誕生日は祝うのも祝われるのも好きだ。今のところ、年がひとつふえるたびに人生のたのしみもふえているので、いまだに無邪気に自分の誕生日を喜んでいる。今年は娘のたまが生まれてはじめての誕生日。誕生日にとくべつなことをしよう、と思いめぐらせるとき、娘と自分がセットになっている。「誕生日ランチをしよう」と会社時代に仲良しだった同僚が声をかけてくれ、せっかく青山一丁目に行くんだったら、写真を撮ってもらおう、と思い立つ。mixiの子連れコミュニティで知ったstudio memoir(スタジオメモア)という写真スタジオが勤めていた会社の近くにあるのだった。
朝10時に予約を入れる。フォトグラファーは韓国から来日して間もない女性。韓国に留学していたという女性スタッフが通訳してくれる。「見た瞬間、思わず、イップダー・センギョッタって言ってましたよ。かわいい顔って意味です」。おきまりのほめ言葉なのかもしれないけれど、親バカのハートを射抜く威力十分。わが娘は韓流にも通用するぞ。別室に場所を移しての撮影には通訳はつかないけれど、「フク、チェンジ」「オッパイ、OK?」など片言で何とかなる。予約は一時間にひと組。説明を受けてから11時まで、合間に休憩したり授乳したりしながら正味30〜40分撮影。その間に着替えをしたり(最初に着ていた服→はだか→スタジオで借りた服→持ってきた一張羅)、ポーズを変えたり(ぬいぐるみの前にお座りさせたり、シーツをかぶせたり、花畑のパネルを背景に置いたり)、何バリエーションも撮ってもらえる。撮影の邪魔にならなければ、手持ちカメラで撮ってもいい。
最後はリクエストしておいた母娘ツーショット。椅子に座ってだっこ、床に並んでお座り、あぐらをかいて高い高い、ほっぺたをくっつけての寄りショット。娘とダンナの写真はたくさんあるけど、自分との写真はほとんどない。撮り役に回っているせいもあるし、よれよれトレーナーにぼさぼさ頭という写真映えしない格好をしていることがふえたせいもある。誕生日の自分を娘と一緒に撮ってもらえたのは、いい記念になった。
撮影料は無料で、セレクトされた70ほどのカットから気に入ったものをプリント(六つ切2100円)してもらうシステム。パソコン上でスライドショーで見せてもらうと、全部欲しくなってしまい(ぐずり気味だったたまの一瞬のいい表情をしっかりとらえる腕は、さすが)、原本のCDを買うことに。値段はプリント14枚分に相当する29400円。他の写真スタジオを使ったことがないので、高いのかリーズナブルなのかわからないけれど、何度もスライドショーで楽しめるし、家族や友人にも見せ放題なので、元は取れそう。それより何より、居心地とセンスのいいスタジオ(内装がとてもわたし好み。小石を敷いたトイレも素敵)で、気兼ねなく授乳やおむつ替えをしながら過ごせた時間が、わたしにとってはプライスレスだった。
スタジオを出ると11時45分。大好きなイタリアンレストランal solito posto(アルソリトポスト)のケーキショップに寄ってクッキーを買い、プレシデントホテル一階のオーガニックレストラン・オルトへ。前回はベビーカーで来たのだけれど、今日はだっこひもで行くと、立派なスイングチェアを用意してくれる。さすがホテル。トイレにはおむつ替え台もあり、その横の椅子(荷物置きかもしれないけど)で授乳もできないことはない。十二穀米と具だくさんの味噌汁をお替りできるランチも体にやさしく、母乳の味方。「今日はあなたが主役」と元同僚たちがランチをごちそうし、花やカードを贈ってくれる。たまの成長を親戚の子を見るように面白がってくれる、ありがたい友人たち。他にも懐かしい人たちに何人か会えて、いいランチになった。
今日いちばんの驚きは、ダンナから花を贈られたこと。わたしが花を好きなのを知っているくせに、これまで贈られたことがなかった。子どもが産まれて、この人にも心境の変化があったのだろうか。年を重ねた分だけ、一年前にはなかったおまけがついてくる。
2006年02月09日(木) 倉カルミネにて2006年の誕生日
2004年02月09日(月) 今年もハッピーバースデー
2003年02月09日(日) 何才になっても祝うのだ
2002年02月09日(土) シモキタ(下北沢)