいそうな危うさを漂わせる。確かに説明は要らない。見ているだけで、ドキドキし、ワクワクし、驚きと発見があり、想像をかきたてられ、「学術」と「芸術」がとても近いところに生息するものなのだと気づかされる。2歳児の娘のたまも神妙な顔と好奇心の眼で展示物のひとつひとつに見入っていた。