娘のたまが鉄道本にはまっている。お気に入りは絵本『やこうれっしゃ』と別冊太陽のムック『宮脇俊三 鉄道に魅せられた旅人』。どちらの本もご近所仲間で鉄道ファンのT氏にいただいたもの。絵本はたまへのプレゼントで、ムックはわたしへの課題図書。「乗り鉄」「飲み鉄」などの分類にあてはめれば、T氏は「贈り鉄」!? T氏が敷いたレールにまんまと乗っかり、たまは「読み鉄」の道を走り始めた。
絵本もムックも「読む」というより「探す」行為を楽しんでいる(「探し鉄!?」)。文字のない『やこうれっしゃ』のページを開き、駅のホームで「あくしゅで バイバイ」している人や走る列車の洗面所で「おてて あらう」している人を探し、たくさんの乗客から「あかちゃん」を探し、「あった!」と見つけて指差す。ムックでは風景に溶け込んで走る車両を見つけて、「がたんごとん あった!」。
娘がムックで宝探しをする傍らで、わたしは写真の脇にある文章に目を走らせる。鉄道ファンで知られる作家の酒井順子さんが「私は本当は鉄道が好きなのではなくて、宮脇俊三さんが好きなのではないか」とコメントを寄せている。わたしも宮脇さんの書く鉄道の話を読むのが好き。終戦の日の玉音放送のときを綴った「時は止っていたが、電車は走っていた」(『時刻表昭和史』より。この本もT氏に教えられた)なんて名文にはしびれる。
宮脇さんの著書だけでなく、鉄道について書かれた本(ほとんどT氏にすすめられたり贈られたりしたもの)を読むのは楽しい。ガタンゴトンと揺れながら人や物を運ぶ鉄道にはロマンを感じる(そんなJRの広告コピーもあったっけ)。娘の「読み鉄」はわたし譲りなのかも。
鉄道について綴るのも好き(「書き鉄」!?)で、以前ラジオドラマの企画が舞い込んだときに、『さすらい駅』という鉄道駅を舞台にした五分ほどの一話完結ドラマを考えた。その企画が立ち消え、せっかく何本も考えたので何とか形にしたいと思って、読み物にまとめた。ドラマは駅員のモノローグだったので、そのまま一人称語りの掌編になった。映画の宣伝で縁ができた鉄道会社のフリーペーパーに持ち込んだら好感触で、連載して一冊の本にまとめたいですねと盛り上がったのだけど、乗ってくれた担当者が相次いで異動してしまい、話はしぼんだ。『さすらい駅』のお話なだけに企画もさすらっている。
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